2024.9.19
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9月7日オープン!中目黒三丁目店 〜”NOWHERE”で歩む新店舗・後編〜

9月7日オープン!中目黒三丁目店 〜”NOWHERE”で歩む新店舗・後編〜

前編に引き続き、グランドオープンしたばかりの新店舗についてお話します。
今回は、ちょっとした裏話や空間構成がメイン。想像を巡らせながら、ぜひ現地で答え合わせしてみてくださいね。そしてグランドオープン当日の様子もお伝えします!

知ってたらもっと好きになる「NOWHERE」の隠れた魅力

①石
空間の肝となる、数々の"質量"=石たち。 ”石拾い”と称してプロジェクトメンバーの中から有志で集まり、各地を巡って発見しました。ONIBUSチームも実際に神奈川・真鶴へ行き石選びをしました!正解はなく、誰もその先を想像できないわくわく感。プロの目利きを頼りに、センスと直感を信じて「これだ!」とセレクトされた数々の石たちが中目黒の地へとやってきました。

(写真左上)まず、外石は岐阜・蛭川から。
黄土色のマーブル模様が美しい「御影石」です。堂々と佇むその姿は、道行く人を優しく見守っているようです。

(写真右上)カウンター前の最も大きく存在感のある石こそ、神奈川・真鶴で拾ってきたものです。見る角度によって窪んでいたりシャープなラインがあったり。滑らかで平らな面は座り心地も良く、その絶大なビジュアルはすぐにメンバーの心を鷲掴みにしました。テーブルとして使っても、腰掛けても、上であぐらをかいても自由。用途は敢えて決めていないので遠慮なく、思いのままに身を委ねてみてください。(今の時期、寝転がると少しひんやりして気持ちが良いです!)

(写真左下)カウンター奥にある、苔の生えた石もまた真鶴出身。
形も表面も整っていないありのままの、ゴツゴツした"石らしさ"が特徴的です。スポットライトに照らされて、影が落ちた姿のクールさといったら石界(?)随一かもしれません。

(写真右下)ドアノブやトイレのサイン、要所に存在するコロコロした小さな石たちは新潟出身。糸魚川の水流によって角が落とされ、ころんと丸く可愛らしいフォルムとカラーがアクセント。
マテリアル検討会では、ドアノブにどの色の石を採用するか?!皆で悩みながら決めました。(実は小さなトイレサインにも、質量を感じる仕掛けがあるんです…!)

プチレポート 〜 石拾いから搬入・設置まで 〜

ONIBUSチームが体験した石拾いと、その”拾った石”が実際にどのようにして搬入・設置されたのか、当時の様子をお伝えします。
真鶴での石拾いが行われたのは3月末。設計チームを中心に、SANU、施工メンバー数十名で参加しました。

東京から車で約2時間かけて初めて降り立った採石場は、とにかく壮大で雄大でした。360度どこを見ても山と石が広がる景色を前に、自然のエネルギーに飲まれそうになりながら終始圧倒されっぱなしでした。
辺りには重機であらかじめ切り出された石がごろごろと点在していて、サイズも形も唯一無二。その中から、現地でのインスピレーションに任せて選んでいきます。大の大人が石によじ登ったり、良さそうな形を見つけては座ってみたり…楽しそうにはしゃぐ姿は、まるで少年の夏休みを見ているようでした。(とはいっても、いつだって真剣なのもこのチームの面白いところです!)見つける度にお気に入り度が更新していくほど、どの石にも個性があり何にでもなれそうな形ばかりなので、皆で空間に配置した時の想像を巡らせながら(もちろん施工方法も考慮しながら)意見を交わし選定していきました。

人工的に少しずつ切り出された岩壁は滑らかな表面で美しい波形を描き、赤褐色をベースに灰色の色が所々に混ざっています。
こうしてひとしきり採石場を移動し、満場一致で選ばれた石は、後日トラックに載せられNOWHEREへとやってきました。

石拾いの後は皆でバーベキュー!地元の魚屋さんとスーパーで新鮮な食材を調達し、最高のロケーションを前に食べた魚やお肉の味は最上級の美味しさです。大地の恩恵を存分に受け、貴重な経験を得ることができた一日でした。

 そして季節は変わり7月上旬、いよいよ石の搬入と設置の日がやってきました!

早朝から道路を封鎖し、周囲の安全を十分に確保して工事がはじまりました。チェーンで吊られ慎重に少しずつトラックから降ろされる巨石を見守っている間、現場は緊張感に包まれており、私自身もずっと、どうか何事も起こりませんように と落ち着かない気持ちでした。
幅3m近くある最も大きな真鶴の石は、クレーンを駆使して大人5、6人がかりで定位置まで引き込みました。『カニクレーン』という小回りの効くコンパクトな重機で吊り上げながら、巨石の下に噛ませたベニヤ板と金属のポールをバールで力いっぱい動かしていく方法です。重機の低重音と金属の擦り合う音が響く空間はなかなかの迫力で、「これは本当に内装工事なのか…!?」と思うほど。いつ事故が起こってもおかしくない壮絶な現場ながらも、阿吽の呼吸で石を動かす姿と、時折見せる職人さん達の笑顔と活気のある掛け声は、圧倒的なチームワーク力を感じさせました。皆さん本当に格好良かったです!!

②白い円盤とオレンジのロープ



天井高のある開放感たっぷりな空間は少しソワソワしてしまう、そんな時は円盤の下へ。天井の低いエリアは、居場所を感じて落ち着けるものです。
そして円盤から伸びるオレンジ色のロープは、自然物である石と人工物を繋ぐ存在。SANUのブランドカラーにかけて、人と自然が繋がりますようにという願いが込められています。ピンと張ったロープのテンションが、時折私たちに"質量"を感じさせてくれ、空間のアクセントになるだけでなく遊び心のある空間が生まれました。


③リユースしたキッチン窓

実は、SANBARCOのキッチンには、昔ONIBUS COFFEE中目黒駅前店で使用していた窓が移植されています。改修工事のタイミングで取り外されてから、長いこと倉庫に眠っていた窓枠は新たな住処に納まりました。 
すっかりこの場所に馴染んでいるのは、新築部分もこの窓フレームに近い材で施工されたからこそ。取り付けられた姿を初めて目にした時、モノが継承されていく嬉しさと感動で胸がとても熱くなりました。

④植栽

南半球、北半球、世界中のありとあらゆる原産地の植栽を寄せ植えし、オンリーワンの空間をプランニングしたのはYard Works。残念ながらONIBUSチームは参加できませんでしたが、横浜市・川崎市の2拠点で植栽ツアーも開催されました。どんな植物が合いそうか、どのようなところで育った植物なのかを実際に見て回り、皆で方向性を決めたそうです。
花が咲き、葉っぱが散り、葉色が変わり…。どの植栽も旬が異なるので、季節の移ろいによって様々な表情が見られるのは今後の楽しみの一つでもあります。

⑤大きなカウンター



入ってすぐ目に飛び込んでくる斜め配置の大きなカウンターは、設計段階で何度も形状や配置の検討が繰り返されました。カウンターのカーブに沿って、来る人を奥へと招き入れる導線は、緻密な計算のもと生み出されています。
ONIBUS COFFEEとSANBARCO共有で使用し、そのエリアは緩やかに区切られています。営業時間が被るのは1時間。一緒のカウンターでお互いがサーブする瞬間、そしてコーヒーからタコスの時間へ切り替わる瞬間もお見逃しなく!

⑥ブックセレクト

大きな窓で開放感のある中二階はSANUのミーティングルーム兼ライブラリーです。壁一面の本棚に並ぶのは自然にちなんだ本の数々。SANU 2nd Homeのキャビン内の本と同じく「books+kotobanoie」によって選書されました。土日は一般向けに解放しているので、広い店内を見渡せる特等席で気の赴くまま、手に取ってみてはいかがでしょうか。

⑦サイン

今回も、ONIBUS COFFEEの数々のアートワークを手掛けるお馴染みの「WHW!」チームがサインを施してくれました。本間さんの掲げる詩や象徴的なメッセージが空間のあちこちに添えられています。ここではあえて場所は秘密にしたいと思いますので、現地でぜひ探してみてください!

グランドオープンを迎えた「NOWHERE」

ブルーボトルコーヒーから譲り受け、沢山の人の手によって新たな息が吹き込まれた「NOWHERE」。人から人へ、建築と想いが繋がり各々のプロフェッショナルが集結し素敵なチームワークだったからこそ、最後までギア全開でプロジェクトが実現しました。

そしてついに迎えられたグランドオープン日!
「NOWHERE Opening Party」と称して、地下フロアではNOWHEREができるまでのメイキングムービーを流したりライブが行われたりと、会場は大いに盛り上がりました。
ONIBUS COFFEEは9時から営業、SANBARCOはお昼からフードの提供を開始し、コーヒーとタコスどちらも注文し楽しんでくれた方が多くいらっしゃいました。
また、この日は特別に2,3階のオフィスも開放されて建物全体の見学が可能だったので、より「SANU NOWHERE」のディティールを伝えられるパーティにもなったと思います。有り難いことに行列が耐えないほど多くの方にお越しいただき、スタッフ皆、アドレナリンが出るほど大忙しでしたがとても楽しい一日を過ごすことができました。建築・工事関係者の方も遊びに来てくれ、プロジェクトメンバー皆で建物に血が通った瞬間を見届ける事ができ、本当に胸がいっぱいになりました。
今度はONIBUS COFFEEとSANBARCOが共に空間を作っていく立場。これからも皆さんに楽しんでいただけるお店を目指していきます。

さいごに

最後に、プロジェクトの振り返りと題して、個人的な想いを綴ります。
参画した昨年12月ー。思い返せば、設計や工事どの段階においてもメンバーの皆さんはいつも楽しそうに夢を語り合っていて、常にエネルギッシュな現場でした。「良いものを作りたい」という共通の熱量を持った”アツい”方々の近くで学ばせてもらった日々は本当に刺激的でした。関係者全員で宮崎まで出向き、SANBARCOのタコスを食べて、皆で美味しさを分かち合った夜は今でも忘れられません。
そんな皆の夢が徐々に現実的になっていくにつれ、この熱量や想いを絶やさずにどうやって体現していけばいいのだろう…と不安になる時も多くありました。
しかし、「作り手が繋いでくれたこのかけがえのない空間をこれからもずっと愛される場所にしたい。」ーその思いが常に活力となっていました。
プロジェクトを終えて、次なる空間作りのバトンを受け取ったONIBUS COFFEE。足を運んでくれるお客さんの日常に寄り添い、良い時間を過ごしてもらえるように。共にお店に立つメンバーとこれからも意見を交わしながら、日々お客さんをお迎えしようと思います。
NOWHEREについてもっと詳しく知りたい方は、沢山お伝え出来ることがあると思いますので、ぜひお店で声をかけてくださいね!!

Text by Marina Noguchi
Photo by Marina Noguchi and Mai Y
amada

9月7日オープン!中目黒三丁目店 〜”NOWHERE”で歩む新店舗・前編〜


SANU NOWHERE
東京都目黒区中目黒3-23-16

営業時間:
■ONIBUS COFFEE 中目黒三丁目店  9:00-18:00
■SANBARCO 17:00-23:00
(定休日や臨時休業は各店舗に準じます。詳細は各店のインスタグラム、SANU NOWHERE 公式インスタグラムをご確認ください。)

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