2023.5.23
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現地買い付けレポート〜ケニア編 vol.3〜

現地買い付けレポート 〜ケニア編 vol.3〜

現地買い付けレポート 〜ケニア編 vol.3〜

オニバスコーヒーで扱っているコーヒー豆のほとんどは、実際に生産地を訪れて買い付けをしています。今回は1月下旬にケニアを訪れた際のレポート第3弾です。場所をケニアが誇る名産地”ニエリ”に移し、いよいよ買い付け工程の後半戦です。

Vol. 2から続く

Day3 CKCMと産地”ニエリ”視察&カッピング2日目

Day3 CKCMと産地”ニエリ”視察&カッピング2日目

前回のレポートでは、輸出商社ドーマンとそこで行ったカッピングについて詳しく取り上げました。今回レポートするDay3は、ケニアが誇る名産地ニエリ地区に場所を移動して、ドライミルでのカッピングからスタートしました。

ニエリ地区とは、ナイロビから北へ約120km離れたエリア。標高5,199mを誇る同国最高峰のケニア山南西側に位置しています。雄大な山を望む絶景が有名なエリアです。ドーマンが拠点をおくタツ市から車で3時間ほどかかりました。

ケニアにおけるスペシャルティコーヒーの産地は、このケニア山の南西、南のエリアに分布しています。ニエリの他には、キリニャガ・エンブ・ムランガなど。

その中でもやはりニエリのテロワールは別格。

私がケニアのスペシャルティコーヒーに求める味わいは、強いボディー・骨格を際立たせる明確な酸・カシス・ベリーや柑橘・ストーンフルーツといった果実味溢れるフレーバーですが、この地域で生み出されるコーヒーからはそんなフレーバーを沢山内包したコーヒーが他地域より非常に多いと感じています。

それは世界中のコーヒーバイヤー、ロースターも同じように感じているようで、ケニアにおいてニエリ産の高品質コーヒーは常に品薄で、価格も高騰する傾向があります。

コロナ以前には一時ニエリ産のコーヒーがなかなか買えない時期もありました。

CKCM視察とカッピング

ニエリに移り最初に訪れたのはCKCM(CENTRAL KENYA COFFEE MILLS)というドライミル。CKCMは前回のレポートでも紹介したCMSの子会社で、ドライミルとは主に出荷前の脱穀やグレーディングを行う工場です。ニエリ地区に点在する複数のファクトリーで精製された豆がCKCMに運び込まれ、そこで一斉に出荷前の処理が行われます。工場内には出荷を待つ豆の麻袋が数千以上保管されています。

豆の麻袋

下写真左はCKCM責任者のフィリップ氏、右は今回買い付け工程をアテンドしてくれたドーマンのアンドレス氏。到着した我々にCKCMについて説明してくれています。

CKCM責任者のフィリップ氏

CKCMはドライミルの他、”マーケティングエージェント”としての役割を果たしています。ケニアのコーヒー流通は、生産者組合がオークション(セリみたいなもの)に出品し、輸出業者や仲買人が入札する仕組みが主流となっていますが、一部オークションを通さずに、生産者組合が直接輸出業者などに販売するダイレクトトレードが行われています。その際、生産者組合と買い手を結ぶサポートを行うのがマーケティングエージェントです。

ケニア流通
(ケニアのコーヒー流通事情は、ケニア買付けレポートvol.1
と、vol.2 で詳しく記載しています。)

CKCMではコーヒーバイヤーの要望に応じて、オークション出品前ロットの買い付けを可能にする機会をアレンジしたり、また銘柄を絞ってサンプルを確保したりと、まさに生産者組合と買い手とを結ぶ役割を果たしています。

今回のCKCMでのカッピングはまさにオークション出品前のロットが多数並びました。カッピング風景

オークション出品前のロットは、収穫後に精製されてからの日も浅く非常にフレッシュで、例えていうなら捥ぎたての果実のような青々とした印象。正直どのサンプルも生き生きとしてて、この時点ではテイストにネガティブポイントが少ないのが非常に悩ましいです。

でもこれぞコーヒー生産地で行うカッピングならでは。現地買い付けのカッピングでは、ただコーヒーを試飲するのではなく、ここからエイジングによる味わいの変化を加味し、日本で焙煎するときに一番最高な状態になる生豆を探り当てる作業を行います。

フィリップ氏

カッピングの様子をじーっと観察するフィリップ氏の背中。白衣のバックプリントが好き。

ファクトリー(水洗工場)視察

カッピングの後、ニエリ地区に点在する3つのファクトリーの視察を行いました。ここでもフィリップ氏が全て同行し紹介をしてくれました。

1、バリチュ生産者組合、ガトンボヤファクトリー

バリチュ生産者組合

バリチュ生産者組合は4つのファクトリーを運営していて、ここガトンボヤの他に、カラティナ・カリンドゥンドゥ・ガトゥリリというファクトリーを運営しています。今回視察に訪れたガトンボヤファクトリーはオニバスコーヒーでも以前から扱ったことがある馴染みのあるファクトリーです。ちなみにカラティナも取扱実績あり。

ここガトンボヤファクトリーに収穫したチェリーを持ち込むメンバーは約2800人ほどで、生産者の畑では主にSL28、SL34、Ruiru11という品種を育てています。ファクトリー所在地の標高は1,770mで、赤道直下の日差しは非常に強いです。

メインクロップは10月から1月で生産量は約17トンとのこと。

 ファクトリーマネージャー
写真中央がファクトリーマネージャー。まだ若く、新しい取り組みを意欲的に行っています。ごめんなさい、名前を失念しました。

ガトンボヤ従業員
ガトンボヤファクトリーでは20代から30代の若い世代の従業員が多いそうです。

アフリカンベッド
訪れたこの日、アフリカンベッドでは今期最後の収穫分が干されていました。

ファクトリー内は、機械式パルパー(果肉除去装置)や発酵槽、水路などは清潔に保たれていて、ゴミが散乱した様子もなくとても綺麗に手が行き届いてるのが印象的でした。

ビニールハウスビニールハウス内

そして、ガトンボヤファクトリーの新しい取り組みがこのビニールハウスです。日本の畑ではお馴染みの光景ですが、世界で見ると意外と無いんです。近年の天候不順にこのビニールハウスで対応できるため、乾燥工程の効率を高めることができるそうです。

また最近では直射日光を避けスロードライングを行うことで、精製後の生豆の劣化(枯れる現象)速度が穏やかになるとも言われていて、各国の生産現場で続々と導入が進んでいます。さらに、スロードライングを行うことで、雑味が少なくクリーンな風味が際立つことも確認されています。ニエリ地区では今年初めて取り入れられたそうです。

メッシュ素材

ビニールハウスの側面とアフリカンベッド自体もメッシュ素材となっているため通気性は抜群。

ガトンボヤでは今年のロット(2022年10月〜2023年1月収穫)から、この新しい乾燥工程を経た豆が出回ります。当然うちも買いました。期待大。


・・・

今回のレポートはここまで!

次回のvol.4でケニア買い付けレポートはいよいよ最終回。視察に訪れた残り2箇所のファクトリーの様子と、購入ロットを確定する最終カッピングの様子をレポートします!最後まで、何卒よろしくお願いいたします。

Vol. 4に続く

Text by Yohei Kimura

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