- サステナビリティ
ONIBUSで”サステナブル”を体感しよう〜街のコーヒーショップから未来を変えていく〜
ONIBUS COFFEEにとっては10周年の節目だった2022年も残りわずか。
怒涛の3店舗オープン、キッチンやペイストリーチームの創設、都外初進出など大きな変化のあった一年でした。店舗やメンバーが増えても、「クオリティ」「ホスピタリティ」「サステナビリティ」を軸にした”ONIBUS COFFEEらしさ”をみんなで体現していきたいと思っています。
今回はその中でも「サステナビリティ」のお話です。サステナビリティと聞くとカタいと思われるかもしれません。ですが、コーヒーショップというカジュアルな場所がサステナブルアクションに取り組んでいくことで、そこに訪れる人たちが、間接的にでも参加することができるなら、とっても身近な存在になります。「単純にコーヒーを飲みに来たつもりが、それが環境にとってポジティブなことに繋がっている。」私は、ONIBUS COFFEEはそんなコーヒーショップだと感じています。
ONIBUSが環境へ配慮する理由
今では聞き馴染みになった「サステナブル」という言葉ですが、起源は1987年に遡ります。経済発展のために、温室効果ガスの発生、水質・大気汚染など環境問題が顕著になるなかで、地球の未来や次世代のためを意味する「サステナブル(=持続可能)」は、スローガンとなりました。そして2015年の国連サミットで「SDGs」が提唱され、今日にいたります。
コーヒーの世界でも「2050年問題」が懸念されているのはご存知ですか?気候変動や病気の蔓延などでアラビカ種の生産可能地域が2050年には半減してしまうというもの。こう聞くと、コーヒーは”サステナブル”からすでに逸脱しつつあるのかもしれません。
それでも、「これからもずっと美味しいコーヒーを楽しみたい」という願いはやみません。コーヒーはやっぱりサステナブルでなくてはならないのです。環境問題に向き合い、生産地と生産者の生活を守り支えることは、コーヒーを享受し、そしてビジネスとする私たちの責任です。
ONIBUSのサステナブルな店づくり
ということで、環境への配慮は、コーヒーの品質やサービスと同じくらい大切なONIBUS COFFEEのテーマです。
今年2022年にオープンしたONIBUS COFFEE自由が丘店と那須店では、内装設計にもサステナブルな要素を取り入れました。
まずは自由が丘店で使われている木。大きな一本柱と、木肌と曲線を美しく活かした存在感のあるコーヒーカウンターは自由が丘店のアイコンです。これらは静岡県川根本町の山で、ONIBUS代表と、設計士が自ら間伐した杉です。
伐採というと環境にとってネガティブなイメージもあるかもしれません。しかし、間伐は森の手入れの一つ。木々が密集する杉林では、適度な間伐を施すことで他の木々の生育を助けます。そうして若い木が育っていくと、二酸化炭素の吸収率も上がります。間伐や土壌改善などの手入れは、森のために人ができること。とても自然な共生の仕方なのです。
那須店で目を引くのは、濃い茶色のラグのような床と大きな丸太です。
この床、実はコーヒーかすでできているんです!東京の店舗で排出された約9,000〜10,000杯分のドリップコーヒーかすを乾燥させて床の素材にアップサイクルしました。丸太はケヤキやクロマツなど、倒木も利用しました。太さや年輪の出方が異なるものを配置して、ハイテーブルや大きなコミュニティベンチのように使えます。那須という木々が多い土地で、そこに溶け込むような内装になりました。
どちらも想いをデザインや素材に込めた空間です。ぜひ実際に来店して感じ取ってほしいです!
コンポストでごみの排出量を削減
自由が丘店と那須店には、もう一つサステナブルな共通点があります。それが「コンポスト」です。営業でどうしても出てしまう生ごみをコンポスト(=堆肥化)しています。
自由が丘店にはコンポスト舎を設置し、そこに日々の営業で出るコーヒーかすや野菜・果物の皮などを投入しています。1ヶ月間では約150Lものごみの削減になっています!
コンポストは家庭菜園など使い道がないと、始めるのも続けるのも少し大変です。しかし、自由が丘店ではコンポストがいっぱいになったら、CSA LOOPでお世話になっている農家の奈良山園が引き取ってくれるので、無理なく続けることができます。先日のCSA LOOPの受渡し会でもコンポストの一部を引き取っていただきました。コンポストは農園でさらに完熟させた後、畑へと還っていきます。
夢のひとつであった循環のモデルができてとても嬉しいです。いつか、お客さんも使えるコミュニティコンポストもできればいいなと妄想しています。
7月にオープンした「GOOD NEWS」という施設にある那須店では、施設内でコンポストを稼働させています。敷地内の森で集めた落ち葉や、近隣のコメ農家から譲ってもらった米ぬかを混ぜてコンポストの基にしています。訪れた人が興味を持ってくれるように、回転式のコンポスターにはQRコード付きの看板が設置され、コンポストの詳しい説明に簡単にアクセスできるようになっています。もちろんコーヒーかすはここでも堆肥化していて、重量も集計しています。オープンから12月までの約5ヶ月間で、ONIBUSからはなんと312kgもの生ごみを堆肥化させています。コンポストがなければ、これを普通に捨ててたと考えると想像もつかないほどの量ですね。日々少しずつでもごみを減らす重要性を実感します。
コンポストが気になる人は、家庭用コンポストを試してみてはいかがでしょうか?ごみの量が目に見えて減ると達成感がありますよ!
「使い捨て」より「繰り返し使えるもの」を
さて次は、お店に来てくれる人ができるアクションについて。
コーヒーが人々の生活の一部になって、いつでもどこでもテイクアウトで気軽に楽しめるのはコーヒー屋としては嬉しい限り。しかし、ICO(国際コーヒー機関)の調査では、テイクアウトカップのごみは世界で年間6000億個という結果も出ています。手放しでは喜べない状況です。
そこでONIBUS COFFEE / ABOUT LIFE COFFEE BREWERSでは、一度の使用でごみになってしまうテイクアウトカップの使用量削減のために、タンブラーなどの繰り返し使える容器の使用を推奨してます。みなさん、テイクアウトの気分の時にはタンブラーを持ってきてくださいね!マイタンブラー持参でドリンクから20円引きもしていますよ。
「使い捨てカップは嫌だけど、だからといってマイタンブラーを持ち歩くのは荷物になるしちょっと億劫、、、」という私みたいな人におすすめなのが、CUPLESというサービスです。専用のスマホアプリをダウンロードするだけで、加盟店でリユーザブルカップを借りたり返却したりが無料でできるので、いつでもタンブラーを持ち歩く必要はありません(詳しくは→CUPLESサイト)。現在は都内を中心に50店舗の加盟店があります。
エリアが離れた那須店では、CUPLESは使えませんが、代わりに”UNDER THE TREES"というGOOD NEWSオリジナルのリユースカップがあります。頻繁に利用する方や、施設散策には、ぜひ使ってくださいね。
2022年12月1日から29日までは、目黒区のエコテイクアウト推進事業の一環で、目黒区内にあるONIBUS COFFEE(中目黒店・八雲店・自由が丘店)で、マイタンブラーまたはCUPLESのご利用でドリンクから50円引きのキャンペーンも実施中です。
この機会にたくさん使って、マイタンブラーやCUPLESを新しいコーヒー習慣にしてください!1回切りの使い捨てはなるべく少なくしていきましょう。
スペシャルティコーヒーをもっとカジュアルに
これらの取り組みは、コーヒーの生産地の問題に直結していないように感じるかもしれません。ですが、まずは身近なところから少しずつ、環境のためにできるアクションをしていくのが大切だと考えています。
そして何を隠そう私たちが扱っているスペシャルティコーヒーがサステナブルなのです。
一般的に安価で流通しているコモディティコーヒーまたはコマーシャルコーヒーと言われるコーヒーは、先物取引相場によって価格が決まります。生産コストを下回る価格で買い叩かれることもあり、廃業を余儀なくされる生産者も出てしまいます。一方、スペシャルティコーヒーは品質に応じて適正価格で豆が取引されるので、生産者の暮らしの安定や品質への追求が可能になります。
それがスペシャルティコーヒーであることを知らなくても、美味しさやお店の雰囲気で選んだコーヒーが、実は生産国で経済面でのサステナビリティを支えているなら、それは素晴らしいことだと思います。それを感じさせてくれたのが、こちらも今年オープンしたABOUT LIFE COFFEE BREWERS渋谷一丁目店での光景。新鮮な緑色のタイルの内装はインスタグラムでも人気となり、今まで訪れなかったような若い女性グループもたくさん来てくれるようになりました。ここから少しずつスペシャルティコーヒーの裾野が広がっていくのだろうと期待しています。
「素敵だと思う空間にたくさんのヒントや意味があること」「ひとりひとりが日常の小さな変化を積み重ねて大きなインパクトへ変えていくこと」みなさんにとって、ONIBUS COFFEEが未来をポジティブに変えていくきっかけのひとつになれば、この上ない幸せです!
Text by Mai Yamada