- スペシャルティコーヒー
スペシャルティコーヒー焙煎(ロースト)の基本知識
スペシャルティコーヒーの焙煎を始めるための基本知識
コーヒーの焙煎を始めると何を基準にすればいいのか、どこに重点をおけばいいのか、初めの頃はわからないことだらけです。今回のブログのではコーヒー焙煎をするにあたり、①〜⑩に分けて重要なポイントとフェーズを解説していきます。これらを知っているだけで格段に焙煎が格段にうまくなるのでぜひ、参考にしてみてください!!
①投入温度
②ターニングポイント
③ローストカーブとRoR
④ファーストクラック(1ハゼ)
⑤終了温度
⑥モイスチャーロス
⑦大気温度、環境
⑧ドライイングフェーズ
⑨メイラード反応フェーズ
⑩デベロップメントフェーズ
①投入温度
焙煎機に生豆を投入する温度は何度にするのか?
それは、ターニングポイントや焙煎の中盤の温度帯、や終了の温度など焙煎全体のプロセスを逆算して考えて決める必要があります。ONIBUSでは焙煎を11~12分で終わらせたいので、投入温度を200−210℃ 終了温度を205℃前後に設定しています。
焙煎前の生豆の温度は、焙煎機に投入した際に、釜内部の温度に影響を与えます。生豆を何度で保管していたのか?など、それをコントロールするには、投入時の生豆温度を一定に保つことが重要になってきます。
②ターニングポイント
生豆をロースターに投入すると、焙煎機内部の熱が下がり、再び上昇しはじめます。 上昇しはじめる点を転換点(中点、ボトム、ターニングポイント)と呼びます。この時、ターニングポイント前に、バーナーを点火し火力を強くするのか、またはターニングポイント後に火力を強くするのかでもボトムの温度は変わってきます。ターニングポイントからどのように温度を上昇させるかを考えて、火力調整をします。
ONIBUS COFFEE
投入時 ガス圧2 → 50秒後 ガス圧5.5
③ローストカーブとRoR (Rate of Rise)
焙煎機とパソコンをつなぎ、温度上昇を可視化したグラフをローストカーブと呼びます。
ローストカーブの形状はバーナーの火力調整や、エアーフロー、生豆の水分値、環境温度などで変わってきます。このカーブからどのように豆に影響を与えてるかをイメージして焙煎レシピを作っていきます。
RoRは温度の上昇率の事を言い、釜内でどの様に温度が進行しているかを示してくれます。RoRは温度の進み方を素早く読み解くために利用します。ローストカーブとRoRを相対的に読み取り、ローストを上手にコントロールして目的のプロファイルを作成していくことが重要です。
cropster
④ファーストクラック
ローストを進めていくと、コーヒーは水分を失い、メイラード反応をはじめ多くの科学変化が起こります。豆がある一定の温度になると(ONIBUSでは195℃前後)豆の割れ目に沿って水蒸気と二酸化炭素を発生するのですがその圧力がたかまり外部に放出します。その時に、パチパチとクラック音が発生します。これを1ハゼと呼びます。
⑤終了温度
1ハゼから、焙煎終了までの時間をデベロップメントタイムと言います。この焙煎終了の温度を何度にするのか、また、温度は一緒でもどのような火力で終了するのかでも焙煎度合が変わってきます。
⑥モイスチャーロス、ローストカラー
焙煎前と焙煎後の水分の変化と、焙煎豆の色を数値で表します。
モイスチャーロスの計算式
焙煎終了後の豆重さ/ 生豆の重さ-1
例 3000g / 3400g -1=マイナス11.7%
水分がロースト前より11.7%減少したことがわかります。
焙煎豆の色は、L値などで数値化されます。ONIBUS COFFEEではローストカラーアナライザー ライトテルズCM-100を使ってローストカラーを測っています。
モイスチャーロス、ローストカラーを管理することで、より焙煎が均一化します。
⑦大気温度、環境
焙煎は焙煎機の放射熱による熱の拡散によって、焙煎中の豆にも影響を及ぼします。日本では特に夏と冬で焙煎機の温度計で読み取る温度と実際に焙煎が与える影響が違ってきます。同じカロリーを与えていてもRoRやローストカーブが前回値と違うことがあります。
また、湿気の多い時期や気温が変わりやす時期などは焙煎に大きく影響を与えるので注意が必要です。
⑧ドライイングフェーズ
このフェーズは、焙煎が始まり、豆内の水分が蒸発して科学反応を起こりだす前の準備段階のフェーズです。しっかと適切な温度で水分を蒸発させるこがとても重要です。
ティッピングや、スコーチングを起こさないよう注意が必要です。
⑨メイラード反応フェーズ
メイラード反応は、加熱による糖の脱水からなる科学反応です。アミノ酸を反応させコーヒーの褐変の原因となるメラノイジンを生成していきます。
メイラード反応フェーズはコーヒーのフレーバーにコンプレックスさとボディーを与えてくれえると仮定されています。
⑩ デベロップメントフェーズ
この時間のコーヒーは水分が蒸発しとても脆く、デリケートな状態になっています。特にファーストクラック前後の数十秒は繊細な火力調整が必要です。
一般的にこの時間を長く取るとボディが増し、酸が分解されていきます。とても複雑で色々な科学反応が起きるフェーズでもあります。
例えばショ糖のキャラメル化その他 熱分解, 炭化, メイラード反応, ストレッカー分解、有機酸の分解・生成など多くの変化があるので豆のシワや色、匂いなどよく観察して焙煎終了のタイミングを決める必要があります。
最後に
これらの反応は異なる温度でスタートし、ドラム中では様々な時間、温度帯で変化が発生しています。コーヒー豆の一つ一つが全く違うコーヒー構造のため、反応は重なり合いなが進んでいき、とても複雑です。また、それらを単独で分析、推測するのは非常に難しく、 すべてのポイントやフェーズは一体となっていて、お互いに影響しあっています。焙煎士は、これらの反応を予測して、豆の香りや色に注意し、どこを修正すれば味わいが良くなるのか、仮説をたてローストプロセス全体をコントロールできるように、データと経験を蓄積していくことが重要です。
さらにプロファイルを深く解説した下記記事もご覧ください。ティッピングやスコーチングなども説明しています。