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『奈良山園』訪問レポート〜生産者と消費者を繋ぐ都市型循環目指す農園〜
こんにちは、自由が丘店の小椋です。私はキッチン担当として自由が丘店に勤務しています。みなさんご存知の通り、自由が丘店はONIBUS COFFEEで唯一ランチメニューや生菓子を楽しんでいただける店舗なのですが、コーヒー同様、扱っている”食材”の透明性も大切にしています。私たちが扱っている食材の一つに、『奈良山園』のお野菜や果物があります。また、奈良山園といえば毎月1回開催される『CSA LOOP』のパートナーでもあります。
今回の記事は、そんな『奈良山園』へ1月に訪れた時の訪問レポートです。ぜひご一読ください!
『奈良山園』とは
東京都東久留米市に位置する奈良山園は、”農ある豊かな暮らしをつくる”というとても魅力的なコンセプトを掲げており、屋号「奈良山」として江戸時代から400年も続く農園だそう。現在の事業は多岐に渡り、”農業法人 野の幸”と”認定農業法人 東京ジャム株式会社”という2つの顔を持っています。
”野の幸” は1,000本のブルーベリーの木を中心に様々な果樹や品質にこだわり苗から育てた野菜を自家製の有機肥料を使用し栽培しています。そして”東京ジャム株式会社”は、奈良山園をはじめ地域の農産物の生産・加工・流通・販売を行っています。都市近郊の農業においてこの流れを一貫して手掛けることで、コンセプトの「農ある豊かな暮らし」の実現を目指しているのです。
そんな奈良山園を一目見ようと、私たちONIBUSチームは訪問してきました。
1月27日奈良山園訪問
当日の天気予報では雪が心配でしたが、なんとか持ち直してくれました。それでも「東久留米は日中も寒いから暖かくしてきてね!」と数日前に農園スタッフの方にアドバイスを頂いていたので、当日は皆防寒対策バッチリで朝8時に自由が丘店に集合。車で現地へ向かいました。少し渋滞に巻き込まれたりもしましたが、住宅地の多い地域を抜け、畑が多くなって来たかな?と思っていたら、奈良山園に到着です。自由が丘から車で約1時間半ほど離れた場所、東京都東久留米市柳窪にある農園です。想像していたよりも近く感じ23区内から出るとこんなに緑があるんだ、と驚きを覚えました。
到着したのは午前10時過ぎ、その頃農園では丁度出荷準備の真っ最中でした。そんな最中私たちは早速パッキングのお手伝いに取り掛かりました。朝収穫したばかりの野菜を綺麗に洗い、袋に詰めてシールを貼る作業。収穫したての野菜をその日の午前中には出荷するというかなりタイトなスケジュールではありますが、奈良山園のスタッフの皆さんは寒い中息を白くしながらもテキパキと出荷準備をしていたので、私達も一気に気が引き締まりました。そんな姿を目の当たりし、いつも新鮮でみずみずしい野菜が私たちの手元に届いている理由がわかった気がします。
出荷作業がひと段落したところで、農園内を歩いて紹介していただいたのですが、歩いているとあちこちに蜜蜂の養蜂箱がありました。奈良山園では野菜や果物の栽培に限らず養蜂も行っており、東京産の蜂蜜も作っているとのことです。
農園紹介が終わった後、そのまま収穫のお手伝いをさせていただきました。まずはビーツの収穫。といってもほとんど収穫済という事でしたが、少し残っていたものを全部抜いちゃって〜!という事で、みんなで掘り起こしました。畑の中を歩いていると奈良山園の畑は土がとってもふかふか。
土の中に微生物や空気がしっかりと含まれていることが、歩いているだけでも感じられました。
次にネギの収穫。写真左が普段スーパーでも見慣れている在来種のネギで、右が日本人にはあまり馴染みのない西洋ネギです。
スーパーなどで売られている時は切り落とされているので知らなかったのですが、根っこの様子が違うことなど、実際に畑に行って気がつくことがたくさんありました。
ネギの収穫は太そうなものを探して折らないように丁寧に掘り起こして、と教えていただきましたが、私たちはそもそも”太そうなもの”を探すのに大苦戦。なんせ土から見えている所だけでの判断はとても難しいものです。しかし、収穫を始めると時間を忘れるほどに夢中になり、皆必死で掘り起こしていました。
その後もいくつか収穫をさせていただき、少し休憩を挟みました。休憩中はストーブで焼いていただいた焼き芋(驚くほど美味しい!)とオニバスで淹れて来たコーヒーを飲みながら、農園スタッフの方々と色々なお話をしました。
その中でも印象的だったのが、剪定後のキウイの話。キウイの実に栄養を行き渡らせる為にも剪定は必要不可欠でとても重要なのですが、葉を落としている時期に行わないと切り口から樹液が落ちてしまうそうです。実際に木を少し切った切り口を見せて頂いたのですが、ホースのように中が空道になっていました。
キウイの剪定だけでなくどんな農作物と、そして自然と関わるということは、たとえその実が成っていない時期でも手入れが必要である事を知り、年中目を離すことができないものなんだと痛感。
作業場の黒板には給食施設への納品の事なども書いてありました。なんと奈良山園は近隣の学校にもお野菜を納品しているそうです。自由が丘店のCSA LOOPの販売会の際に、私も何度か個人的に野菜を購入しているのですが、スーパーなどではあまり見かけない種類の野菜もたくさんありとても興味深くそれがとっても美味しいのです。そんな野菜を給食で食べられるのはなんだか羨ましく感じました。
剪定に挑戦
休憩を挟んだ後、早速私たちはブルーベリーの剪定を実際に行いました。
”剪定”ということを実際にするのが初めてだったので少し不安でしたが、法則が分かれば初心者でもできるとの事で、奈良山園では実際に援農ボランティアの方もお手伝いをしているそうです。
楽しい収穫体験のいい所取りだけでなく、農園のお手入れのお手伝いも行う事で、日常の食卓への感謝の気持ちが芽生える事はもちろん、新しい発見や刺激もあり、ワクワクしたり、農に触れ心が穏やかになったりととても有意義な時間を過ごすことができました。私たちも自身も寒くて身震いしながらも、笑顔の絶えない時間を過ごす事ができました。
コンポストの行方
最後に、自由が丘で行っている取り組みのひとつ、”コンポスト”の行方を確認してきました。というのも、自由が丘店では、コーヒー抽出後のカスやキッチン・ペイストリーから出た食材の皮などを生ごみとして捨てるのではなく、コンポストに集めています。
基盤に駒沢公園の落ち葉などもブレンドしたコンポストは、実は月に1度のCSA LOOPの際に奈良山園に運んで頂き、畑の肥料にしています。まだ試験段階という事ですが、ラティーナやルッコラを植えた土に混ぜて使用していました。この堆肥によって野菜が育ち、その野菜を自由が丘のキッチンで使用したり、店舗で販売できるようになったら素敵だな、と実際に目で見て感じました。
まとめ
今回はたった半日の農園訪問でしたが、とても充実した時間となりました。自由が丘店がオープンしてから日々使用している食材はもちろん、CSA LOOPやコンポストなど、奈良山園とは繋がりが深いことに改めて感謝と感動を覚えました。
オニバスコーヒーと奈良山園と消費者の皆様という循環を、これからも一層活発にできたら良いなと思いました。自由が丘店のランチメニューでは、奈良山園の野菜を使用したデリを提供している日もあります。また、ペイストリーからは新しく奈良山園のキウイを使用したマフィンをリリース予定。
CSA LOOPの新規会員も募集中です。みなさんもぜひオニバスコーヒーと奈良山園の取り組みに参加してみませんか?