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現地買い付けレポート〜ケニア編vol.1〜

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オニバスコーヒーで扱っているコーヒー豆のほとんどは、実際に生産地を訪れて買い付けをしています。1月下旬には
ケニアへ豆の買い付けに訪れました。皆さんは、ケニアのコーヒーにどんな印象を持っているでしょうか。私が抱いている印象は、強いボディー、骨格を際立たせる明確な酸・ベリーや柑橘・ストーンフルーツといった果実味溢れるフレーバー。

今回のブログでは、そんな味わいを持つコーヒーが出来上がる舞台裏では、一体何が行われているのかをテーマに現地での工程を追いながら、何週かに渡ってレポートしていきたいと思います。

そしてこのブログを通じてケニアのコーヒーに興味を持ってもらえると嬉しいです。

day1 ケニア到着

初日の昼過ぎにケニアに到着し、まずは拠点のホテルに移動。同行する輸入商社スタッフと、ケニア国内で今回お世話になる”ドーマン社”現場ディレクターのアンドレス氏と、同じくドーマン社の品質管理マネージャーのケネディ氏を交え、今回の工程と買い付けの量などを確認。

アンドレス氏
写真は今回アテンドしていただいたドーマンのアンドレス氏。

ホテル
上の写真は今回ナイロビ滞在時に利用したFairview hotel。大使館が立ち並ぶ閑静なエリアに位置し、緑が多い歴史のあるクラシックホテル。日本ではなかなか見ない植栽や樹々にアフリカを感じました。

day2 オークション会場視察&ドーマンでカッピング

この日より本格的に買い付けを開始しました。まず訪れたのは、ケニアコーヒーの流通を知る上で欠かせないオークションというシステムの本拠地、「ナイロビコーヒーエクスチェンジ」の視察。今回最初の工程となったこのオークション会場の視察ですが、ケニアコーヒーを体系的に知ってもらうために、簡単にケニアコーヒーサプライチェーンを説明しながら進めます。

サプライチェーン

ケニアでは 『Farmer’s Co-operative Society』(FCSと略します。)と呼ばれる生産者組合があります。農家さんはこのFCSに所属し、FCSはそのエリアでファクトリーと呼ばれる水洗工場を運営しています。

自宅近くの畑でコーヒーチェリー(コーヒーの実)を収穫した農家さんは、近隣のファクトリーにその実を持ち込みます。ファクトリーではその日に持ち込まれた複数農家のコーヒーチェリーを、その日のロットとしてまとめ、処理を行います。

このように、ケニアのコーヒーは単一農家さんの収穫した豆でロットが作られるのではなく、複数農家さんの持ち寄りによってロットが作られるため、最小単位がファクトリーになるのが主流です。ケニアのシングルオリジン銘柄に、ファクトリーの名前が冠されることが多いのはそのためです。(少ないですが、シングルエステートの豆ももちろんあります。)

果肉除去機
果肉除去機

 

発酵タンク水洗場
発酵タンクと水洗場


アフリカンベッド
乾燥場(アフリカンベッド)

ファクトリーでは果肉除去・発酵・水洗・乾燥などの一連の工程が行われ、コーヒーチェリーからパーチメントと呼ばれる殻に覆われた生豆の状態まで精製を行います。その後ドライミルへ運ばれます。ドライミルは主に製品出荷前の処理をメインとした作業を行う工場です。脱穀をし、大型の篩(ふるい)や”カラーソーター”と呼ばれる豆の色選別機などを利用して、異物の除去やスクリーンサイズによるグレーディングなどが行われています。そしてロット毎に麻袋へ60kg単位で袋詰めが行われ、出荷までの間保管をしています。

生豆
ここまでの工程を経て、FCS(生産者組合)が完成したロットをオークションに出品します。日本の市場で行われるセリをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

このオークションは1930年代にケニア政府主導で開始された歴史あるマーケティングシステムで、現代ではケニアコーヒーサプライチェーンの一つの特徴となっています。

ナイロビコーヒーエクスチェンジ
ナイロビ市内の市場(たぶん)の一角にあるビルに入っているナイロビコーヒーエクスチェンジ。入り口に掲げられたプレート。

オークション会場
オークション会場内。
写真はまさに今オークションが進行している様子です。オークションを取り仕切る競売人がステージに設置されたパソコンで進行を管理しています。一応パソコン画面が会場の参加者にも向けられているが、コロナ以降、現在では全てオンラインで開催されているとのこと。当時は写真中央に競売人が登壇し参加者がその場で入札するスタイルだったそう。

オークションでは、収穫された全てのグレードが取り扱われます。ここでいうグレードとは、サイズや形状を基準とし、スペシャルティやコマーシャルなどの品質グレードに関わらないグレードです。

PB:コーヒーチェリー1個につき1つしかない丸みのある豆(本来は、コーヒーチェリー1個につき、2つの豆が入っている)
AA:大粒の豆 (ふるいの穴のサイズ 7.20mm)
AB:AグレードとBグレードのコンビネーション(ふるいの穴のサイズ 6.80 mm)
C:B よりも小さい豆
E:エレファント。最大の豆
TT:全てのグレードから吹き飛ばされた軽量豆。エレファントのかけらになったものも含む。
T:最小そして最細の豆。壊れた豆、不完全な豆を含む。

オークションに参加するのは、ケニア国内の販売店に卸す仲卸業者や販売店バイヤー、海外のバイヤーへ販売する輸出業者など様々。オークションの際は、上記グレードの他に生豆・焙煎豆・抽出された品質から評価され入札されます。

今回買い付けに訪れた輸出商社のドーマン社は、毎回このオークションに参加し、我々のような輸入業者に販売する豆を落札しています。

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写真はオークションが行われている時の画面。数十秒の内に次々と落札されていきます。

出品リスト
出品リスト。10ページくらいにギッシリ。 

サンプルルームサンプルルーム
上の写真はオークション会場と同じビルにあるサンプルルーム。今回特別に視察させていただきました。ここでは出品される全てのコーヒーが集められています。

 

オークション進行確認
オークションの進行をPCで見守りながら、出品された実物を確認しています。

以上が、ケニアコーヒーのマーケティングシステムの主流となっているオークションが行われるナイロビコーヒーエクスチェンジの視察の模様でした。

なお、2006年以降はオークションを介さず、FCSからダイレクトトレードをする取り組み“第二の窓(Second Window)”も始まっています。ケニアのコーヒー産業について、もっと詳しく知りたい人は駐日ケニア共和国大使館のホームページが秀逸なのでぜひ。http://www.kenyarep-jp.com/business/coffee/

ナイロビ市内と郊外の様子

ナイロビコーヒーエクスチェンジ視察の後、ナイロビ郊外のタツ市に拠点をおくドーマン社へ向け出発しました。せっかくなので街中の様子をシェアします。オークション会場の近くはマーケットになっており、人も多くかなり賑やかでした。

マーケット
マーケット。上からの眺め。

 

マーケット

普段日本で生活していると雑に映りますが、公共スペースで場所と販売する物を譲り合っていて、必要最小限の販促什器でとても省エネに店が運営されてます。

またケニアは幹線道路が少なく、特に市内では激しい渋滞に巻き込まれました。運転手曰くいつものことだそう。信号機は市内の特定の場所しか機能しておらず、警察官が手旗で信号の代わりを務めている光景も数多く見ました。

信号機
上の写真は街中の交差点付近の様子。信号機はあるが機能していませんでした。
そしてこの写真では歩道が舗装されていますが、もう少し郊外に行くと車道以外は舗装してある箇所は少ないようでした。

放牧
幹線道路脇で放牧。

フライパン

露店でフライパン。

こんな光景を横目に車で3時間。ついに今回一番の目的地、ドーマン社へ到着しました。

ドーマン社

3〜4年前にナイロビ市内から郊外のタツ市へ、新築オフィスに移転したということで、めちゃ綺麗。ここに至るまでの道すがら、露店の風景や非常に野生的な生活環境を目に焼き付けた著者はとにかく綺麗で現代的かつ機能的なオフィスにとてつもない安心感を覚えました。

ということで、今回はここまで。

次週以降で実際の買い付けカッピングや、水洗工場を回った様子をレポートしますー。お楽しみに!

Vol. 2 を読む

Text by Yohei Kimura