2020.7.12
  • スペシャルティコーヒー

MICRO REGION SHOWCASE 参加レポート vol.1

MICRO REGION SHOWCASE 参加レポート vol.1

このブログは(今更?と思われるでしょうが)2020年1月にブラジルで開催された「MICRO REGION SHOWCASE ILICINEA」というコーヒーイベントの紹介と、実際にそこへ参加した模様を、全6編に分けてお送りします!

                       

vol.1 概要編 ←今日はここ

vol.2 農園視察 前編

vol.3 農園視察 後編

vol.4 農園視察 サステナブル農業編

vol.5 オークションの趣旨説明編

vol.6 オークション当日編

                       

写真多めなので、旅行の土産話感覚で読んでみて下さい。そいじゃ、行ってみよ!

 

 

何、「MICRO REGION SHOWCASE」って?

  

2020年1月20日〜23日にかけて、ブラジルのミナスジェライス州、南ミナスにあるイリシネアという街にて、 世界中のマイクロロースターとコーヒー生産者向けに開催された、

  • 開催地区のプレゼン(農園視察)
  • ナノロット(小規模生産)の生豆オークション
  • コーヒー生産者向けのシンポジウム

以上が一緒になったブラジルスペシャルティコーヒーに関する全く新しいイベントです。

このイベントは2019年から始まり、今年で2回目の開催となりました。ONIBUS COFFEEが参加するのは今回が初めてで、このレポート筆者、木村が参加しました。

スケジュールは、

1/20 オークションロットのカッピング 

1/21 農園視察 

1/22 オークションロットのカッピング

1/23 オークション、シンポジウム、ゲストバリスタ

こんな感じで進行しました。

  

開催地、Ilicinea(イリシネア)

MICRO REGION SHOWCASE(以下MRS)は、開催地区の選定にも主催者の意図が含まれています。

開催地となったイリシネアは、ミナスジェライス州都のベロオリゾンテから車で約6時間ほど移動した地区で、コーヒー生産者が多く住む人口は約1万人ほどの街です。

イリシネアはこの辺り。 

開催地の選定について、ブラジル国内の数あるスペシャルティコーヒー産地の中から、

  • あまり知られていないエリアをフィーチャーする
  • 世界中から訪れるグリーンバイヤーの認知度を上げる
  • 生産者のノウハウを刺激し、その地区の市場を活性させたい

という想いのもと、今回はイリシネアが開催地に選ばれました。

そして会期中には、イリシネアに複数ある農園の内、5つの農園視察ツアーが開催され、私たち参加者は、農場で生産者から直接プレゼンを受けました。

農園視察の模様は次回ブログ「vol.2 農園視察 前編」から詳しくレポートします!

 ( 世界一のコーヒー輸出量を誇るブラジルは、その広大な国土に広がる産地の面積ももちろん世界一。BSCAでは主な産地を色分けし地図にまとめています。参考までに。ORIGENS DE CAFÉ NO BRASIL )

 

オークション

お米で例えると、米の品評会のようなもの。全国の米農家が出品し、厳選された上位入賞米をバイヤーが競売にて競り落とすようなことが、コーヒーの世界にもあります。(国際審査員を擁するCup of Excellenceが世界的に有名。)

今回MRSで開催されたオークションは、ブラジル全土から集められた小規模ロットのコーヒー生豆が中心で、事前の予選会でふるいにかけられた精鋭、なんとカッピングスコア88点以上の生豆のみ20サンプルが揃いました。厳しい国際審査を経たCup of Excellenceの称号授与が87点以上なので、それよりも厳しい審査を経た生豆がオークションにかけられることになります。

当日は、予選会を通過した上位20サンプルをテイスティングしながら、サンプル横に設置されたビットシートに希望落札価格を記入し、入札していきます。前者より高値で入札していき、制限時間内で最終的に一番高い金額で入札した人が競り落とせるという至極原始的なオークションでした。

このオークションやカッピングの模様は後日、「vol.5 オークションの趣旨説明編」以降で詳しくレポートします!

実際にオークションでONIBUS COFFEEが単独落札した超限定ロットの販売についてもこのブログ内でお伝えします!!

上はオークションにかけられたロットのリスト。


今回はオークション会場の写真だけ。
 

 

シンポジウム

そして今回のシンポジウムには、オークションに出品した生産者の他、全国から約300人以上の生産者たちが集まりました。

取り上げられたテーマは、「収穫後のプロセス」や「発酵」について。

ここで最新事情が話し合われ、その後「スペシャルティコーヒーの生産における競争力」と「サステナブルな農園運営」に関する講演会が行われました。

 

会場の雰囲気はこんな感じ!

シンポジウムとオークションの会場は教会内に併設された市民センターで行われました。

普段はとても静かな場所です。

当日はオークションに出品した生産者を始め、ブラジル全土から多くの生産者が集まりました。 

熱心に耳を傾ける生産者たち。

 

 

今回のイベントをまとめると、

 

  • 開催地プレゼン(農園視察) → その地区の市場活性
  • オークション → 生産者へ利益還元。※参加者も制限。
  • シンポジウム → 生産者へ最新ノウハウを蓄積

 

上記の通りこのイベントで行われた各催しは、最終的に生産者の利益になるようなものばかり。もちろん諸外国から参加したロースターにもそれぞれうまみはあります。しかし、どれも発端は生産者目線で、彼らの地位向上を目的とした取り組みだというのがよくわかります。

そしてこのイベントは、これらの想いを効率的に消費者へ伝えるための手段として、オークション参加者を小規模な企業または個人に制限しています。

その理由は、小規模なカフェやコーヒーショップでは、バリスタやロースターと消費者の距離が近く、生産者の思いや品質向上の取り組みを、消費者に伝えやすいという主催者側の意図が反映されています。スーパーやコンビニへ卸すための大型買付けを得意とする大手や、主に焙煎業者を相手にする生豆輸入業者をあえて招聘しないのは、スーパーやコンビニでただ商品が陳列されるだけでは生産者の思想が伝わりにくいという懸念と、生産者と消費者の間にいくつか業者が入ることで情報が伝わりにくくなるという懸念があるためです。

MRSというイベントは、生産者目線を徹底し、少しでも確実に、小規模コミュニティからブラジルコーヒーのイメージを高めて行こうという、ありそうでなかった新しい試みです。

ONIBUS COFFEEは、主催側の生産者視点の考えに賛同し、協力したいという想いから、このイベントへ参加するに至りました。

 

 

どんな人たちがやっているのか 

主催はBrazil Specialty Coffee Association(BSCA)で、キュレーターはフェリペ・クロシェ。開催地となったイリシネアに拠点をおく農業生産者団体のCOCATRELがホスト役を務めました。

今回のイベント参加は、以前から親交のあったこのフェリペ・クロシェの呼びかけがきっかけとなりました。

 

 

Felipe Croce

フェリペ・クロシェは2019年に出版された「世界からコーヒーがなくなるまえに(原題:Coffee Revolution)」という本の舞台になっている、 FAF農園(ファゼンダ・アンビエンタル・フォルタレザ)を両親とともに営んでいます。また彼は、サンパウロでIsso É Caféというラボを併設したスペシャルティコーヒーを扱うカフェを経営しています。

 

Gabriel Miari

ホスト役を務めたCOCATRELに所属するガブリエル・ミアリ。生産者とともに農園の詳細を説明してくれました。

 

・・・・・  

 

今回はここまで。次回は農園視察の様子をレポートします。

今日から始まったこのブログを通じて少しでもブラジルコーヒーに興味を持ってもらえたら嬉しいです。また、今もブラジルの都市部で広がる新型コロナウィルスの感染拡大が、1日でも早く収束することを願っています。

 

つづく

 

 

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