2022.8. 4

これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜

去年ってこんなに暑かったっけ?と思うほどの猛暑日が続きますね。筆者はこんな季節でも楽しく自転車通勤しています。電車通勤でも遊びに出かけるときでも日焼け対策と水分補給はしっかりと行なって体調管理徹底していきましょうね。 さて、前にご紹介したコーヒーの伝播の話と少しだけ品種にも触れましたが、今回のブログではコーヒーの品種にスポットを当てて皆さんに紹介していこうと思います。一般的なアラビカ種の解説から、最先端のコーヒーシーンでのトレンドなども紹介します。先に言っておきますと途中からかなりギークな内容になります。頑張って着いてきて下さいね。お楽しみに。それではいってみましょう。 アラビカ種から派生する2大品種 スペシャルティコーヒーにおいて、一般的に扱われるコーヒーはこのアラビカ種になります。アラビカ種はカネフォラ種(ロブスタ種)、リベリカ種と併せて3つに分けられることが多いですが、特に重要なのはアラビカ種のなかでもティピカ種、ブルボン種の2種であり、これらを押さえておくと良いでしょう。これらの2種から突然変異や交配によって非常に多くの品種が生まれています。聞いたことのある品種も元を辿るとどちらかに行き着くというのはあるあるです。 ①ティピカ種 ティピカは歴史的に見ても最も古い品種のひとつに数えられます。「典型的な」「標準的な」というスペイン語が語源になっていると言われています。ティピカは繊細な酸と甘さの伴う素晴らしい風味特性を持つコーヒーとして重宝されていますが、サビ病や直射日光に弱く、生産量も多くないという特徴があります。様々な生産国へ持ち込み、その土地に合わせて品種改良や突然変異が起き、多くの有名品種が誕生しています。例えば、突然変異種としては先のブルボンもこれに当たりますし、ブラジルで多く生産されるマラゴジッベも該当します。さらにその突然変異種を交配することで生まれるのがハイブリッド種になります。(後述します。)残念ながら、長きに渡る変異や品種改良などによって純粋なティピカはもう存在していないと言われています。 ②ブルボン種 先ほどのティピカ種から突然変異したのがこのブルボン種でしたね。ブルボンはマダガスカル島で突然変異したという話は前回のこちらでもお話したかと思います。しっかりとした甘さがあり、スペシャルティコーヒーの市場では根強い人気を誇ります。通常、コーヒーチェリーは赤いものが完熟している状態ですが、ブルボンは完熟した色合いが生産国によっては違い、通常通り赤く完熟したものをレッドブルボン、黄色はイエローブルボン、最近非常に人気が高く高価に取引されているのは、ピンク色に完熟するピンクブルボンな多岐に渡っています。 もちろん生産国ごとの突然変異種も有名なものが多く、ブラジルではカトゥーラ、エルサルバドルではパカス、コスタリカではビジャサルチなどなど非常に多くあります。 ハイブリッド種とは ハイブリッド種とは本来遺伝子的に交配することがないとされていたアラビカ種とカネフォラ種の交配種が東ティモールで発見されました(染色体の数が違うため交配しないとされていました)。ティモールハイブリッドと名付けられたこの品種は、カネフォラ種由来のサビ病の耐性を持っていましたが、カップクオリティはあまり高くなく、この品種を品種改良していき様々な交配を経ていったと言われています。 サビ病や直射日光、または生産量が少ないなどの問題を解決するために人工交配は進み、生産国ごとに研究機関があったり多くの研究がなされています。ここで全て紹介したいところですが、無限なので割愛して抜粋していくつかを紹介します。気になる方はガンガン調べてみてね。 ①カトゥアイ種 カトゥアイ種はブラジルで生まれた人工交配のハイブリッド種です。ブルボン種の突然変異で生まれたカトゥーラ種と、ブルボン種とスマトラ種が自然交配によって生まれたムンドノーボ種との人工交配。カトゥアイは甘さと酸味のバランスがとても良く、ブラジルやグアテマラでもよく見られる品種ですね。こちらも上記のブルボンと同じように黄色で完熟するイエローカトゥアイなどもあり、非常に人気があります。カトゥーラとよく間違えられがちですね。 ②パカマラ種 パカマラ種はその名前にヒントのあるハイブリッド種です。エルサルバドルで見つかったブルボンの突然変異種パカスと、ブラジルでみつかったティピカの突然変異種マラゴジッベの人工交配によって誕生しています。パカマラの特徴はなんと言ってもその種子の大きさ。見たらすぐに分かるほどに大きなサイズは驚く人もいるかもしれません。酸味は少し穏やかですがしっかりとした甘さとクリーミーな質感にオリジナリティを感じる品種です。 ③Ruiru11 ケニアでSL28やSL34は良く見ると思いますが、これらの病気に対する弱さを克服するために生まれたのがRuiru11(ルイル11)です。SL28、SL34、K7、スーダンルーメなどを掛け合わせたものとカティモールを交配させたRuiru11は、ケニアらしいジューシーなテイストを残しつつ病気にも強いため最近ではほとんどこのRuiru11が入っていますね。ケニア以外でもSL28が植えられ始めているので、Ruiru11もそのうち色々な生産国で植えられるかもしれませんね。最近よく聞かれるBatian(バティアン)はこのRuiru11から選別された品種です。 最近のトレンド   World Barista Championship2019の優勝者Jooyeon Jeonさんのファイナル競技の様子。素晴らしかったですよね。 コーヒーの品種にも実は流行りがあります。コーヒーは農作物なのでその年々によって味わいの差こそありますが、大きく流行を左右するものがあり、それはコーヒーの競技会です。毎年世界大会のあるワールドバリスタチャンピオンシップ、ワールドブリュワーズカップなどの決勝で使用されるコーヒー豆は、その後新しい流行になることが多いです。これは品種とは別ですが、最近の世界大会では最高級のシングルオリジンを掛け合わせるブレンドが主流です。ブレンドもきっとそのうち流行ることになるでしょう。 それでは最近人気になってきている注目品種について紹介していきます。 ①シドラ種 2019年のワールドバリスタチャンピオンになった韓国代表Jooyeon Jeon(ジュヨン ジヨン)さんが使用したことで一躍有名になったことで知っている方も多いかもしれません。(素晴らしいプレゼンテーションは是非見てみて下さい。)シドラ種はネスレ社がエクアドルで開発したティピカとレッドブルボンのハイブリッド種です。スパイスのような複雑な香味を伴い、完熟したフルーツ感、豊かな甘さなどをバランスよく楽しめる品種です。まだまだ希少品種の部類かと思いますが、日本国内でも少しずつ見かけるので、是非試してみて下さい。...

これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜
2022.6.30

ホンジュラス買い付けから観える世界〜素晴らしいコーヒーの生産に携わる人達との出会い〜

『ホンジュラス共和国』 そこは、私の人生において初めてコーヒー豆の買い付けのために訪れることになった国。 それまでの私にとってホンジュラスコーヒーは「中米の生産国のひとつ」程度のぼんやりとした印象のみで、それ以上に興味を向ける対象ではなかったっと言っても過言ではありません。 この記事を読んで、この国から生まれる素晴らしい作品創りの支えに触れることで、普段意識を向けることのなかった世界への想像を膨らませるお手伝いができれば、と思いっています。

ホンジュラス買い付けから観える世界〜素晴らしいコーヒーの生産に携わる人達との出会い〜
2022.5. 5

コーヒー豆がロースターに届くまで〜スペシャルティコーヒーの品質を左右する、生豆の梱包材の話〜

天候の変化は、私たちが生活していく中で日々気になることです。 実は、コーヒーの生豆も気温や湿度の変化にとっても敏感で、それが品質の劣化にも大きく影響を与えてしまうことをご存知でしょうか? というわけで今回は、品質管理に欠かせない「コーヒーの生豆の梱包材」について、ロースターの端山より発信しようと思います!

コーヒー豆がロースターに届くまで〜スペシャルティコーヒーの品質を左右する、生豆の梱包材の話〜
2022.3.17

浅煎りコーヒーが生み出す『フレーバー』の話〜スペシャルティコーヒーの味の表現と楽しみ方〜

皆さんが普段から飲んでいるコーヒーは、どのような味わいでしょうか? コーヒーを飲んでまず感じられる『酸味・甘味・苦味』のようなざっくりとした味の印象は、さらにはそれぞれが具体的にどんな酸味・甘味・苦味なのかを深堀りすることができます。 その深堀りできる”フレーバーの表現の幅広さ”こそが、スペシャルティコーヒーの魅力。

浅煎りコーヒーが生み出す『フレーバー』の話〜スペシャルティコーヒーの味の表現と楽しみ方〜
2022.3.10

唯一無二の味覚体験!エスプレッソの魅力〜少量の液体に詰まった美味しさの哲学〜

エスプレッソって飲んだことありますか?少量で濃そうだし苦そうなどのイメージがありますが、実はコーヒーの美味しさが詰まりに詰まった液体です。ラテやアメリカーノはもちろんエスプレッソをベースにしていますし、技術としての抽出も実は結構難しい。コーヒーが大好きであれば一度は試して頂きたいエスプレッソについて魅力を考えてみました。是非ご一読をして頂いて、ONIBUS COFFEEのエスプレッソを楽しんでもらえたら嬉しいです。

唯一無二の味覚体験!エスプレッソの魅力〜少量の液体に詰まった美味しさの哲学〜
2022.3. 3

【不定期配信】ロースターだより〜コロナ禍での買付事情〜

現在取り扱い中のシングルオリジンから、販売に至る裏話と、コロナ禍での買い付け事情をつらつらと。あまり知られることのない、ロースターならではのちょっとしたエピソードをご紹介します。今回は昨今の買付事情をルワンダ・ホンジュラス・エルサルバドルを例にお話します。

不定期配信ロースターだより〜コロナ禍での買付事情〜