2024.10. 3
  • レポート

シドニーと東京のコーヒーシーンの、これまでとこれからが交わる 〜ARTIFICER×TASK COFFEE×ONIBUS COFFEEイベントレポート〜

シドニーと東京のコーヒーシーンの、これまでとこれからが交わる 〜ARTIFICER×TASK COFFEE×ONIBUS COFFEEイベントレポート〜

9月18日、オーストラリア・シドニーからARTIFICER COFFEE ROASTER の昌ニさんをお招きし、ゲストバリスタ&カッピングイベントを オープンしたばかりのONIBUS COFFEE中目黒三丁目で開催しました。

ONIBUS COFFEEオーナー坂尾と親交の深い、ARTIFICER COFFEEのオーナー昌ニさんが日本に一時帰国されるタイミングと、ONIBUS COFFEEオニバスコーヒー新店舗のオープンが重なり、さらにオニバスコーヒーから独立し自店のオープンを間近に控える田崎さんも加わって、トントン拍子で話が進み決定した今回のコラボイベント。中目黒三丁目のスタッフ澤田が、イベント当日の様子をレポートします。

ARTIFICER COFFEEとは

ARTIFICER COFFEEは、シドニーのカフェ激戦区Surry Hillsにあるコーヒーバー&ロースター。2014年に共同オーナーであるダンと昌ニさんの2人でオープンしたお店です。

ARTIFICER=「熟練した職人」という名のとおり、お店にはフードメニューはなく、コーヒーだけに特化しているのが特徴。朝は仕事前に立ち寄る地元の人やサイクリストなどで賑わいます。シドニーを訪れる方にはぜひ立ち寄ってほしいお店です。

ARTIFICERゲストバリスタスタート!

この日はお昼から、ゲストバリスタとして昌ニさんにARTIFICERのコーヒーを淹れていただきました。

エスプレッソ、フィルターともにコーヒー豆はすべて、ONIBUSではなくARTIFICERのものに入れ替わり、コーヒー豆やグッズの販売も行いました。

エスプレッソはシーズナルブレンド、フィルターはエチオピア・コロンビア・ペルーというラインナップ。オーストラリアと日本では、水質や気温、使うマシンなど、条件が異なりますが、しっかり調整して「よし、このレシピでいこう!」とベストなコーヒーを提供していただきました。普段とは違う環境条件やオペレーションでも、そんなことを感じさせない、自然で堂々とした立ち振る舞いや、お客さんと会話を楽しんでいる姿は、さすが昌ニさんだなと、私も魅了されました。

昌ニさんの隣では、昔からの仲だという田崎さんにもバーに入ってコーヒーをサーブしていただきました。オニバスコーヒー代表の坂尾も加わり、バーの中では昔話に花が咲いていました!

昌ニさんのコーヒーが飲める貴重なこの機会を目指して来てくれた方や昌ニさんのご友人も集まり、終始賑やかで楽しいゲストバリスタの時間でした。

3ロースターのカッピングセッション

続いて、カッピングセッションに移ります。カッピングとはコーヒーのテイスティングのことです。

ARTIFICERから3種、ONIBUS COFFEEから3種、そしてONIBUS COFFEEのOB田崎さんがもうすぐオープンするTASK COFFEEから2種、合計8種類のコーヒー豆がテーブルに並びました。

参加者の皆さんにカッピングの意味や方法を簡単に説明しスタートです。お湯を注いで一定の温度まで下がったコーヒーをスプーンを使って口の中にふくみ、ひとつひとつ味をとっていきます。参加者の方には、お渡ししたシートにコーヒーのフレーバーや質感など感じたことを思うままに書いてもらいました。

味覚をフルに使い、「このコーヒーはこの産地かな」「この味はどう表現したらいいのかな」と考えたり、それぞれ意見を言い合ったりしながら楽しい雰囲気でした。

ちなみに、今回カッピングしたコーヒーは以下の通りです。

  1. Guatemala El Puente Terrazas/ ONIBUS COFFEE
  2. Colombia Bellavista/ ARTIFICER COFFEE
  3. Guatemala San Juan/ TASK COFFEE
  4. Peru Nugkui/ ARTIFICER COFFEE
  5. Colombia El Prado/ ONIBUS COFFEE
  6. Ethiopia Banko Gotiti/ ARTIFICER COFFEE
  7. Ethiopia Tabe Burka/ TASK COFFEE
  8. Kenya Kii AA/ ONIBUS COFFEE

今回は、どれがどの豆か分からないようにするブラインドカッピングで行いました。最後に答えを発表する際に、参加者のみなさんに好きだったコーヒーを聞いていくと、一番手が多く手が挙がったのは、⑧Kenya Kii AAでした。どのカップも産地の特徴がきれいに出ていて素晴らしかったですが、その中でも⑧はケニアらしいレモンやオレンジといった果実味を感じるジューシーなカップで、気に入った方が多い印象でした。

シドニー&東京コーヒートーク

最後はトークセッション。坂尾が進行役となり、質問形式で昌ニさん、田崎さんに答えていただきました。トークセッションの様子を一部紹介します。

坂尾:自分のお店を作るにあたって一番大変だったことはなんですか?

昌ニさん:お店の立地選びと物件探しは苦労しましたね。町に根差していて、商品を理解して買ってくれる、クリエイティブな人が多く集まるSurry Hillsエリアにお店を作りたくて、物件探しは約1年かかりました。

坂尾:どこにお店を作り、どんな人に来て欲しいか。コーヒーショップを始めるにあたって重要なポイントですね。田崎さんは今まさにお店を作っている段階だと思いますが、大変だと感じたことはありますか?

田崎さん:カフェが無限にある東京で、コーヒーショップを開く意味についてはとても考えました。どうやって他と差をつけるのか考えた時に、オニバスコーヒーで8年8ヶ月働いた自分にしかできないようなお店づくりを、生まれ育った地元でやりたいなと。オニバスコーヒーで培った経験を活かして自分がいいと思うものを作り、地域に根付くような場所にしたいです。

坂尾:現在のシドニーと東京、それぞれのコーヒーシーンについて聞かせてください。

昌二さん:最近シドニーでは、有名なロースターやカフェから独立してお店を持つ人が増えてきています。シェアロースターといって、ロースターを貸し出すサービスも普及してきているため、昔に比べると自分のお店を持つことに挑戦しやすくなったのかなと思います。

田崎さん:近年、世界的なコーヒーの競技会でも日本人、アジア人の活躍が多く見られていて、それに付随して日本でもクオリティーの高いコーヒーを飲めるお店が増えてきているように思います。その中でも、クオリティーに特化するだけでなく、お客さんとの会話や経験づくりに価値を置く、ホスピタリティーにも特化したお店が今後は生き残っていくのではないかなと肌で感じています。

昌二さん:大事だと思います。僕のお店でも、お客さんはコーヒーのためだけではなく、コーヒーを作る“人“に会いにきています。お店のスタッフの採用では、コーヒーのスキルより、お客さんと会話ができるかどうかをみています。しっかり挨拶ができる、しゃべれることは、基本的なことかもしれませんが、できない人も多い。ホスピタリティーにおいて一番重要なことだと思います。

さいごに

参加者の方々は、これから海外にワーホリに行く方、これからお店を開業する方、自分で焙煎をされている方など幅広く、リアルな経験を聞けるチャンスに質問の手も多く挙がっていました。トークセッション終了後には美味しいワインとタコスをお供に、参加者の方々との親睦会。個別に質問したり、参加者同士で交流したり。日も暮れ始め、和やかな雰囲気でイベントも終了となりました。

今回のイベントに参加された方々は、きっといろいろな思いを持って足を運んでくださったと思います。この出会いをきっかけに、コーヒーに興味を持ったり、海外生活のこと、開業すること、世界の国々のカルチャーなどなど、いろんなアンテナが増え、人生をちょっとだけでも豊かにできたら幸いです。

“コーヒーを通して人と人がつながる、暮らしが豊かになる“

私たちが思い描いている、ONIBUS COFFEEのテーマでもあります。このご縁をまた未来に繋げられたらいいなと思います。

イベントの開催にあたって協力してくださった昌二さん、田崎さん、参加者のみなさん、ありがとうございました!

Text by Misaki Sawada

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