- サステナビリティ
2024年 ONIBUSインパクトレポート
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ONIBUSが積み重ねているあらゆること。2023年までは「サスティナブルレポート」というタイトルで、ONIBUSの事業やサスティナブルアクションについて公開してきました。今年は「インパクトレポート」というタイトルに変え、ONIBUSの日頃の事業が及ぼすさまざまな”影響”にさらにフォーカスし、ここに公開します。
この記事はONIBUSチーフサスティナビリティオフィサーの山田が執筆します。
販売したコーヒーの杯数
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2024年の1年間に、国内の店舗で販売したコーヒーは342,885杯でした。2024年は、7月にONIBUS COFFEE1号店の奥沢が閉店し店舗数が一時減少しましたが、9月に中目黒三丁目店が新規オープンしました。これにより、さらにたくさんのお客さまにONIBUSをご利用いただくようになりました。加えて、過去最高を記録した日本への海外観光客数もこの数字に反映されていると推測します。たくさんのご利用に心から感謝いたします!
2024年はその他にも、福岡、秋田、群馬、埼玉、オーストラリア、韓国など、国内外のいろいろな場所に赴きコーヒーをサーブしました。人の往来が盛んになり、コーヒーを通じて交流ができたことを嬉しく思います。
*2024/1/1~2024/12/31 国外店舗、イベントを除く国内店舗のみ
焙煎したコーヒー豆の量
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ONIBUS COFFEEのクオリティを担うのが、八雲店で行われている焙煎です。各店舗や卸先パートナー、国内外のオンラインショップのお客さまに届けるコーヒー豆のほとんどを八雲で焙煎しています。2024年からは郊外店舗の那須店でも一部の焙煎を行うようになりました。2024年は八雲・那須の2箇所で33,425.9kgのコーヒーを焙煎しました。1日あたり約80kgの焙煎豆を製造している計算になります。実に多くの人々に日々ONIBUSのコーヒーを召し上がっていただいていることが実感できます。
*2024/1/1~2024/12/31生豆ベース
訪問したコーヒー生産国
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2024年は7年ぶりのグアテマラ訪問も実現しました。自然の恵みであるコーヒーとその生産者への感謝の気持ちを強めるだけでなく、労働力不足や気候変動などコーヒー生産地が直面している課題も見つめる機会となる生産国訪問。美味しいコーヒーがある未来を守るために、作り手との関係性を作っていくこともまたONIBUSの責任だと思っています。
2024年の実績ではルワンダ、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルの4カ国を訪問しました。購入したコーヒー豆については「Transparency Report」に毎年詳細をまとめていますので、気になる方はご覧ください
*2024/1/1~2024/12/31に訪問した国
ソイルプロジェクト
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ルワンダでは2022年よりソイルプロジェクトが進行中です。ルワンダのコーヒー生産の課題である肥料不足の解消と土壌改善を目指し、未利用材であるコーヒーパルプ(コーヒーチェリーの果肉部分)を有機資源として堆肥化させ土に戻していく試みです。2024年は小規模農家60世帯を対象に技術支援と金銭援助をし、有機堆肥の作成と施肥をしてもらいました。できた堆肥の量は約25トン。この結果は、ソイルプロジェクトロットという形で成果となりました。街のコーヒーショップのONIBUSとルワンダの農園をフェアに繋ぐこのプロジェクトは今後も継続します。
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とてもありがたいことに、日々たくさんのお客さまがONIBUS COFFEE / ABOUT LIFE COFFEE BREWERSを訪ねてくれます。私たちの事業の要であるコーヒーについては、少しずつポジティブな輪を拡げることができています。
一方で事業を拡大し営んでいくにはネガティブな影響も発生します。ONIBUSはその影響を理解し、できる限り小さくしていくことを目指しています。
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ごみの廃棄量
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2024年1月から国内7店舗で開始したのが、日々のごみ排出量の集計です。これにより1年間で26,142.3kgのごみを排出したことがわかりました。1日あたり71kgを排出している計算です。牛乳パックや包装資材などもありますが、排出量の半分を占めるのは水分を多く含んだコーヒーかすです。またテイクアウトカップごみはコーヒーショップが長年抱える課題です。店舗からのごみにならずとも、間接的に排出され、ユーザーが増えれば増えるほどごみの量も増えます。
*2024/1/1~2024/12/31国内7店舗で計測
そこで、ごみの量を最小限にするためにONIBUSでは2つのアクションを実施しています。「生ごみの堆肥化」と「リユーザブルカップの推奨」です。
生ごみの堆肥化(コンポスティング)
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自由が丘店と那須店で実施しているコーヒーカスなどの生ごみの堆肥化。2024年は2店舗合わせて2,368kgの生ごみを堆肥化しました。ごみの総量の8.3%の削減に寄与しています。自由が丘は都市部にある店のため、コンポストに使えるスペースは限られています。それにも関わらず毎月100kg以上をコンポストにできるのは、パートナー農家の奈良山園による定期回収とアドバイスのおかげです。自分たちだけでは解決できないことを、誰かが助けてくれるのは、ONIBUSが目指す「多様性と融合」の一つの姿のような気がしています。
*2024/1/1~2024/12/31那須店と自由が丘店で計測
リユーザブルカップの推奨
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全店舗で、タンブラーなどのリユーザブル(繰り返し使える)カップの推奨も行っています。マイタンブラーをお持ちいただければ割引しています。しかしながら、2024年のタンブラーの使用件数は2,547件。2,770件だった2023年に比べ、使用件数や使用割合は減ってしまいました。アフターコロナと言われてから数年経ち、人々の意識や生活が利便性を求める方向に逆流してしまったのを感じます。そこで、Meglooというリユーザブル容器シェアリングサービスと協力し、中目黒駅前店でMeglooカップを導入しました。コミュニティを育みながらサスティナブルな社会を作るきっかけになればと期待しています。
*2024/1/1~2024/12/31国内7店舗の売上データから集計
温室効果ガス排出量
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前期(2023年9月〜2024年8月)のONIBUSは、計測できる範囲で97.8tの温室効果ガス(CO2換算)を排出しました。この数字は、ガスや電気など使ったエネルギーを元に算出されています。加えて、国内外の出張の際の飛行機の使用など移動により発生した温室効果ガスも可能な限り透明性を持って追加しました。
ONIBUSの温室効果ガス排出の最大の要因となっているのが、焙煎によるガスの使用でした。2024年は大型焙煎機の導入により、作業効率を向上させると同時に温室効果ガス排出量の大幅な削減という成果を得ることができました。一方で、地球温暖化の影響で高温化・長期化する夏に、使うエアコンのエネルギーが大きくなっているのもこの調査結果から見てとれました。
*2023/9~2024/8 国内7店舗のエネルギー使用量と、飛行機の移動距離から計測
2025年のアクションプラン
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この数年、サスティナブルという物差しでいろいろなことを実行してきたONIBUS。チーフサスティナビリティオフィサーとして、2025年は”願いや体験を価値に変換する”ということをテーマにしていきたいと考えています。
例えば、太陽光発電の導入。コンポストやソイルプロジェクトのように、一方通行ではなく循環するフードシステムを目指してきたONIBUS。エネルギーも”使う”から”作る”という価値の創造にチャレンジです。
国内外の生産者の訪問もその一つ。普段何気なく口にするコーヒーや食べ物も、作り手の存在を意識できた瞬間、特別になるものです。スタッフが実際に畑に赴き五感で得た体験や知識を自分たちの満足に留めず、一杯のコーヒー、一皿のフード・デザートに落とし込み、ゲストへその価値を届けるのが目標です。
ONIBUSが影響を及ぼすんおは、環境・生産者・顧客だけではありません。まずはスタッフ一人ひとりが「働きがい」を実感し、長く健康的に働けることが、ONIBUSがサスティナブルな社会に与えるポジティブな一歩の根幹です。みんなのこの一歩を、着実な歩みに変えていけるよう頑張ります。
Reported by Mai Yamada