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これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜


これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜
去年ってこんなに暑かったっけ?と思うほどの猛暑日が続きますね。筆者はこんな季節でも楽しく自転車通勤しています。電車通勤でも遊びに出かけるときでも日焼け対策と水分補給はしっかりと行なって体調管理徹底していきましょうね。

さて、前にご紹介したコーヒーの伝播の話と少しだけ品種にも触れましたが、今回のブログではコーヒーの品種にスポットを当てて皆さんに紹介していこうと思います。一般的なアラビカ種の解説から、最先端のコーヒーシーンでのトレンドなども紹介します。先に言っておきますと途中からかなりギークな内容になります。頑張って着いてきて下さいね。お楽しみに。それではいってみましょう。


アラビカ種から派生する2大品種


これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜

スペシャルティコーヒーにおいて、一般的に扱われるコーヒーはこのアラビカ種になります。アラビカ種はカネフォラ種(ロブスタ種)、リベリカ種と併せて3つに分けられることが多いですが、特に重要なのはアラビカ種のなかでもティピカ種、ブルボン種の2種であり、これらを押さえておくと良いでしょう。これらの2種から突然変異や交配によって非常に多くの品種が生まれています。聞いたことのある品種も元を辿るとどちらかに行き着くというのはあるあるです。


①ティピカ種

ティピカは歴史的に見ても最も古い品種のひとつに数えられます。「典型的な」「標準的な」というスペイン語が語源になっていると言われています。ティピカは繊細な酸と甘さの伴う素晴らしい風味特性を持つコーヒーとして重宝されていますが、サビ病や直射日光に弱く、生産量も多くないという特徴があります。様々な生産国へ持ち込み、その土地に合わせて品種改良や突然変異が起き、多くの有名品種が誕生しています。例えば、突然変異種としては先のブルボンもこれに当たりますし、ブラジルで多く生産されるマラゴジッベも該当します。さらにその突然変異種を交配することで生まれるのがハイブリッド種になります。(後述します。)残念ながら、長きに渡る変異や品種改良などによって純粋なティピカはもう存在していないと言われています。


②ブルボン種

先ほどのティピカ種から突然変異したのがこのブルボン種でしたね。ブルボンはマダガスカル島で突然変異したという話は前回のこちらでもお話したかと思います。しっかりとした甘さがあり、スペシャルティコーヒーの市場では根強い人気を誇ります。通常、コーヒーチェリーは赤いものが完熟している状態ですが、ブルボンは完熟した色合いが生産国によっては違い、通常通り赤く完熟したものをレッドブルボン、黄色はイエローブルボン、最近非常に人気が高く高価に取引されているのは、ピンク色に完熟するピンクブルボンな多岐に渡っています。

もちろん生産国ごとの突然変異種も有名なものが多く、ブラジルではカトゥーラ、エルサルバドルではパカス、コスタリカではビジャサルチなどなど非常に多くあります。


ハイブリッド種とは

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ハイブリッド種とは本来遺伝子的に交配することがないとされていたアラビカ種とカネフォラ種の交配種が東ティモールで発見されました(染色体の数が違うため交配しないとされていました)。ティモールハイブリッドと名付けられたこの品種は、カネフォラ種由来のサビ病の耐性を持っていましたが、カップクオリティはあまり高くなく、この品種を品種改良していき様々な交配を経ていったと言われています。

サビ病や直射日光、または生産量が少ないなどの問題を解決するために人工交配は進み、生産国ごとに研究機関があったり多くの研究がなされています。ここで全て紹介したいところですが、無限なので割愛して抜粋していくつかを紹介します。気になる方はガンガン調べてみてね。


①カトゥアイ種

カトゥアイ種はブラジルで生まれた人工交配のハイブリッド種です。ブルボン種の突然変異で生まれたカトゥーラ種と、ブルボン種とスマトラ種が自然交配によって生まれたムンドノーボ種との人工交配。カトゥアイは甘さと酸味のバランスがとても良く、ブラジルやグアテマラでもよく見られる品種ですね。こちらも上記のブルボンと同じように黄色で完熟するイエローカトゥアイなどもあり、非常に人気があります。カトゥーラとよく間違えられがちですね。


②パカマラ種

パカマラ種はその名前にヒントのあるハイブリッド種です。エルサルバドルで見つかったブルボンの突然変異種パカスと、ブラジルでみつかったティピカの突然変異種マラゴジッベの人工交配によって誕生しています。パカマラの特徴はなんと言ってもその種子の大きさ。見たらすぐに分かるほどに大きなサイズは驚く人もいるかもしれません。酸味は少し穏やかですがしっかりとした甘さとクリーミーな質感にオリジナリティを感じる品種です。


③Ruiru11

ケニアでSL28やSL34は良く見ると思いますが、これらの病気に対する弱さを克服するために生まれたのがRuiru11(ルイル11)です。SL28、SL34、K7、スーダンルーメなどを掛け合わせたものとカティモールを交配させたRuiru11は、ケニアらしいジューシーなテイストを残しつつ病気にも強いため最近ではほとんどこのRuiru11が入っていますね。ケニア以外でもSL28が植えられ始めているので、Ruiru11もそのうち色々な生産国で植えられるかもしれませんね。最近よく聞かれるBatian(バティアン)はこのRuiru11から選別された品種です。



最近のトレンド

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World Barista Championship2019の優勝者Jooyeon Jeonさんのファイナル競技の様子。素晴らしかったですよね。

コーヒーの品種にも実は流行りがあります。コーヒーは農作物なのでその年々によって味わいの差こそありますが、大きく流行を左右するものがあり、それはコーヒーの競技会です。毎年世界大会のあるワールドバリスタチャンピオンシップ、ワールドブリュワーズカップなどの決勝で使用されるコーヒー豆は、その後新しい流行になることが多いです。これは品種とは別ですが、最近の世界大会では最高級のシングルオリジンを掛け合わせるブレンドが主流です。ブレンドもきっとそのうち流行ることになるでしょう。

それでは最近人気になってきている注目品種について紹介していきます。


①シドラ種

2019年のワールドバリスタチャンピオンになった韓国代表Jooyeon Jeon(ジュヨン ジヨン)さんが使用したことで一躍有名になったことで知っている方も多いかもしれません。(素晴らしいプレゼンテーションは是非見てみて下さい。)シドラ種はネスレ社がエクアドルで開発したティピカとレッドブルボンのハイブリッド種です。スパイスのような複雑な香味を伴い、完熟したフルーツ感、豊かな甘さなどをバランスよく楽しめる品種です。まだまだ希少品種の部類かと思いますが、日本国内でも少しずつ見かけるので、是非試してみて下さい。


②スーダンルーメ種

スーダンルーメも世界大会で頻繁に見られる品種のひとつです。アフリカの南スーダンの東ボマ高原というエリアで発見されたとされています。エチオピア原産のアラビカの一種とされ、味はヨーグルト系乳酸フレーバーがあり、チェリーやベリー系のテイストも表現されています。こちらもまだまだ珍しい品種のひとつですが、海外のロースターでは割と見ることが増えてきています。


③ユーゲニオイデス種

ゲームのラスボスみたいな名前の品種ですが、まさに今これから流行るとされる最注目品種です。2021年のワールドバリスタチャンピオンシップでは、1-3位までがすべてこのユーゲニオイデスを使用していました。味に特徴のあるこの品種は、酸味がほぼなく飴玉を舐めているかのような明確な甘さがある味わいだそうです。恥ずかしながら筆者もまだカップを取ったことがない程に珍しく、出回るのは少し先になるかもしれません。ユーゲニオイデスとカネフォラが交配して生まれたのがアラビカ種と言われています。いわゆるアラビカの祖先であるこの品種は味わいのユニークさだけでなく、カフェイン含有量2倍などかなり特殊な印象を持っています。

現在、コロンビアの「インマクラーダプロジェクト」という超希少品種を複数育てている農家さんが生産しています。ここでは上記のスーダンルーメも育てています。


最後に

これぞ沼!コーヒーの品種の話アドバンス!〜トレンドも学べる品種解説!〜

ちょっと小難しい話が多かったでしょうか。笑

コーヒーの品種は最後の沼ジャンルです。コーヒーが詳しくなってくると生産国や焙煎度合いだけではなく、精製方法の沼にハマって、最終的に行き着くのは品種なのかなと思います。普段行くコーヒーショップで豆の詳細を見ると、生産国、精製方法とともに品種もきっと書いてあります。私たちが日々生活の中で食べる果物や野菜にもたくさんの品種があるように、コーヒーにも多種多様な品種が増え続けていますから、気をつけて見てみると新たな発見があるかも。品種は全て書き切ることが出来ないのですが、まだまだ話したい品種はあります。笑 少しでも興味を持った方は店頭で筆者を見かけたら聞いて下さいね。笑

コーヒーを楽しんでいきましょう!

田崎将司