- スペシャルティコーヒー
スペシャルティコーヒーのある生活で何が変わるのか〜新たな視点と繋がる世界〜
筆者がスペシャルティコーヒーを楽しむようになって気付けば約8年が経ちました。今は仕事としている「コーヒー」が生活にあることでどんなことが起きたのか。記憶を辿りながら、実体験を元に皆様に紹介をしていこうと思います。コーヒーショップで働く人も、コーヒーが好きで飲み歩いている人にも楽しんでもらえたら嬉しいです。コーヒーのある生活が豊かでありますように。
コーヒーに興味を持ったきっかけ
元々そんなにコーヒーに関心が高くなかった筆者が初めてコーヒーに興味を持ったきっかけは、手に職を付けたかった。という単純なものでした。当時バンド活動が突如終了し、アルバイトしていたカフェでコーヒーとお酒をひたすら作る持ち場だった筆者はお酒も飲めないし、コーヒーを勉強してみよう!と安易に思いついたのでした。
当時は雑誌などでコーヒーショップが紹介されていたものを「かっけぇー!」と眺めながら端から端まで行ってみて、そのときに飲んだコーヒーの味の違いや、お店のかっこよさ、バリスタの雰囲気など、バシバシと肌で感じたコーヒーカルチャーに憧れ、ハマってしまいました。ですが、なかなか働くことが出来なかったことに歯痒い思いをしたのを今でもはっきりと覚えています。
徐々に増える仲間たちと新しい世界
コーヒーショップで働くことはなかなか出来ませんでしたが、色々なところに行くことでよく会う人と仲良くなったりしました。徐々にコーヒーが好きな仲間が増えていき、もっと色々なお店を知ることが出来たり、情報を交換したり。コーヒーが人と人を繋ぐ。まさに体験することとなりました。
お店で働くようになってからも、国内のお客さんだけでなく海外のお客さん、コーヒーロースターと仲良くなれて海外に行くことが出来たり、自分の世界が一日ごとに大きく広がっていく感覚は何物にも変えがたい価値です。もちろん今でも広がり続けています。
誰がどのように作っているか
毎年訪れていたアフリカのルワンダ。
スペシャルティコーヒーを仕事にしてからは、このコーヒーがどこでどのように誰が作っているかを知り、それをお客さんに間違えることなく伝える義務があります。
ONIBUSではトレーサビリティとサスティナビリティの一環として、コーヒーの農園にも直接視察に行きます。筆者も2019年まではアフリカのルワンダへ赴き、生産環境を見てきました。実際にどのように作られているかを見ることで、コーヒーが農作物であるという当たり前のことをしっかりと感じ、責任感を持ってお客さんにも伝えることが出来ます。
それからコーヒーだけでなく着る服や使う物も同様にこれは誰がどのように作ったものか、を気にするようになりました。さらに最近は環境に対してどういうものか。も意識しています。これらもコーヒーのある生活が教えてくれた大切なことだと感じています。
コーヒーのある世界とない世界
とある山で自転車で走っていたときに遭遇した地滑り後の道。環境は刻一刻と変化している。
「コーヒー2050問題」というテーマはご存知でしょうか。このままの気候変動を続けるとアラビカ種のコーヒーが50%以上収穫出来なくなり、私たちがコーヒーを楽しむことが出来なくなるという予見です。
余談ですが、筆者は自転車で山を走るグラベルライドというものを趣味としていますが、崖崩れや地盤の緩みによってもうここは走ることが出来ないという道を幾度となく見てきました。去年は走れたのに今年は、というかもう一生走れない。自然の激しい変化を目の当たりにしています。
コーヒーに関わる環境負荷を少しでも減らせるようONIBUSでは、コンポスタブルパッケージの採用、さとうきびストローの使用、コーヒーソイルの生成、リユースカップCUPLESの運用、紙袋代を森林保全団体へ寄付、通勤時の自転車手当など多くの企業努力を行っています。これでも一部です。コーヒーのある生活によって様々な社会的な問題にも目を向けることが出来るようになりました。
最後に
スウェーデンのコーヒーロースターKOPPIチームとの写真。コーヒーで世界と繋がる!
コーヒーを好きになって仕事にして、あっという間に時は過ぎ去っていきました。最初は「かっけぇー!」で始まったコーヒーライフは、気付くと世界中のコーヒーの友人や同僚、仲間、常連さんたちに囲まれ、社会的な問題にまで目を向けられるようになりました。コーヒーのある生活ってすごい。休みの日に、家でコーヒーを淹れてゆっくりと楽しむ時間や、たまには他のコーヒーショップに行ってコーヒー片手に話す時間。それらは何物にも変えがたく、きっと何世紀も続いてきたんだろう。コーヒーの楽しみ方は人それぞれで無限に広がっていますが、コーヒーがそれぞれの生活に寄り添って、少しでも豊かな一日になることを願っています。今日もコーヒーを楽しみましょう!
Text by Masashi Tasaki