- スペシャルティコーヒー
知っておきたい!コーヒーの「欠点豆」とは?〜スペシャルティコーヒーとの関係性〜
『欠点豆』
というコーヒー豆の存在をご存知でしょうか?
一口にコーヒー豆と言っても国や品種によって、一粒一粒の大きさ・固さ・重さなど違いは様々。その中でも、割れてる・欠けてる・小さすぎる・色がおかしい、などと言ったように、よくよく見ると形や表面に違和感を感じる豆も存在します。コーヒーは農作物なので、一つ一つに違いがあるのも当然の話です。
では、そのような豆が一体、1杯のコーヒーにどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、美味しいコーヒーを淹れることを目指すのならば見てみぬふりはできない、「欠点豆」に関してのお話しです。
欠点豆とは?
そもそも「欠点豆」とは、どういうものなのでしょうか?
ざっくりとお伝えすると、”コーヒーの味に悪い影響を与えてしまう豆”であるということ。
コーヒーの生産地でコーヒーチェリーを収穫し精製する過程の中で、豆の選別と異物排除を行う工程がありその際に「欠点豆」もある程度取り除かれます。しかし、その場で完全に排除する事は難しいもの。また、どんな精製方法なのかによっても、取り除ける限界は異なります。(その精製方法については、こちらの記時もぜひ読んでみてくださいね!)
更に、コーヒー豆内の異物に関しては、精製後の輸出入の過程や管理状態に寄っても、再度混入してしまう可能性も大いにあります。
ですので、欠点豆除去に対してどんなに綿密な精製方法であっても、生産地である程度の豆の選別がなされていたとしても、改めて焙煎時や抽出時において「欠点豆」の存在は念頭に置いておかなければなりません。
欠点豆の種類と特徴
ではまず、どんなものが「欠点豆」であるかを知る為に、代表的な欠点豆の特徴を紹介します。
変形しており目視でわかるもの
味には大きく影響を及ぼしませんが、混入が目立つと若干の雑味になる可能性があるので、クリーンカップを目指すなら是非とも取り除きたい欠点豆です。目視で変形が確認できる豆の特徴は以下の3点です。
・欠け豆、割れ豆
部分的に欠けている豆を「欠け豆」、割れている豆を「割れ豆」と言います。コーヒー豆らしい楕円の形をしいていないので目視でも分かりやすく、発見することが出来ます。
精製時の脱穀や乾燥時に欠けてしまったり、運搬の過程で何かしらの衝撃で欠けたり割れたりしてしまうことなどの要因がありますが、主に外的要因によって欠点豆になってしまう場合がほとんどです。
・未成熟豆
大きさがやけに小さかったり形がいびつな豆を「未成熟豆」と言います。まだ成熟していないうちに収穫されてしまうのが要因です。十分に成長していない為、混ざったまま抽出を行うと、若干青臭さを感じます。
・貝殻豆
外観が殻のようで中が空洞になっっている豆のことを、「貝殻豆」と言います。そうなってしまう要因は遺伝的なものなど様々あるのですが、説明すると長くなってしまうのでここでは割愛しますね。
空洞がある為、焙煎時に火が入りやすく焼きムラが目立ったり、抽出時に混ざってしまうと少し焦げた印象にもなります。
表面に斑点やムラがあるもの
コーヒー豆の形は正常だが、表面に斑点やムラがあるものは、味への悪影響が大きくなります。分かりやすいものもあれば、見分けが難しいものもあるので、心配なら全て排除してしまうのが無難です。
・カビ豆
コーヒー豆の表面や割れ目に、主に青カビが生えている豆を「カビ豆」と言います。収穫から保管の過程で発生します。カビはカビなので味云々より人体にも良いものではないですね。
・発酵豆、黒豆
発酵しすぎてしまった豆を「発酵豆」と言います。精製方法の過程でコーヒー豆を発酵槽へ浸ける工程があるのですが、長時間浸けすぎたり、発酵槽の汚れ・水の汚染などが発生の原因です。さらに不適切な乾燥や過発酵などで黒く変色したものが、「黒豆」です。不快な異臭や雑味になるので、必ず取り除きます。
・虫食い豆
コーヒー豆の表面にポツポツと黒い穴が空いている豆があったら、それは「虫食い豆」の証拠。生産国で幼虫が豆に穴を開けてしまったもので、これは異臭や雑味の大きな要因となります。
コーヒー豆ではない、異物
代表的なのが小石やトウモロコシなど。
小石は、焙煎したコーヒ豆に似た色や見た目のものもあるので、目視はもちろん、コーヒー豆をしっかりと手で掬い上げて手触りでも確認する必要があります。小石が混ざっている場合、見分けられずにグラインダーで挽いてしまうと、機械の故障の原因にもなるので要注意です。
トウモロコシはそのままトウモロコシです。取り除かないと、稀に、焙煎終了後に弾けたポップコーンが混ざっていることも!なのでその時には明らかに分かります。
上記で挙げた欠点豆や異物は一部に過ぎなく、実際の現場ではその他にも様々なものが発見されます。異物に関しては、コーヒーが液体になった時点で混入しいてることはまずありませんが、欠点豆は意識して排除をしないと、カップクオリティーの低下の原因にもなりますので注意しましょう。
そして、それら欠点豆や異物を取り除くために必要な作業が、「ハンドピック」というものです。
欠点豆を取り除く「ハンドピック」とは?
欠点豆や異物を取り除く手作業のことを、「ハンドピック」と言います。一粒一粒の豆を目視して手で触れながらコーヒー豆を吟味し選別していく、それはそれはとても地道な作業です。
生産地での精製処理後や焙煎前後に必ず行う作業なのですが、いざコーヒーを淹れようと必要な分量を量ると、その少量の中にでさえ意外と見つかったりもします。
その欠点豆を一つ一つ丁寧に取り除くことで、とてもクリーンで美味しいコーヒーになる可能性が格段に上がり、コーヒー豆本来の味わいをより感じられるようになります。
スペシャルティコーヒーには、欠点豆は無い!?
ここまで欠点豆に関して少し詳しく説明してきましたが、実は、私たちが扱うスペシャルティコーヒーの豆は、そもそも欠点豆の混入は極めて少ないのが事実。逆に、そうでなければスペシャルティコーヒーとは呼べないのです。
というのも、SCAA(Speciality Coffee Asociation of America)では、スペシャルティコーヒーと呼べるものに対する欠点豆評価として、一定量に対しての「欠点数」の判断基準が定められており(”欠け豆5粒で1欠点”などのような基準がある)、なおかつSCAAのカッピングフォームに基づく評価が80点以上のものを”スペシャルティコーヒー”としています。(スペシャルティコーヒーの定義に関しておさらいしたい方は、こちらの記事をご覧くださいね!)
つまり、スペシャルティコーヒーであるということは、精製過程で機械や人の手による厳格な審査の道を経て、私たちの手に渡ってきているということ。欠点豆の存在を知るということは、美味しいコーヒーを淹れる為に無くてはならない知識なのです。
ハンドピックをしてみましょう
「欠点豆」という概念からは少し逸れますが、ブレンドはもちろん、シングルオリジンでもいくつかの品種が混ざっているものはよーく見てみると、一粒一粒の豆の大きさが僅かながら異なりますし、焙煎後では焼きムラもあります。これは、純粋に品種の違いや焙煎に起因している可能性も大いにありますが、その中でも欠点豆かな?と思うものが見つかるかもしれません。豆を観察してみると面白い発見があるかもしれませんよ。
少しマニアックですが、シングルオリジンの豆を大きさで分けてみて、粒度を揃えた豆だけでコーヒーを淹れてみたり、あえて、頑張って集めた欠点豆だけでコーヒーを淹れてみたり、並べてカッピングをしてみても…色んな味の発見があって面白いかと。そんなことができるのも、スペシャルティコーヒーの魅力かもしれません。
さいごに
余談ですが、私自身、数年前にハンドドリップのコンペティションに出場した経験があります。
ちょっと面白いルールで、その日にその場で渡されたコーヒー豆を使い、与えられた時間内で自分でレシピをつくり挑むというもの。私はレシピを考えた後、自分の出番が回ってくるまでひたすらハンドピックをしていた覚えがあります。(ドリップ技術以外の不安要素をできるだけ除こう、という気持ちでした笑)その際のカップの審査では、なかなか好印象の評価を頂き、ハンドドリップの技術はもちろん必要ですが、ハンドピックを丁寧に行うことのの重要性を肌で感じました。
皆さんも、自宅でコーヒーを淹れてる際に美味しくならないな、レシピをどうしたら良いのかな、と思うことがあれば、一度コーヒー豆一粒一粒と向き合い、ハンドピックをしてみると良いかもしれません。
何度もお伝えしていますが、たとえどんなに高品質はスペシャルティコーヒーであったとしても、欠点豆を理解しハンドピックを行うことは、美味しいコーヒーを淹れる為には欠かせないこと。ぜひ、今回お話しした欠点豆の特徴を参考に、騙されたと思って行ってみてくださいねー!
オニバスコーヒーでも、多くの種類のコーヒー豆を扱っております。ぜひオンラインショップを除いてみてくださいね。