2022.9. 8
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コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

一杯のコーヒーが手元に届くまで

9月に入り少しづつ涼しくなり、ホットのコーヒーも楽しめるようになってきましたね。今までにもブログでは品種や精製方法、伝播の歴史など書いてきましたが。今回ご紹介するのは、私たちが扱うスペシャルティコーヒーがどのような道筋を辿って一杯のコーヒーに繋がっているのかを解説してみたいと思います。辿ってみるととても多くの過程を経て、私たちが楽しめているんだなぁと改めて感心してしまいました。現代では生産者さんもコーヒーに対する知識を多く持ち、また販売しているコーヒーロースターさんでも様々な器具を用いて日々研究しています。それぞれの過程については細かく書いている記事もチェックしながら楽しんで下さいね。それではまずは栽培、収穫からいってみましょう!

 

コーヒーノキの栽培と収穫

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

コーヒーはコーヒーノキと呼ばれるアカネ科の植物の総称です。よくコーヒー豆と呼ばれますが、コーヒーチェリーと呼ばれる果実の中にある向かい合わせになった種子がコーヒー豆です。大きく分けてアラビカ種とロブスタ種に分かれますが、スペシャルティコーヒーにおいてメインはアラビカ種と言っていいでしょう。厳密にいうとアラビカ種とロブスタ種は染色体の数が違うため交配することがないとされていますが、突然変異種同士での自然交配が起きて、多くの品種が生まれたとも言われています。
コーヒーノキは収穫されるまでに約3年必要と言われています。直射日光に長く晒されると葉が焼けてしまうため、シェードツリーと言われるコーヒーノキよりも背の高い植物を植えるケースも多いです。
コーヒーノキに関する詳しい記事はこちらもどうぞ。
スペシャルティーコーヒーのグレードとして扱われるコーヒーチェリーは農家のピッカーさんが手摘みで完熟したもののみを選び、丁寧にチェックしています。その後は精製処理というプロセスに続きます。
また、最近では観葉植物としての需要もあり100円ショップなどでコーヒーノキが簡単に手に入るので気になる方は育ててみても面白いかもしれません。

コーヒーの精製処理と乾燥

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

丁寧に収穫されたコーヒーは次に精製処理に移ります。この精製処理は、コーヒーの味を大きく影響を与えるプロセスになるためとても重要です。最近の流行りではこの精製方法に特殊な手法を用いることが増えてきています。精製方法は多くありますが、今回はウォッシュトプロセスを例に挙げて説明します。(精製方法についての細かな記事はこちら。)運ばれてきたコーヒーチェリーはまず、パルパーと呼ばれる専用の機械でコーヒーチェリーを果肉と種子に分けます。その後水を張った水槽のタンクに入れて自然発酵をします。これによって、ミューシレージと呼ばれる種子に付着する粘着質がなくなり、ウォッシュトプロセスらしいコーヒー本来の持つ透明感のある味わいになります。
その後、水路による比重選別を経由して乾燥の工程に続いていきます。
乾燥の工程では、生産国によりますが乾燥棚やパティオと呼ばれる床に広げて天日での乾燥を行います。急な雨などに対応できるよう屋根付きになっていたり、室内で行ったりと様々です。水分値を11-12%程度にするように調整しています。そして次は遠い生産国から私たちの住む日本への出荷です。やっと日本に入ってきます。

梱包と出荷

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

上記までの過程を経てようやくコーヒーが生豆の状態となりました。この生豆は複数回に渡るハンドピックを経て、欠点豆や未熟豆を除去していきます。そうしてコーヒー豆は麻袋に詰められて出荷されていきます。大体は60kgか30kgで詰められることが多いです。麻袋は自家焙煎のコーヒー屋さんに行ったときに見たことがあるかもしれません。コーヒーの輸出は生産国での多くの手続きなどもあり到着までに数ヶ月かかってしまうことが大半です。クオリティの劣化を防ぐために現在では麻袋の中にグレインプロとよばれる厚手のビニール袋が入りそこに生豆が詰められていることが多くなっています。生豆の水分値の保全や、船で運ばれてくるため輸出時に水が入ってしまう場合の保護など多くのメリットがあります。スペシャルティコーヒーの中でも特に高価なロットにはバキュームパックといって真空状態での輸送もあったりします。遥々生産国から届いたコーヒーを次でようやく焙煎することが出来ます。生豆の梱包材などについてはこちらも。

コーヒーの焙煎

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

ここからようやく皆さんも耳馴染みのある焙煎になります。焙煎はコーヒーの多くの過程の中でも人気の高い過程なのではないでしょうか。コーヒーの生豆は、その状態だと香りもほとんどせず植物の青臭い匂いがするだけですが、焙煎をすると信じられないくらい心地の良いあの香りに包まれます。不思議ですよねー。
焙煎とは生豆のコーヒーに火を入れて加熱することで素材本来の味わいを引き出すことが出来る過程です。焙煎と聞くと職人のような難しさを感じさせますが、実際はそのような職人的な側面もありつつ、数字で管理する理論的な側面も大きく存在しています。焙煎工程では様々な化学反応が起き、それを理解しながら求める味わいを作り出していきます。クロップスターという専用のソフトを使うことで焙煎機の熱の情報などを記録し、同じソフトを使う世界中の焙煎データーが共有されています。インターネットで様々なデータが確認出来るのはとてもユニークですよね。ONIBUSの焙煎徹底解説はこちら

コーヒーの抽出

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

焙煎がされたコーヒーはやっと抽出までやってきました。コーヒーを淹れて楽しみましょう。お店でもお家でもコーヒーの抽出器具、機械は無限といっても良いほどに多いです。高価なエスプレッソマシンからハンドドリップのセットなら安価に手に入ります。(エスプレッソマシンは沼なので、お店で飲むのが一番コスパいいです。)様々な淹れ方で楽しめるコーヒーですが、とても大切なのは計量です。時間やグラムを必ず計ってみましょう。お家にあるキッチンスケールでももちろん大丈夫ですし、コーヒースケールをこの際買ってしまうのも◎。計量することを覚えると、好みの味わいに調整しやすくなるのはもちろん、オンラインページやYouTubeなどでレシピを見て再現することも容易です。お家コーヒー始めてみたい方はこちらもどうぞ。

最後に

コーヒーが収穫されてから一杯のカップになるまでの旅路〜From Seed To Cupの過程〜

スペシャルティコーヒーの大切な概念のひとつに「From Seed To Cup」というのがあります。生産から一杯のコーヒーまでの過程にトレーサビリティとサスティナビリティがあることが大切とされています。今回はその過程をひとつずつ説明して、コーヒーがどんな旅をしてきたか紹介してみました。
最近ではレストランなどでも「Farm To Table」というコンセプトが大きく注目を集めていますが、ONIBUS COFFEEでは同様にコーヒーだけでなく食事にも大切にしています。自由が丘店での新しい取り組みなどもこちらからどうぞ。
コーヒーの過程を辿ると、一杯のコーヒーが500-600円で楽しめるのが奇跡なんじゃないかと思える程に果てしない道筋でした。遥か遠いアフリカや中南米の生産国に思いを馳せながらコーヒーを楽しむのも粋ではないでしょうか。
それでは今日もコーヒーを楽しんでいきましょう!
田崎将司

 

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