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MOVIE × COFFEE〜コーヒーの映画を観ながら生産国へ想いを馳せて〜

12月も後半に差し掛かり、そろそろ年越し支度を始めなきゃ、、、というところですね。私たちONIBUS COFFEEの年内営業は29日(木)まで(奥沢店は25日(日)まで)、2022年の営業も気づけば残すところあと1週間となって参りました。

年末年始は仕事から離れ、家族と過ごしたり地元へ帰ったり、皆様それぞれの時間の過ごし方があることでしょう。今のところ予定がまだないのでひたすらゆっくりしようかな、、なんてのもお正月休みらしくていいですよね。

まだ予定のない方。突然ですが、家で映画鑑賞なんていかがでしょうか?前置きからの急な振りですが(笑)今回の記事では、ぜひ観ていただきたい”コーヒーにまつわる映画”についてです!

年末年始はコーヒーを片手に映画鑑賞を。この記事を読みながら、映画と一緒に飲むコーヒーも思い浮かべてみてくださいね〜。 

1、『おいしいコーヒーの真実』

おいしいしいコーヒーの真実

まず映画のタイトルにドキッとします。真実って良い意味なのか悪い意味なのか、、、こちらの映画は2006年(日本では2008年)に公開されたドキュメンタリー映画です。舞台はアフリカ最大のコーヒー生産国であるエチオピア。スペシャルティコーヒーで扱う”アラビカ種”の原産国でもあるエチオピアは私たちロースター・バリスタにとっても、まず真っ先に思い浮かびますし、なくてはならないコーヒー生産国の一つです。

ただ、この映画は、コーヒーの中でも「コモディティコーヒー」(一般的に安価で流通しているコーヒー豆のことで、先物取引によってニューヨークとロンドンの市場により国際価格が決められ売買されるコーヒー)に焦点が当てられています。舞台であるエチオピアでコーヒー生産者の地位向上の為に活動する主人公が中心となり、世界の経済や貿易そしてその不均衡の実態が明らかになる映画、といっても過言ではありません。

今やコーヒーの消費量は全世界で1日20億杯以上と言われており、万国共通でメジャーな飲み物です。貿易面からみても石油に次ぐ取引規模を誇る国際商品なのですが、そんな国際コーヒー価格は遡ること1989年以降に低迷期、いわゆる「コーヒー危機」を経験しています。この危機の要因として、国際コーヒー協定(ICA)の廃止による生豆の価格の暴落が主に挙げられるのですが、この映画ではまさにそのコーヒー危機の影響をダイレクトに受けた生産国の現状が明らかにされています。

私がこの映画を観ていて最も衝撃を受けたこと。分かりやすく映画中の数字で説明しますが、当時のエチオピアで収穫されたコーヒーチェリーは、1kgにつきせいぜい2ブル(ブル:エチオピア通貨、1ブル=約20円)しか生産者に支払われておらず、その1kgが消費国では2000ブルで売買されているということ。

企業側は利益を生む為に原材料代を低く抑えるのは当然のことではありますが、この生産者を度外視したとも言える差には衝撃を受けました。

たとえそのコーヒー豆が高品質であったとしても、生産地や品種・品質など全ては関係なく市場価格に左右され低価格で売買されてしまうのです。生産国のコーヒー農家や家族はその取引価格に対して交渉の余地もなく、安値で買われた生豆の価格により貧困な生活を送り緊急食糧援助を受けるほどの食料危機に見舞われているのです。かつてはコーヒー栽培で生計を立てることができていたはずの一家がコーヒー価格が急落したことで収入がなくなり、その状況がいつ良くなるのか、先が見えないままコーヒーを生産し続けるという現実。

正直、コーヒー産業の悲しい真実を目の当たりにしてしまう少し胸が苦しくなる映画ですが、ぜひ一度は皆さんに観て欲しいです。そしてさらに悲しいのは、世界中のコーヒー市場の中では、実はまだまだこのコモディティーコーヒーが主流であるということ。それはどういう事かというと、コーヒー危機程までの価格低迷がなくとも、コーヒーの生産国・生産者へ適切な金額が支払われていないことが現実なのです。コーヒーを生業とする私たちにとっても決して無視してはならない問題ではあるのですが、私たちが扱っているコーヒーは紛れもなく「スペシャルティコーヒー」であることを忘れてはなりません。

そんなスペシャルティコーヒーに焦点を当てた映画が、下に続きます。

2、『A FILM ABOUT COFFEE』

A FILM ABOUT COFFEE

2014年に公開された、こちらもドキュメンタリー映画。余談ですが、ちょうど私自身がスペシャルティーコーヒー業界に入り、この映画によりコーヒーの魅力がさらに大きくなったきっかけでもあります。この映画を初めて観た当初、勉強したな〜と思える言葉がどんどん出てきたり、東京のコーヒーショップも少し出てくるので親近観もあったりして、とてもウキウキしたのを覚えています。

この映画ではスペシャルティーコーヒーの起源や経歴を辿ることができますし、それらを知るには欠かせない重要人物やロースター・生産国の事などが分かりやすく撮られています。例えば、スペシャルティコーヒーの提唱者である「エルナ・クヌッセン」や、カップオブエクセレンスの創始者である「ジョージ・ハウエル」、業界の先駆けのアメリカのロースターとも言える「リチュアル・コーヒー・ロースターズ」や「カウンター・カルチャーコーヒー」など。

今スペシャルティーコーヒー業界に従事している方は知っていて当たり前の内容かも知れませんが、まだ観ていない方は是非とも観ていただきたい映画です。

何よりも「スペシャルティコーヒーとは何ぞや」ということが分かりやすく表されていると思います。

さらに、先述の映画の題材である「コモディティコーヒー」とはっきりと違いが分かることは、「スペシャルティコーヒー」の”ダイレクトトレード”により生産者が商品市場から独立することができたということです。つまり、価格の変動が続いたとしても安定した生産コストが受け取れるということ。

そのシステムを持続可能にする為に最も重要なことがコーヒーの”品質”であり、その品質を守り向上していく為に、生産国・生産地・テルワール・品種・精製方法などが明らかな「シングルオリジンコーヒー」を取り扱い、その味わいを知る為に浅煎りの焙煎をする理由がそこにあります。さらには品質の向上や生産地の支援のために、ロースター自らが生産地へ足を運ぶことが珍しいことではなくなっているのです。

私自身、まだ生産地や農園へ行ったことはありませんが、このようなノンフィクションを観れば現地でどのようなことが起きているのかが分かりますし、有難いことにオニバスコーヒーでは現地へ買付けに行くスタッフもおり、彼らが実際に見て感じてきた物事を伝えてもらえる環境にいます。そしてそれを私たちバリスタ自身が自分の言葉で消費者へ伝えることが使命であると認識できるのです。(もちろん、百聞は一見にしかず。いつかは農園も自分の目で見てみたいものです。)

そしてこの映画には2つの生産国、ルワンダとホンジュラスが出てきます。両国ともオニバスコーヒーは現地へ足を運ぶ親交のある国です。彼らのコーヒー生産に対する思いや尽力する様子を知るだけでも、そのコーヒーを飲めることにとてもありがたみを感じますし、絶対に美味しく淹れよう!と思えるのです。

生産者にとって、スペシャルティコーヒーを生業とする私たちロースター・バリスタは消費者であり、私たちはコーヒーを飲む消費者へ、その品質を届けています。

海を渡り国境を越えてくるコーヒーが、今となっては当たり前のように私たちの日常の中にありますが、実はそれは当たり前ではなく、コーヒー豆が私たちの手に届くまで本当に多くの人が携わり、人の手によって大切に扱われていることを知らなければなりません。そして1杯のコーヒーに高いお金を払うのは当たり前だと思えること。そして私たちが支払ったコーヒー代がきちんと生産者の手に渡り、生活の向上やコーヒー生産の更なる活性化などの為に使われ還元ができていると思うと、コーヒーを飲むならスペシャルティコーヒーを選ぶほかないと思えるのです。そんな、「From seed to cup」を改めて教えてくれるのがこの映画です。

まとめ

2本の映画を紹介してきましたがいかがでしょうか。時間が許せば是非とも2本続けて観るのをおすすめします!スペシャルティコーヒーへの知識がグッと深まることでしょう。そんなことができるのも、年末年始のような長期休暇ならではかもしれませんね。(ちなみに、私はアマゾンプライムで観れました。)

私たちは街のコーヒーショップとして、そして1人のバリスタとして日々コーヒーを淹れ、そして時には消費者として毎日のようにコーヒーに触れています。大袈裟かもしれませんが、これらの映画を見た後は、日々のコーヒー1杯の重さが分かるといっても過言ではありません。

さて、冒頭でお話しましたが、この2本の映画を見ながら飲むコーヒーは決まりましたか。今回の映画で取り上げられていたエチオピアやルワンダのコーヒー、今オニバスコーヒーでもシングルオリジンがラインナップしていますよ。

ETHIOPIA / Worka Sakaro Lot “Teddy”
RWANDA / Ruli Lot1904

そして新たなホンジュラスのコーヒーも、年明けにはリリース予定!

今年も残り僅か。身体には十分気をつけ、素敵な一年をお過ごしください〜!!

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執筆者:小倉未紀