- スペシャルティコーヒー
進化するデカフェでコーヒーをもっと自由に!〜美味しくカフェインをコントロール〜
こんにちは!
立春を過ぎても東京でも雪が降るなど、まだまだ寒い日が続いています。この季節は、家やコーヒーショップや職場で1日に何杯も温かいコーヒーを召し上がる方も多いのではないでしょうか。しかし「コーヒーはたくさん飲みたいけれど、カフェインの摂りすぎが気になる」という場合も。
カフェインの効果はこちらの記事にも詳しく載っていますが、頭痛や利尿作用など、過剰摂取による心身の変化に不安を感じる方も少なくありません。カフェイン耐性は体質や体調によっても異なりますし、薬を服用されている方や、妊娠中や授乳中の方は特に過剰摂取に気を遣いますよね。研究の進む諸外国では、成人のカフェイン摂取量は200〜400mg(コーヒー2、3杯)であれば健康への悪影響はないという結果も出ていますが、いつでも心置きなく好きなコーヒーを楽しみたい!というコーヒー好きにおすすめなのが、デカフェコーヒーです。
※ ) デカフェとは、コーヒーからカフェイン成分だけを取り除いたもののことで、現在のデカフェ技術では、99.9%のカフェインを除去することができます。「カフェインレス」と呼ばれることもあり、商品によってもカフェインカット率が異なります。
意外に長いデカフェの歴史
日本国内におけるデカフェのシェアは欧米に比べると低く、わずか0.6%ほどとされていますが、デカフェの市場は増加の一途を辿っています。実際に、最近では、大手チェーン店をはじめデカフェを選べるコーヒーショップが多くなりました。飲料メーカーからコーヒー以外の緑茶や紅茶飲料にもデカフェが登場するようになったのもここ数年の変化です。
なんだか最近の技術によってもたらされたかのようなデカフェブームですが、その歴史は古く、1819年にドイツの化学者フリードリヒ・ルンゲがコーヒーから”とある成分”だけを取り出すことに成功し、これを「カフェイン」と命名したのがはじめと言われています。そして1906年にはドイツで有機溶媒による世界初の脱カフェイン法が開発されました。日本では江戸〜明治時代のことで、日本でコーヒーが飲まれるようになるよりずっと前から、欧州ではコーヒーが広く愛飲され、また化学的にも研究されていたことがわかりますね。
脱カフェイン法いろいろ
「コーヒーからカフェインの成分だけを抽出し取り除く」脱カフェイン法。現在、主流となっている4種類をご紹介します。どれも基本的には、通常のコーヒー同様の精製処理の後、生豆(焙煎する前)の状態でカフェインを除去していきます。デカフェの歴史は、食品において重要な「安全性」と「味」の観点とも繋がっています。
① 有機溶媒抽出
1906年にドイツで開発された最初のカフェイン除去方。有機溶媒(水に溶けない物質を溶かす液体)を使ってカフェインを溶かします。現在は塩化メチレン(ジクロロメタンとも)を主に用いています。
メリット:安価でできる。
デメリット:カフェイン以外への物質への影響も大きく、香りや風味が損なわれる。安全性に不安。日本では許可されていない。
②水抽出
水を用いた除去方法は1940年代に開発されました。生豆から水にコーヒーの成分を一旦溶け出させて、カフェイン以外の成分を生豆に戻す方法や、「スイス・ウォーター・プロセス®️」のようにカフェイン以外のコーヒー成分が溶けた水に生豆を漬けることで、生豆からカフェインのみを水に移動させて除去していく方法もあります。スイス・ウォーター社は1970年代からこの方法を確立し、化学薬品を一切使わない安全な方法、且つ、よりカフェインのみにフォーカスした抽出ができる方法として親しまれています。
メリット:有機溶媒などの薬品を一切使わない・または使っても生豆には直接触れないので安全。
デメリット:カフェイン以外の成分にもわずかに影響がある。
ちなみにこちら、「デカフェはコーヒーだ!」という強いメッセージを感じるスイス・ウォーター社のYouTube。工程も動画で見るとなんとなく理解できますね。
③ 超臨界二酸化炭素抽出法
医薬品や化粧品などにも応用される超臨界技術を利用した、1970年代に実用化された比較的新しい脱カフェイン法です。こちらも使うのは水と二酸化炭素だけで処理過程において薬品を用いません。
かなり化学的な内容で難解なのですが、二酸化炭素などの物質は一定の圧力と温度を加えると、液体と気体のどちらの性質も持つ「超臨界流体」という状態になります(普通、二酸化炭素はドライアイスのように固体か炭酸飲料に含まれる気体かのどちらかですが、高圧条件だと液体になるんですって!)。そしてこの超臨界状態の二酸化炭素は、有機溶剤のように様々なものを溶かすことができるようになるのです。この方法では高い圧力と温度をかけて約半日という比較的短時間でカフェインだけを除去することができます。
精製に使った二酸化炭素は循環利用したり、抽出された天然カフェインはエナジードリンクの原料になったり有効活用されているそうですよ。
メリット:薬品を一切使わないので安全。カフェインだけを狙って抽出できるので、味への影響が少ない。
デメリット:高圧装置が必要で高コストになりやすい。
④ 液体二酸化炭素抽出法
液体状態の二酸化炭素を用いた方法です。低温低圧で処理するため、除去にかかる時間は70〜150時間程度と、③の超臨界法に比べて長いですが、コーヒーの風味や香りに欠かせないショ糖やクロロゲン酸などの数値を保つことができます。
メリット:生豆へのストレスが小さく、味への影響が少ない。
デメリット:低温低圧での処理を可能にするため、数日ほどの時間がかかる。
おまけ:その他
未だ実用化には至っていないのですが、そもそもカフェインを含有していない・もしくは含有量が微量のコーヒーノキの品種改良も現在進行形で研究されています。成功すれば、精製から焙煎までの間に行われていた脱カフェイン処理が不要なので、コーヒー本来の味を損なわずにデカフェコーヒーを楽しめるようになるかもしれませんね。
どの方法もかなり化学的なプロセスを経ているので、読んだだけでは想像がつきにくいですが、様々な脱カフェインの方法が開発・実用化されて今日に至ります。これらの成果で今後デカフェコーヒーはますます美味しく、そしてどんどん身近になっていくと期待しています。
ONIBUSでも飲めます!
ONIBUS COFFEEの店舗でもデカフェを選べるのをご存知でしたか?
デカフェというと、「味は劣っても仕方ない」というのが多くの人が持つイメージかもしれません。しかし、デカフェも品質に妥協したくないONIBUSが今回選んだのが「ホンジュラス/サンタバーバラTOPロット」です!
ホンジュラス国内でもサンタバーバラは特に高品質のスペシャルティコーヒーを生産する地域として有名です。甘さやバランスに優れたホンジュラス・サンタバーバラのコーヒーはONIBUSでも人気のコーヒー。今回選んだデカフェは地域の厳選されたマイクロロットのコーヒーをブレンドし、カナダのスイス・ウォータープロセス®️によりデカフェ処理を施したものです。
デカフェのコーヒー豆の生豆と焙煎後↓
デカフェ処理を施していないコーヒー豆(ホンジュラス)の生豆と焙煎後↓
生豆の状態だと、通常のコーヒーと見た目がかなり違って茶色がかっています。脱カフェイン処理の過程で付着するもので品質には影響ありません。焙煎した状態ではほとんど通常のものと変わらなくなります。
今回のデカフェはミルクとの相性がより良くなるように、少しだけ深めの焙煎にしています。なのでお店で召し上がるならカフェラテが特におすすめ。健康志向の高い方にはソイやオーツといった植物性ミルクとの組み合わせも人気ですよ。ブラックがお好みならアメリカーノやドリップコーヒーでもお召し上がりいただけます。他のシングルオリジンのような華やかな果実感は控えめですが、ほっこりとした甘さを感じていただけるような仕上がりです。
もちろん豆の販売もしています。ご自宅用はもちろん、出産祝いのプレゼントにもぜひ選んでいただきたいです◎オンラインショップでもお求めいただけます!
まとめ
コーヒーが多くの人の生活に欠かせないものになっている中、味も安全性も進化し続けるデカフェという選択肢を取り入れてみてはいかがでしょうか。健康への影響からコーヒーを控えている人も我慢せずに楽しめますし、寝る前のコーヒーなんて新習慣もデカフェなら無理なくできそうです。
ONIBUSでデカフェの提供を開始してから、想像以上にデカフェの需要があるのを実感します。「万人の為に」を掲げるONIBUSとしては、普段コーヒーを我慢していた方にも届いているのかなと思うと嬉しい限りです。
ちなみにデカフェのオリジンも今後不定期で変わる予定です。「ちょっと気になってきたぞ」という方、まずはONIBUSで1杯試してみませんか?