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現地買い付けレポート〜ケニア編vol.2〜

現地買い付けレポート〜ケニア編vol.2〜

オニバスコーヒーで扱っているコーヒー豆のほとんどは、実際に生産地を訪れて買い付けをしています。今回は1月下旬にケニアを訪れた際のレポート第二弾です。輸出業者の「C.ドーマン社」の説明とカッピングの模様を写真とともに振り返ります!

Vol. 1からの続き

Day2 オークション会場視察&ドーマンでカッピング (前回からのつづき)

C.ドーマン社

前回のブログではナイロビコーヒーエクスチェンジ(オークション会場)の様子をレポートしましたが、ここからはいよいよ実際の買い付けカッピングの様子をレポートしたいと思います。

まずはじめに、今回買い付けの目的地となった、輸出業者の「C.ドーマン社」について簡単に説明します。ケニアスペシャルティコーヒーを牽引する随一の輸出業者である「C.ドーマン社」(以後、ドーマン)は、1950年にチャールズ・ドーマンとエレン・ドーマンによって設立されました。ドーマンは、ケニア・タンザニア・ルワンダのコーヒー農家の生活とコーヒー生産の未来を守るために、サステナビリティプログラムへの投資を通じてコーヒー農家を支援することに深くコミットしていくことを宣言しています。

また、同社は2006年に設立された農学・農業・生産サービスプロバイダーであるCoffee Management Services Limited(CMS)※1と提携しています。さらに2014年からはECOM※2の傘下となり、ECOMが設立したSustainable Management Services(SMS)※3とも提携しています。ドーマンの敷地内にはこのCMSとSMSのオフィスもあります。

※1:CMSは、地域内の小規模農家や農地所有者に、改良サービス・適正農業規範のトレーニング・融資・農業資材の入手を提供しています。 また、一次加工設備やドライミルを所有・管理し、農家とバイヤーとの直接的な接触を促進することで、生産者の交渉力を強化するマーケティングエージェントとしての役割も果たしています。今回買い付けの工程で3日目に訪れたCKCM(セントラルケニアコーヒーミルズ)というドライミルはこのCMSの子会社でもあります。

※2:ECOMとは、コーヒー・カカオ・綿花を専門とし、砂糖と油糧種子を付属事業にもつ農産物取引・加工の世界的な企業で、30ヵ国以上で事業を展開する世界3大コーヒー商社の1社。

※3:天然資源の持続可能かつ効率的な利用という基本戦略に沿って農業支援を行う部門。1,100人以上の農学者とスタッフからなるフィールドネットワークで、CMS同様に具体的な農業支援やマーケティングエージェントとして農家のエンパワーメントを促進する役割を果たしている。

3社連携

このように、ドーマンはケニア国内でコーヒーを仕入れ、それを私たち輸入業社に販売するという単に輸出業者としての側面だけではなく、3社連携して生産者に対し技術提供やマーケティングエージェントとしてサポートを行っています。

前回のブログで、ケニアのコーヒーサプライチェーンを説明しましたが、その図に置き換えるとこのようになります。
サプライチェーン


なおドーマンが取り扱うのはスペシャルティコーヒーに限りません。コマーシャルコーヒーやその他認証コーヒーもケニア国内及び世界中に輸出しています。国内外に出荷する全てのコーヒーを管理するための巨大なドライミルも敷地内にあります。
巨大ミル

また国内外に向けたパッケージ製品の製造販売も行っています。ドーマンの敷地内には焙煎工場も併設されており、そこでは数トン単位で焙煎され、製品化されています。

ドーマン敷地内
ドーマン敷地内には複数の工場や倉庫が立ち並んでいました。

オークション会場があったナイロビ市内を後にし、車で3時間ほど走った郊外のタツ市に今回の買い付けの目的地、ドーマン社があります。新築のオフィスに移転してまだ3〜4年しか経ってないとのことでとても綺麗でした。

ドーマンエントランス
今回訪れたドーマンのエントランス。

ドーマン1階
上記写真は全て1階部分。

ドーマンは3階建ての建物なのですが、1階がカッピングスペースとサンプルロースト、生豆のグレーディングなどの主にプロダクション作業を行うフロアになっています。プロダクション作業を行うスペースの他に複数のミーティングルームや、写真を撮りそびれましたがなんとバリスタスクールも併設しています。コーヒーの全てがここに集約しているといっても過言じゃない。まさにコーヒー好きの聖地といった印象。

ドーマンに到着後、同社について簡単にプレゼンを受けた後、いよいよ買い付けロットを選定するカッピングを開始しました。

買い付けのカッピングについて

買い付けのカッピング

今回の現地買い付けでは、200を超えるロットから実際に購入するロットを選定していきました。その工程は、初日と2日目に全てのロットをカッピングし、購入候補のロットを絞りこみ、絞り込んだロットを最終日に再びカッピングして、購入ロットを確定するというものです。

ここからは、カッピングの初日をドーマンのオフィスで行った様子を写真で振り返ります。

カッピング初日
写真からもわかる通り、とにかく膨大な数のコーヒーがテーブルに並びます。

それらを実際に口に含み選定していきます。ケニアのコーヒーの特徴として酸味の強さがありますが、カッピングの数が増えるにつれその強い酸味のせいで舌が疲労し急激に味覚は衰えます。カッピングでは、些細な味の違いを繊細に感じ取る能力が必要になります。この日は私たちだけではなく、アメリカシカゴからもロースターが買い付けに訪れていました。このようにハーベストシーズンには世界中のバイヤーがドーマンを訪れます。ちなみに最終日には丸山健太郎さんともご一緒でした。

ドーマン社カッピング
上の写真ではドーマンスタッフがカッピングをしています。これは私たちに向けたオファーサンプルではなく、前回のブログでも説明したオークションで購入したロットを確認するために行うカッピングでした。
コーヒーの収穫が進む10月以降、ドーマンではほぼ毎日この光景が続くそうです。

ランチ中の出来事

駐車場のコーヒーチェリー

カッピング午前の部を終え、ランチはドーマンのオフィスから車で10分程度離れたレストランを利用しました。上記の写真はレストラン駐車場の写真です。そして写真の後ろの方に広がる緑の木々はなんとコーヒー畑。

コーヒー畑コーヒー畑
近づいてみるとこんな感じ。

ドーマンのオフィス付近ではこのように突然コーヒーの木に出くわすことが多くありました。もちろん郊外に位置しているので農作物を育てる畑が多く、幹線道路の脇や住宅の裏、露店の裏などあちらこちらでコーヒーの木を見かけます。コーヒーが人々の生活に根付いていることを物語る光景だなぁ〜と、一人で感心してしまいました。

そして、ランチの後もカッピング再開。

こんな感じでひたすらカッピングを行いました。

カッピングは1つのロットに対し、必ず2カップの検体が用意されます。これは、コーヒーの抽出液は稀に欠点豆が混入することで本来の味わいがわからなくなったり、その他外部要因で豆のポテンシャルが正しく現れない可能性があるため、2つ以上のカップを用意しそれを回避する目的と、同じロットで味わいの均一性があるか判別する目的があります。

同じロットなのに味わいに均一性がない場合は、当然ですがそのロットは味わいにバラツキが生まれているということになります。収穫された際の熟度が揃ってなかったり、精製過程の選別が甘かったりするとこのようなことになります。

今回の買い付けでは200以上のロットがテーブルに並びましたが、それら全ての味わいを判定するために、実際は400カップ以上のコーヒーをカッピングしてきました!

修行のようだった、、、。

ということで、買い付けday2「オークション会場視察&ドーマンでカッピング 」のレポートでした。次週以降で、day3「CKCMと産地”ニエリ地区”視察&カッピング2日目」の模様をレポートしますー!

Vol. 3に続く

Text by Yohei Kimura