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ルワンダコーヒー買付記 〜Vol.1 ルワンダのコーヒー生産現場を見に行く!〜

ルワンダコーヒー買付記 〜Vol.1 ルワンダのコーヒー生産現場を見に行く!〜

2023年6月、コーヒー生産の視察と買付けのため、ルワンダ共和国を訪問しました。
ルワンダは、コーヒー産地としてはブラジルやエチオピアほど有名ではないかもしれませんが、私たちが定期的に訪れる思い入れの強い生産国の一つです。ONIBUS COFFEEとしてはパンデミックを経て実に4年振り、この記事を書いているスタッフの山田は、今回が初めてのコーヒー生産地訪問となりました。ルワンダはONIBUS COFFEEのシングルオリジンのラインナップの常連で、現在は”Nkara 3003”を販売中です。
そんなルワンダのスペシャルティコーヒーについて、訪問レポートを合わせて2回に渡ってご紹介します!今回は前編です。

ルワンダ共和国について

ルワンダ共和国について

ルワンダはアフリカ大陸の真ん中あたり、赤道より少し南に位置します。
東京からルワンダの首都キガリまではおよそ11,800km。今回は韓国・エチオピア・ブルンジを経由したので、移動時間は24時間を超えました。コーヒー生産国が日本から遠く離れていることは知っているつもりでしたが、実際に行ってみるとその遠さを実感しました。国土面積は四国より一回り大きいくらいで、アフリカ諸国の中では小さめ。海のない内陸国です。「千の丘の国」との異名を持つほど、全体的に高い標高(首都キガリで1,500mほど)で起伏に富んでいます。空港から街に向かう車から望む景色は、乾季に入ったばかりの青空と、ずっと遠くの方まで続く緑の丘と、ところどころに見えるアフリカらしい赤茶色のレンガの建物。本当に美しくて、アフリカ大陸初上陸の私はその雄大な光景にかなりグッときました。
公用語はキニャルワンダ・フランス語・英語・そしてスワヒリ語と4つもあります。「ありがとう」はキニャルワンダで「ムラコゼ!」ですが、「メルシー!」だったり「サンキュー!」だったり、入り混じって聞こえてきます。
食べ物は、ジャガイモ、米、豆がメイン。ヤギ、鶏、牛、ウサギなどの肉が食べられていて「ブロシェット」という串焼きスタイルをよく見かけました。キブ湖や川で取れる淡水魚も食べられます。バナナもいたるところで育てられています。そのまま食べたり、料理に使ったり、またバナナから作るお酒は家庭によってスペシャルレシピがあるくらいポピュラーだそうです。国の方針とキレイ好きな国民性のおかげか、街にはゴミが落ちておらず、街路樹の手入れもよくされていました。治安はとても良く、女の人が夜に一人で歩いているのも普通です。おしゃれな人が多くて、個性的な服を着こなしていて素敵でした。

ONIBUSがルワンダに通う理由

ONIBUSがルワンダに通う理由
私たちは、生産者と関係性を築き、価格やサプライチェーンにおいて透明性の高い取り引きをすることが、今までもこれからも良い品質のコーヒーを提供していくために、重要だと考えています。それを実現するには、生産国を訪ねることが一番です。ONIBUS COFFEEでは、自分たちで扱うコーヒーの産地をできるだけ訪問するようにしていて、今年はすでにホンジュラスやケニアにも訪れました。ルワンダへの訪問は、ルワンダ産スペシャルティコーヒーを輸入販売するグリーンパスチャーズ社の協力のため2014年から続いています。そのため、ルワンダの買い付けでは、ONIBUS COFFEEで使うロット以外にも、日本国内の他社ロースターに販売する分も購入しています。この点は、ONIBUS COFFEEが訪問している他の生産国と異なります。

ルワンダのコーヒーの特徴

ルワンダのコーヒーの特徴

高い標高を活かし、国内ではいたるところでコーヒー生産が行われています。コーヒーはルワンダの経済を支える重要な外貨獲得源。より高値で取引されるスペシャルティコーヒーの生産拡大のため、政府も積極的に主導しています。品質の良いフリーウォッシュド(水洗式精製方法)を推奨していった結果、2000年には国内で2箇所しかなかったウォッシングステーション(のちほど詳しく説明します)は、現在では300箇所以上にまで増加しました。これにより、生産性が向上し、チェリーの収穫から一次処理までの時間が短縮され品質が安定しました。このようにしてルワンダのスペシャルティコーヒーは発展していきました。
以上の理由から、現在の精製方法の主流はウォッシュドですが、ナチュラルやアナエロビックなどの方法で精製されたものも少しずつ流通するようになりました。品種は基本的にはブルボン種で、特に良い品質のルワンダ×ブルボンの組み合わせは、オレンジのような柑橘系の酸味やクリーンカップ、甘く続く余韻が特徴です。

さて、視察の目的は、現地を知ること!ということで今回の滞在中は、首都キガリを拠点に北部・南部・西部の3エリアの農園とウォッシングステーションに足を伸ばしてきました。

ウォッシングステーションとは

ウォッシングステーションとは

まずはウォッシングステーションについて簡単にご説明します。

ウォッシングステーションとは、コーヒーチェリーをコーヒー生豆に精製する一次加工場のことです。
コーヒーチェリーは重さや品質に応じて買い取られ、その後、
①パルパーという機械を使ってコーヒーチェリーの皮と果肉を除去する
②種の周りについた粘質部分を発酵させ水で洗い落とす
③パーチメントという豆に殻がついた状態で乾燥させる
という工程を施します。

このあと生豆の状態にするには、パーチメントの脱穀工程もあるのですが、これは「ドライミル」というところで行われます。ドライミルはウォッシングステーションと一緒になっているところもあれば、専用の工場に委託する場合もあります。後者の方が多いです。
ウォッシングステーションでの精製やチェリーの選別は、品質に大きく影響する重要な工程です。またコーヒー農家の支援もそれぞれの方法で行うなど、ウォッシングステーションは個性的なキャラクターを持っています。それでは、今回実際に訪れたウォッシングステーションをレポートしていきます!

北部 Dukundekawa Musasa (RWASHOSCCO)

北部 Dukundekawa Musasa (RWASHOSCCO)
北部 Dukundekawa Musasa (RWASHOSCCO)

中心地キガリから赤茶色の砂の道を車で北へ2時間ほど走った先のムササエリアにDukundekawa農協があります。ONIBUSでも取り扱いの多い「Ruli」「Mbilima」「Nkara」の3つのウォッシングステーションを所有しています。設備はどこも充実し、メンテナンスもよく行き届いていました。比重選別の工程が多く、チェリーの熟度が不適正なものや虫食いなどの欠点を取り除くことが徹底されていました。こうした厳しい選別作業が、コーヒーの味わいに現れているのだと納得。ドライミルも併設され、生産から出荷まで一貫した管理体制が整っていることもDukundewakaの品質を支えています。ここでは、チェリーが収穫・精製された日毎にロットを分ける”デイロット”で管理されています。ONIBUS COFFEEが現在販売中のNkara3003は、3月30日に収穫・精製されたものという意味です。日によってどの農家が持ち込んだかも記録されているので、ロット毎のトレーサビリティの精度が高いのも特徴です。
品質維持のためのカッピングラボや、カフェも併設しています。オーガニックやフェアトレードの認証も取得済みで、完成されたモデル農協という印象でした。

Dukundekawaの訪問は、ルワンダの雰囲気が伝わるこちらの動画もどうぞ!



南部 Nyarusiza Remera(BUF COFFEE)

南部 Nyarusiza、Remera(BUF COFFEE)
南部 Nyarusiza、Remera(BUF COFFEE)
こちらはキガリから3時間ほど。舗装された道で行ける南部地方ですが、農村部に入ると急に険しい道のりになりました。南部にもONIBUS COFFEEが毎年購入しているサプライヤーBUF COFFEEが管理するウォッシングステーションが複数あります。BUF COFFEEの代表のサミュエルは、中南米やアフリカ他国のコーヒー生産現場を視察し、ルワンダでの生産環境をアップデートしている人物です。ニャルシザウォッシングステーションの近くに、コーヒー農家やウォッシングステーション従事者の子供が無料で通えるキンダーガーテンを設立したのもその一環。「都市部と農村部で同じ教育機会を作りたい」「ルワンダのコーヒー農家が、もっとコーヒー作りに専念できるようにしたい」という想いがあるそうです。品質の向上にも意欲的で、所有するレメラウォッシングステーションには大きな屋根付きの乾燥棚があります。これは、乾燥にかける日数をコントロールするために作られたもので、他のウォッシングステーションでは見られないレメラの特徴です。

西部 Kamajumba 、
Jarama(KIVU BELT)

南部 Nyarusiza、Remera(BUF COFFEE)
南部 Nyarusiza、Remera(BUF COFFEE)

コンゴとの国境にあるキブ湖周辺でもコーヒー生産が盛んです。”千の丘の国”ルワンダでは地平線を見ることはありませんでしたが、広大なキブ湖の水平線は壮観でした。

カマジュンバは、キブ湖に浮かぶ小山のような場所をコーヒー農園にしています。カマジュンバを管理するサプライヤーのKIVU BELTにはアグロノミスト(農学士)がいて、計画的にコーヒーツリーの剪定を行っていました。KIVU BELTは、農家支援としてのコーヒーツーリズムにも意欲的です。コーヒーは収穫の時期が限られるため、農家の収入が安定しない側面がありますが、通年利用できる場所があれば雇用が作れるということで、所有するジャラマウォッシングステーション内の事務所を改装し、コーヒーショップにしていました。ルワンダ国内ではなかなか流通しないような高品質のコーヒーを楽しめるのは、コーヒーサプライヤーの直営ならでは。ONIBUS COFFEE代表の坂尾によるバリスタトレーニングは、短時間でしたが、まさにコーヒーが人を繋いでいる場面でした。

各社のサンプルから購入ロットを厳選

南部 Nyarusiza、Remera(BUF COFFEE)

通常であれば3月から6月にかけてピークを迎えるルワンダの収穫期ですが、今年はどこも不作傾向のようで、訪問した6月上旬には収穫がほとんど終わっていました。しかし、それぞれのサプライヤーから20以上のサンプルをカッピングすることができ、購入ロットを決めました!今年も素晴らしいルワンダのスペシャルティコーヒーを購入することができそうで一安心です。今回選定したロットは、隣国タンザニアを経由し、船で日本にやってきます。みなさんにお届けできるのは冬くらいでしょうか。楽しみにしていてくださいね。


次回は、コーヒーにまつわる環境のお話しです。ぜひお付き合いください!
後半を読む


Text and photo by Mai Yamada