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もう無視出来ない!知っておきたいコーヒー2050年問題〜コーヒーが飲めなくなる未来〜
コーヒーが飲めなくなる未来?
私たちが毎日当たり前のように飲んでいるコーヒーは、遥か遠い国々からやってきます。北緯南緯25度付近のコーヒーベルトと呼ばれるエリアで収穫されるコーヒーは、品種や土壌の改良などその土地に合うように見直され、多くの生産者さんの努力によって私たちは気軽に多様な味わいを楽しむことができます。そんなコーヒーが当たり前の日常に影を落としている問題。それは「コーヒー2050年問題」です。端的に述べると、2050年には今のようにコーヒーを楽しむことが出来なくなるということ。コーヒーが気軽に飲めなくなる未来があと30年もしないうちにやってくるかもしれません。どんな問題なのか。そして私たちでも出来ることとは。壮大なテーマではありますが、今回はこの「コーヒー2050年問題」に向き合ってみたいと思います。
コーヒー2050年問題
世界的な気候変動による地球温暖化によって、現在のコーヒー栽培は深刻なダメージを受けています。従来とは違う気候の変化、サビ病の蔓延、害虫の増加などが懸念されており、持続可能なコーヒー栽培を研究している機関World Coffee Reserach(以下WCR)によると2050年には全世界のアラビカ種の栽培地は約50%になると予想されています。WCRについては後ほど詳しく解説します。
地球温暖化の進行に伴い、コーヒーの栽培出来る土地は少なくなっていき、生産量自体が減ってしまう。それに反して世界の経済活動が盛んになればなるほど、コーヒーの需要は右肩上がりに増えていき、価格も高騰するでしょう。今までの価格でコーヒーを楽しむ日々はそう長く続かないかもしれません。
World Coffee Reserchによる取り組み
そんな問題に対して、WCRではIMLVT(International Multi-Location Variety Trial)という取り組みがされています。IMLVTとは、世界各国に栽培されるコーヒーの品種を研究機関に集めて、研究、品種改良をし、世界各国の栽培地へ試験的に栽培。地球温暖化に耐えることが出来て、素晴らしい風味のコーヒー栽培を可能にすることを目的としている取り組みです。
WCRの2019-2020年のレポートの中でユニークな表現があったので紹介します。
“コーヒーは世界的な経済価値があるにも関わらず、世界で最も研究が遅れ、革新性の低い作物のひとつである。その証明として、UPOV(植物新品種保護国際同盟)の調査として、UPOVに登録されているいちごの品種は3442種になるが、コーヒーは52種しかない。世界的に見ていちごの生産の経済的価値はコーヒーの生産に比べて著しく低いにも関わらず、イノベーションの成果として、66倍もの数の新たな品種が生み出されている。”
この取り組みの面白いところは、新たな品種が生まれるということでまだ味わったことがないコーヒーが今後楽しめるかもしれないというワクワク感があるところ。そして多くの国立研究機関や大学と提携して最先端の化学を用い、このコーヒー2050年問題に取り組んでいます。こちらの「2019-2020年のレポート」については日本語訳ページがあるので興味がある方は覗いてみて下さい。筆者もWCRのホームページからコーヒーの知識なども多く学んでいます。(英語なので頑張って読んでます。困ったらgoogle先生。)
私たちが出来ること
WCRのような壮大な機関とは違いますが、私たちONIBUS COFFEEは街のコーヒーショップです。皆さんに身近な存在でありながら、この「コーヒー2050年問題」に日々向き合っています。過去のブログでも多く触れていますがONIBUS COFFEEでは、マイタンブラー持参で¥20割引、コーヒーかすを使ったコーヒーソイルやコーヒー石鹸、豆パッケージのコンポスタブル素材使用、コーヒー豆の量り売り、アプリケーションで運用するリユースカップCUPLESの開発などなどここには書ききれない程、実施しています。
よく行くコーヒーショップでマイタンブラーやCUPLESを使ってペーパーカップひとつ分のゴミを節約する。たったひとつでもペーパーカップのゴミが減ること。この小さなひとつの行動で大きく未来を変え得る可能性を秘めています。身近で出来ることから少しづつ始めてみませんか。
最後に
「コーヒー2050年問題」というテーマは本当に壮大で、そんなことあるかな?と思う方もいらっしゃるかもしれません。筆者は毎年ルワンダのコーヒー農園の情報を聞きます。その際に通常であれば降らない時期に雨が降ったり、気温が上がりすぎたりなどの明らかな気候変動を確認しています。そのことからこの問題が非常に差し迫ったもので、今出来ることは行っていきたいと思っています。幸いにもONIBUSには多くの取り組みがあるので、それらをこのように発信し、一人でも多くの方にこの問題を知って、考えてもらうきっかけになれたら嬉しいです。コーヒーオタクであればあるほど見過ごせない課題をみんなで取り組んでいきたい。コーヒーショップでコーヒーを飲みながらゆったりと過ごす。そんな当たり前の風景が未来に残せるように。