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コーヒーかすの循環法”コンポスト”!〜「捨てない」サスティナブルを体験〜

コーヒーカスの循環法”コンポスト”!〜”捨てない”でサスティナブルを体験〜

美味しいコーヒーを飲もうと思ったら、まずこだわるのが豆選び。あなたがコーヒー愛好家であれば、その一杯からコーヒー農園の風景まで思いを馳せるかもしれません。スペシャルティコーヒーのキーワード”From Seed to Cup”はまさにコーヒーの世界の広さを感じさせてくれます。では、美味しく飲み終わった後に残ったコーヒーかすの行く末はどうでしょうか?

今回のブログでは、循環を目指すONIBUS COFFEEのコーヒーかすにまつわる取り組みについてのお話。ご家庭でも試せるので、ご自宅でコーヒーをたくさん飲む方はぜひチェックしてくださいね!

ONIBUS COFFEEのコーヒーかす活用法!

コーヒーかすの利用方法をネットで探すと、「消臭剤にする」「染物に使う」など、ちょっとがんばれば家庭でもできそうなものから、「繊維に織り込む」「畜産業で飼料にする」など企業として取り組んでいるものまで様々なアイデアが出てきます。しかし、ほとんどの人は燃えるゴミとしてそのまま捨てているのではないでしょうか?

1日に何キロものコーヒーを使うコーヒーショップになれば、廃棄量はさらに増えます。ONIBUS COFFEE/ABOUT LIFE COFFEE BREWERSでは、国内7店舗合わせて、コーヒーかすだけでも30kg〜60kgほどが1日の営業で排出され(抽出後のコーヒーかすに残っている水分も含みます)、コーヒーショップから排出されるごみのおよそ半分は、このコーヒーかすが占めます。1日の営業を終えて重たくなったゴミ袋は、たくさんの人にコーヒーを飲んでもらった証。しかし、そのまま大量の産業廃棄物となれば、運搬・焼却・埋め立ての過程で環境に負荷をかけることになってしまいます。それは少し、いやかなり心苦しい、、、ということで、ONIBUSではコーヒーカスの「コンポスティング」をやっています!

コンポストって?

分別方法がわかりやすく描かれているアメリカのゴミ箱

世界にある焼却炉の70%は日本にあるのはご存知でしたか?日本では、「ごみは焼却処理するのが当然」と思っている人も多いでしょう。実際、多くの自治体で、可燃ごみはなんでもかんでも燃やして処分しています。しかし、”そもそも廃棄しない”という選択肢もあるんです。それが「コンポスト」です。コンポスト(=堆肥)とは、簡単に言えば、有機物(落ち葉や生ごみなど)を、微生物の働きで発酵・分解させること。コンポストには土壌を改善したり、肥料効果があったりと土の状態を良くする働きがあります。家庭から出る可燃ゴミに分類されているものの多くは、生ごみなどの有機物であり、環境さえ整っていればコンポストにして土に還すことが可能です。アメリカでは、環境配慮の施策として、家庭や事業所から出る生ごみのコンポスティングが義務付けられている州もあるくらいなんですよ。

ONIBUSのコンポストプロジェクトのあゆみ

①コーヒーソイル

ONIBUSが2020年に販売していたコーヒーソイルのパッケージ

廃棄物削減のためのONIBUS COFFEEのコンポストプロジェクトは、2019年の「コーヒーソイル」から始まりました。都市部での農体験を展開する「Urban Farmers Club」と、三鷹市で自家製有機堆肥による農業を営む「鴨志田農園」の協力のもと実現したこの取り組み。各店舗で溜めた約1ヶ月分のコーヒーかすを鴨志田農園の堆肥舎に運び入れ、数ヶ月間かけて完熟(有機物が完全に分解された)状態にしてもらいました。完成した堆肥は、鴨志田農園やUrban Farmers Clubで使っていただき、家庭でも使いやすいように培養土にしたものは「コーヒーソイル」と名付けてONIBUS COFFEEでも販売しました。翌年も同様にコーヒーソイルの作成と販売をし、コーヒーかすから姿を変えた培養土は、多くの人の手に渡りました。現在は販売していませんが、コーヒーソイルを使った私の部屋の観葉植物は今でも元気です。

②店舗でのコンポスト運営

コンポストの床材の材料写真

お店を営業していれば、コーヒーかすは毎日出ます。先述のコーヒーソイルプロジェクトを経て、日常的に循環を作っていける環境があるとより良いと考えました。そして、現在運用中の自由が丘店と那須店のコンポストに繋がっていきます。

ONIBUS COFFEEのコンポストは、鴨志田さんの元で教わった方法で運用しています。広葉樹の落葉、米の籾殻、米糠を混ぜ合わせ、水分を含ませて作った「基材(床材ともいう)」に、コーヒーかすを投入していきます。基材の中の有機物の働きで、コーヒーかすや生ごみなどの有機物は腐敗せずに、発酵・分解されていくのです。

自由が丘店はCSA LOOPと協力

自由が丘店で農家がコンポストを回収している様子

2023年4月にオープンした自由が丘店は、ONIBUS COFFEE初のカフェスタイルで、ブランチやペイストリーのキッチンも備えています。

自由が丘店のカウンターを作ってくれた大工の島田さんが、コンポスト用の木箱も作ってくれました。木箱に入っている基材に、コーヒーかすや、キッチンから出る野菜や果物の皮、花殻などを毎日投入してかき混ぜています。かき混ぜることで、コンポスト内の有機物に酸素が供給されて、発酵が活発になります。

毎日多くのコーヒーかすや果物の皮が出る自由が丘店。実はこの規模でコンポストを続けるにはハードルもあります。すぐにコンポストが満杯になってしまうのと、コンポストをしっかりと熟成させる場所と時間がないのです。

この問題を解決するのが、自由が丘店で参加している『CSA LOOP』という農家と消費者を繋ぐ取り組みです(詳しくはこちらの記事)。CSA LOOPでは、毎月一回、野菜の販売と会員向けの野菜セット受け渡しのため、パートナーの東久留米市の農園「奈良山園」のみなさんが来てくれます。その際に、コーヒーかすコンポストも回収してくれるので、お店のコンポストを持続的に運用させることができるんです。しかも、回収されたコンポストは、奈良山園で熟成させて堆肥として実際に畑で使用。自由が丘のオープンから約1年が経ったこの春には、コーヒーかすの堆肥を使った土で育ったカブやルッコラが収穫されました。さっそくONIBUSチームみんなでいただき、野菜の瑞々しさや旨味を楽しみつつ、お店で出たコーヒーかすが、美味しい野菜を育てて帰ってきたことに感激しました。生産者と消費者の循環がこうして形になっています!

那須店は「森との共生」を形に

那須店の前のハーブスタンド植え付けの様子

複合施設”GOOD NEWS”内にある那須店は2023年7月にオープンしました。GOOD NEWSでは他のショップと一緒にコンポストを運用しています。ここのコンポストは、GOOD NEWSの広い敷地と豊富な落ち葉を利用してしっかり熟成させています。堆肥化したものは施設内のハーブ園の土作りに活用。今年5月にはこのハーブ園についに主役のハーブが植えられました!山梨のharbstandさんのご協力で植えられた約30種のハーブは見た目も味もどれも個性的です。

コンポスト量を計測してインパクトを実感

那須店ではオープン後から計測を開始。昨年7月のオープンから1年で815.6kgものコーヒーかすをコンポストにしました。那須店では徹底した分別を行なっており、生ごみ費では90%を超える量を循環させています。

自由が丘店での計測は今年の3月から開始しました。計測開始から約5ヶ月間で316.3kgをコンポストにしたことがわかりました。

今までであれば、燃えるごみとして捨てるはずだった1トン以上ものコーヒーかすや生ごみを、有機資源としてコンポストにすることができました!

家庭でもできるいろんなコンポスト

コーヒーコンポストをブルーベリーの鉢に入れている

家庭でもコンポストはできます。手軽な牛乳パックやダンボールコンポスト、見た目もおしゃれなLFCコンポスト、匂いが気になるならミミズコンポスト、大量にやるなら回転式コンポストなど、様々な種類があるのでコンポスト生活を始めることは比較的簡単です。家庭菜園をやっていれば、コンポストをすることで、消費と生産の循環を実感することができ、やりがいも感じるはずです!気になる方は一度試してみてはいかがでしょう?

コンポストの可能性

麻袋と米糠をぶつぶつ交換

「ごみの削減」というシンプルな理由がきっかけで始まったコンポストですが、やってみると様々な可能性を秘めているものでした。

例えば、コンポストに必要な基材は、地元の農家が分けてくれる籾殻や米糠、近くの公園でもらってきた落ち葉です。CSA LOOPのパートナーの奈良山園の米糠とONIBUS COFFEEの麻袋を物々交換したこともあります。透明性の高い調達や、必要と不要を交換することは、人やコミュニティの繋がりをより強くします。

自由が丘店も那須店もコンポストは店の外に設置され、お客さまも見ることができます。すでにコンポストを日常生活に取り入れているお客さまとは、コンポストの話で盛り上がることもあり、まさにコンポストが醸すコミュニティを感じています。

コンポストが発酵中の時には、自然に50℃以上まで温度が上がります。先日は、コンポストで発電をしている方にもお会いする機会がありました。コンポストのエネルギーとしての活用方法も将来的にあり得るかもしれませんね!

できることから続けてみよう

コンポストをしても堆肥の使い道がないという方も多いと思います。それでもごみを削減したいなら、消費行動を見直してみるのも良いでしょう。例えば、パッケージごみのでない量り売りを利用したり(ONIBUSでもやってます!)、食材はロスがでないように必要な分だけ購入したり、料理の時には野菜はできるだけ丸ごと使って、皮まで美味しくいただくことを心がけたり。私は、それでも出てしまう生ごみは、乾燥させてから捨てるようにしています。そうすることで、焼却にかかるエネルギーを削減することに繋がるからです。

少し前の生活では、畳の掃除をするのにお茶がらを使うという暮らしの知恵もありました。便利な世の中になっていますが、使えるものは余すことなく使う・無駄がないということは、今も昔も、心の豊かさに繋がるアクションです。コンポストで”サスティナブル”を実感、でも身構えすぎずに、できることからはじめてみませんか?

text by Mai Yamada