2023.5.26
  • サステナビリティ
  • スペシャルティコーヒー

現地買い付けレポート〜ケニア編 vol.4〜

現地買い付けレポート〜ケニア編 vol.4〜

現地買い付けレポート〜ケニア編 vol.4〜

オニバスコーヒーで扱っているコーヒー豆のほとんどは、実際に生産地へ行き、そこで買い付けをしています。今回は1月下旬にケニアを訪れた際のレポート第4弾(最後)です。場所をナイロビからニエリに移し、いよいよ買い付け工程の後半戦。ファクトリー視察の様子からレポートします。そして工程の最終日に行った最後のカッピングの模様まで。

ファクトリー(水洗工場)視察

前回からの続き。(前回はガトンボヤファクトリーの視察をレポートしていますので、そちらもぜひご覧ください。)買い付け工程の3日目は、ドライミルCKCMでのカッピングと、3箇所のファクトリー視察を行いました。

2、ガチャイシ生産者組合、ガチャイシファクトリー

ガチャイシ生産者組合、ガチャイシファクトリー

ここもオニバスコーヒーではお馴染みのファクトリー。ガチャイシファクトリーへ収穫したコーヒーチェリーを持ち込むメンバーは約1200人ほどで、生産者の畑では主にSL28、SL34、Ruiru11、Batianという品種を育てています。ファクトリー所在地の標高は1,720m。メインクロップは10月から1月で生産量は約16トンとのこと。

個人的に、今回のファクトリー視察で回った3箇所のうち、このガチャイシが一番印象に残りました。

ピーター氏
上写真の人物がファクトリーマネージャーのピーターさん。

このファクトリーでは敷地に入ってすぐの一番人目につく場所に、ビジョン・ミッション・モットーを掲げています。

ビジョン・ミッション・モットー

VISION
A leader in production and marketing of specialty coffee in Kenya.
ケニアにおけるスペシャルティコーヒーの生産と販売のリーダー。

MISSION
To enhance social economic progress of our members through production of Quality and Quantity specialty coffee.
品質と量にこだわったスペシャルティコーヒーの生産を通じて、農家の社会的経済的進歩を促進すること。

MOTTO
Kilimo biashara
農業商業化

このファクトリーの理念、特にスワヒリ語で記載されたモットーにグッときました。事業としてコーヒー生産に携わる姿勢、ビジネスマインド溢れるファクトリー運営に、非常に高いプロ意識を感じます。

 労働安全衛生に関するポリシー
写真は労働安全衛生に関するポリシー。

環境管理に関するポリシー
環境管理に関するポリシー。

ガチャイシファクトリーでは、このように人目につく所に、環境や労働に関する方針を掲げています。これらは訪問者へのプレゼンテーションと、このファクトリーに豆を持ち込む農家のメンバーに向けた啓蒙と教育のために実際に活用されています。

一見すると細かそうですが、内容自体は至ってシンプル。しかしコーヒーウォッシングステーションで、ここまで明確に理念を発信し、啓蒙をするところを他国を含めて私は知りませんでした。この時点ではまだコーヒーを精製する場所に踏み入れていませんが、既にこのガチャイシファクトリーは他とは異なる雰囲気を強く感じてました。

ここからいよいよ敷地内部を視察していきます。施設内に入ると、まず農家さんが収穫した豆の重量を計測する場所があります。

収穫時期を迎えたチェリーの標識

農家さんに向けた収穫時期を迎えたチェリーの標識。壁の色もいい。

”Prevent Back Injury. Bend Knees to Lift.”
”Prevent Back Injury. 
Bend Knees to Lift.”
体を労わる張り紙。なんかこういうところも◎。

そこを抜けると、、

アフリカンベッドが並ぶ姿
写真じゃどうにも伝わり難いですが、アフリカンベッドが並ぶ姿はまさに壮観。
標高が高いこともあり、見晴らし最高。買い付けに訪れた1月下旬は収穫末期のため、最後のロットが少しだけアフリカンベッドに並んでいました。

パルピングマシン水路と発酵層

パルピングマシン、水路と発酵槽もとても綺麗。清潔に保たれていました。工場長のピーターさんが視察メンバーに色々説明してくれました。水路の底には今後タイルを貼り、さらに衛生的にしていくとのこと。

肥料
除去された果肉は1箇所に集められ、その他の有機物と混ぜ合わせて肥料にします。

ファクトリー内にはモデル農場が設けられ、生産者に施肥方法・カットバック・収穫方法などを具体的に指導しています。

3、ムセカ生産者組合、チョロンギファクトリー

ムセカ生産者組合、チョロンギファクトリー

ガチャイシファクトリーから車で1時間ほど離れた場所、標高は1,825mにチョロンギファクトリーはあります。ムセカ生産者組合は、チョロンギのほか、カイグリ・カムユ・キアンドゥ・キグワンヂ・キフヨ・ムチャイニの合計7つのファクトリーから構成されています。しかしチョロンギ周辺は住宅地が増えてきて、栽培面積が減ってきているそう。

チョロンギのメンバーは約700人ほどで、生産者の畑では主にSL28、SL34という品種を育てています。メインクロップは10月から1月で生産量は約16トンとのこと。

エリナ氏、CKCM責任者のフィリップ氏
写真右がファクトリーマネージャーのエリナさん。右はCKCM責任者のフィリップ氏。

チョロンギ

私たちが訪れた時、チョロンギはメインクロップ(10月〜1月)期間に収穫した全ての豆の精製が終了し、敷地内は閑散とした状態でしたが、どこか牧歌的でとてものんびりした雰囲気がありました。とても落ち着く。

チョロンギにはガチャイシ同様にモデル農園があります。ここで生産者のメンバーに施肥方法や収穫方法などを指導しています。

余談ですが、

ケニアでチョロンギといえば、海外ロースターでよく取り扱ってるイメージがあります。実際に私も海外ロースターが焙煎した豆を何度も飲んだことがあります。ファクトリーマネージャーのエリナさんに聞くと、それもそのはず、このファクトリーは北欧やその他欧州、北米からバイヤーが年に数回通って品質のいいものから抑えていくそうです。悔しい、、。

Day4 ドーマンで最終カッピング

Day4 ドーマンで最終カッピング

前日の産地視察を終え、ニエリからナイロビのドーマンに戻り、いよいよ買い付け工程の最終日。これまでカッピングして購入ロットの候補を絞ってきましたが、最後のカッピングでは、それらを改めてカッピングし、実際に購入する豆を決定します。

カッピング風景

この日は朝から晩まで。ひたすらコーヒーと向き合いました。今回の買い付け工程で実際に並んだカップ数は400以上、ロットは206。

カッピングシート
カッピングのスコアシートもたくさん使用しました。

そしてその中から実際に買い付けたのは、、
・Gathaithi AA  (Gathaithi FCS/Nyeri) 15CK0001 
・Gathaithi AA  (Gathaithi FCS/Nyeri) 12CK0054 
・Gatomboya AA  (Barichu FCS/Nyeri) 15CK0005  
・Gathatha AA  (Gachatha FCS/Nyeri) 12CK0054  
・Kamwangi AA  (New Ngariama FCS/Kirinyaga) 12CK0026 

合計5ロット。超厳選しました。

ちなみに、この銘柄表記は「ファクトリー名_グレード_(生産者組合/エリア)_ロット番号」の並びです。以前のブログでグレードやFCSなどを説明していますので、気になる方はぜひどうぞ。

今回実際にファクトリー視察を行ったニエリ地区のガチャイシとガトンボヤを購入していますが、実はこれ、視察に行ったから購入したわけではなく、ブラインドでカッピング選別した結果、この2つが入っていたという奇跡。ファクトリーが素晴らしいとテイストも素晴らしいという事実。

そして実際に買い付けた豆は2023年5月中旬に日本に入港してきます。実際の販売は5月下旬から順次予定しています。

これにて、ケニア現地買い付けと産地の視察についてレポート終了です。皆様、ケニアのコーヒーを楽しみにしていてください!

最後に、日本へ帰国する直前によった空港横にあるサファリパークから。

サファリパーク

Text by Yohei Kimura

この記事をシェアする:

おすすめ商品