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2023年版サスティナビリティレポート〜数字で振り返るONIBUS COFFEEの1年~
ようやく日常が戻ってきたような2023年。みなさんにとってどんな1年でしたか?
私たちONIBUS COFFEEは、4月に海外店舗がオープンしたり、初めてコロンビアに行ったり、焙煎機が大きくなったり、アシェットデセール(デザート)コースを定期的に開催することができるようになったり、、、今年もなかなか盛りだくさんでした。
そんな日々の根底には「ONIBUS COFFEE / ABOUT LIFE COFFEE BREWERSがあることで、その街や住まう人々を豊かにしたい」という願いがあります。そしてより良い方向へ進んでいくために、まずは現在位置を知ることから始めようと考えました。
今回のブログはその第一歩として、この1年間で私たちが、お客さま・コミュニティ・地球環境などに与えてきた影響を「販売したコーヒーの杯数」から「排出したCO2の量」まで、あらゆる数字にまとめて振り返ります!
販売したコーヒーの杯数
まずは、私たちがお届けしたコーヒーの杯数。2023年は国内7店舗合わせて316,335杯でした!
昨年、国内で3店舗増えたことや、コロナによる規制がおよそ3年ぶりに解除されたことを受けて、国内外から多くのお客さまにご利用いただいたことがこの数字に繋がりました。実に東京ドームを6回満席にできるほど多くの方々にコーヒーを提供し、コーヒーを通じて時間を共にできたことを嬉しく思います。日頃からご利用いただいている方も、遠くからわざわざ来てくれた方も、本当にありがとうございます。
この数字には含まれていませんが、今年はさまざまなコーヒーイベントやケータリングにも呼んでいただきました。いろいろな場所といろいろなシチュエーションでコーヒーをお楽しみいただけた2023年でした。
焙煎したコーヒー生豆の量
ONIBUS COFFEEのコーヒーの品質を支える八雲の焙煎所では、国内外の店舗で使用するだけでなく、卸先のパートナー、またオンラインショップのお客さまへとお届けするコーヒー豆を焙煎しています。今年は、31,128kgのコーヒー生豆を焙煎しました。
ということは、それだけの量のコーヒー生豆を購入したということでもあります。ONIBUSの生豆の買付基準で重要なのはもちろん品質!ですが、信頼できるインポーター・エクスポーターと取引しながら、コーヒービジネスで社会貢献をするサプライヤーを選ぶことも私たちが大切にしていることです。
ということで次の数字はこちら
透明性のあるコーヒー調達
将来も素晴らしいコーヒーを楽しむために、ONIBUS COFFEEは、素材調達の透明性をできる限り高めようと取り組んでいます。透明性・トレーサビリティがあるということは、栽培や取引において搾取や欺瞞がないことを意味しています。このことが高品質のコーヒー作りを支え、生産者の暮らしを支えることに繋がると信じているからです。そこでONIBUS COFFEEは、透明性を高め、栽培環境や働く人々を知るために可能な限り産地を訪れています。
今年は、ケニア・ホンジュラス・ルワンダ・コロンビアの4ヶ国を訪れ、ダイレクトに近い方法でコーヒー豆を購入することができました。各国の様子や、サプライヤーが生産者に提供している経済的・社会的な支援についてはぜひ各国の訪問レポートをご覧ください。
また、”Transparency coffee / The Pledge"という、スペシャルティコーヒーの持続的な未来のために、生産者・生産国との公正な取引を誓うムーブメントに、日本のコーヒーショップとしては初めてONIBUS COFFEEが署名できたことも今年のトピックです。The Pledgeの一員になるにはコーヒー生豆の価格・流通において透明性の高い取引を行っていることを証明することが必要です。こちらは「Transparency Report」として公開していますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
一方、ペルーやエルサルバドルなど、コーヒー豆の取り扱いはあるものの、未だに訪れたことのない生産国もいくつかあります。将来的には、取り扱うコーヒー豆の生産国への訪問100%を目指しています!
製造したバナナブレッドの本数
さて、ここまではコーヒーの話でしたが、ONIBUS COFFEE体験の入口はコーヒーだけではありません!強力なキッチンチーム・ペイストリーチームが自信を持ってフードやデザートをお届けしています。
ONIBUS COFFEEの焼菓子の原点でもあるバナナブレッドは、各店舗でも常に人気の商品です。この一年で、奥沢と自由が丘合わせて約4,833本を製造しました!スライスに換算するとなんと3万食近くになります。
バナナブレッドなので、生地のメインはもちろんバナナなんですが、その他は
- 栃木・古谷農産の有機小麦
- 埼玉・米澤製油の菜種油
- 千葉・赤座農場の鶏卵
と、国産由来のものを多く使用しています。それぞれが、高い食の安全性や環境負荷の低減、アニマルウェルフェアを大切にした生産者たちによる素材です。このようなエシカル(=倫理的)な食材を優先的に使うことで、ONIBUS COFFEEでの食体験を通じ、ポジティブなインパクトを広げていこうとしています。
そうしているうちに、同じ志を持つたくさんの生産者や販売者と繋がることができました。
直接取引をしている国内の生産者の数
季節のデザートやデリでは、旬の食材を使っています。生産者とのネットワークは広がり、自然栽培や無農薬などの農法を営む国内各地の生産者たち約27件から食材を調達できるようになりました。
ブルーベリーや桃をありのままの自然で育てる『アビオファーム』、一度衰退した産業を取り戻そうとしている『那須栗園』、江戸時代から続く『奈良山園』など、スタッフが実際に畑に伺って収穫作業を体験させていただく機会もありました。普段、カウンター内やキッチンに立つ私たちにとって、畑での仕事は感動と感謝の連続です。そして畑で受けた刺激を、デザートやフードに落とし込んでいるのがONIBUS COFFEE自由が丘。デイリーのデザートやデリから、月1回のアシェットデセールコースまで、生産者とその作品である素材にフォーカスした食体験をお楽しみいただけます。
美味しいコーヒーやデザートやフードを提供してゲストに喜んでもらうのは、飲食店なら当たり前のことかもしれません。しかし、ONIBUS COFFEEは、プレゼンテーションに現れない裏側の部分にも責任を持とうと日々取り組んでいます。
その一つが、ごみの削減です。
削減したごみの重量
集計できただけでもこの一年で1,638kgのごみを削減することができました。
ごみ削減への取り組みとその内訳は
- 自由が丘店と那須店でのコンポスティングによるコーヒーカスなど生ごみの削減 1,599.3kg
- 国内7店舗でのマイタンブラー利用によるテイクアウトカップごみの削減 39.2kg
です。
コンポストは那須と自由が丘で運用し、コーヒーカスというコーヒーショップの永遠の課題の解決に貢献しています。日本ではあまり馴染みのないコンポスト。しかし、世界に目を向けると、ごみの削減のために義務化されている地域があったり、最先端を行くようなレストランでゼロウェイストを実現するためにコンポストを取り入れたりしている例も増えてきました。ちなみに、自由が丘のコーヒーコンポストは前述の奈良山園で実際に使っていただき、今年の春には美味しいカブやルッコラが育ちました!妄想のように夢を膨らませていた『生産地と消費地の循環』が形になり本当に感激しました。
そして、マイタンブラーは、お客さまが主体となって取り組むアクション。この一年で2,615件のマイタンブラーのご利用がありました!一人ひとりの小さな行動が、ONIBUS COFFEEを媒体に大きな成果になっていく。そんな風景を作れたらいいなと思っています。マイタンブラー以外にも、パッケージフリー(パッケージレス)の選択肢として、容器を持参した方に豆の量り売りもしていますよ。
削減目標を具体的に定めるために、2024年からは、全店舗のごみ廃棄量の計測を予定しています。どんな数字になるのか少し怖い気もしますが、来年のレポートで正直にお伝えできればと思います!
排出したCO2の量
最後に、CO2の排出量。こちらもごみの量と同じく、できれば隠しておきたい数字。しかし、これを把握し公開することもサスティナブルに本気で取り組むONIBUS COFFEEの責任だと思っています。
fabric社に協力いただき、1年間で店舗の運営によって排出されたCO2を算出、その量は77tでした。
これは、Scope1(=ガスなど燃料の焼却による排出量と)、Scope2(=電力消費による排出量)の合計です。この数字の中には、Scope3に分類される貨物輸送や、廃棄物の処理など店舗外で発生しているCO2の排出量は含まれていないことも明記しておきます。今回の数字に含まれていないScope3の中には、出張などによる移動のエネルギーも該当します。実は、私たちが重要と感じているコーヒーの現地買付は全て飛行機での移動となるため、CO2を大量に排出しています。東京〜ルワンダ往復では一人あたり1.5tものCO2を排出しているそうです。
現地に赴き、生産者と関係性を築いて透明性の高い原料調達をすること、コーヒーの焙煎に多くのエネルギーを要すること、それらによる環境への影響、、、正直、今は77tという数字が多いのか少ないのかすら判断が難しいです。ですが、まずは現状を知ることが行動への第一歩と捉えています。
まとめ
2023年を数字で振り返ってみると、お客さま、生産者、サプライヤー、卸先パートナーなど、改めてたくさんの方々と関わってきたことがわかりました。またチームが大きくなっていくことのインパクトと責任も。
ONIBUS COFFEEは「コーヒーで、街と暮らしを豊かにする」をビジョンにしています。
スペシャルティコーヒーとこのビジネスに真摯に向き合い、「コーヒーや食事やデザートが美味しかった」「スタッフの挨拶が気持ちよかった」「人との繋がりを感じられた」などなど、関わった全ての人たちに、ささやかでも豊かさを実感してもらうことができるようなお店をこれからも目指していきます。
text by Mai Yamada ONIBUS COFFEE Chief Sustainability Officer