2024.1.25
  • サステナビリティ

味噌作りでチーム作り!〜ONIBUSの発酵型チームビルディング〜

味噌作りはチーム作り!〜ONIBUSの発酵型チームビルディング〜

 

ある日の閉店後のONIBUS COFFEE自由が丘店。有志スタッフが集って味噌作りをしました。ただ楽しいだけじゃなく、実はONIBUSスタッフにとって結構意味のある味噌作り。今回はONIBUSらしいチームビルディングのお話です。

なぜONIBUSで味噌作り?

なぜONIBUSで味噌作り?

ONIBUS COFFEEのチームには、いくつかのバリューがあります。バリューとはONIBUSのスタッフが日頃から店舗に立ちビジョンを体現するために必要としていること。普段の業務だけでは実感を伴いにくいことも、ワークショップを通して体感してみよう!ということで選んだのが「味噌作り」でした。

バリューその①「食への興味・探究を忘れない」

ONIBUSは街のコーヒーショップですが、現在ではフードやデザートやアルコールも提供しています。人に感動を与えられるような”美味しいもの”を作るには、ジャンルを問わず食への興味は欠かせません。

それに日本の伝統食材の味噌は、一見カフェやコーヒーショップとは縁が遠いような存在ですが、微生物の働きによる発酵や、化学変化によって味や香りが作られていく味噌作りの過程など、実はコーヒーと共通することも多いんですよ。

バリューその②「サスティナビリティ・トレーサビリティを理解し、環境へ配慮する」

みなさんの家の食卓を想像したとき、トレーサビリティのある(誰が作ったかわかる)食材はいくつくらい思い浮かびますか?もしくは自給率で考えてみてもいいかもしれません。たとえば、「◯◯さんの育てたお米」とか「飼ってるニワトリが産んだ卵」とか、家庭菜園をしている方なら自ら作った野菜を食卓に並べることもあるでしょう。でも、ひとつも浮かばない人も少なくないと思います。

味噌も、今ではスーパーで買うことが普通になっています。しかしその昔、味噌は買うものではなく作るものでした。一般庶民が各家庭で仕込んでいた歴史もあり 「手前味噌」という言葉が生まれたように人々は”我が家の味”に誇りと親しみを感じていました。

買うのが当たり前と思っているものも、実は自分で作ることができるというシンプルな驚きと、時間をかけて作り上げていく感動は、同時に食への愛着を抱かせます。原料にこだわり無添加で作ることができるのも自家製の良さ。自家製というトレーサビリティは、美味しさの秘訣の一つになります。

バリューその3「人との繋がりを大切にする」

ONIBUSが大切にしている人の繋がりとは、生産者・提供者・消費者すべてを含んでいます。ワークショップのように店舗の垣根を超えて、普段あまり顔を合わせることのないスタッフが一緒になって一つのことをするのも、人の繋がり方。

味噌作りには「大豆を潰す」「潰した大豆を手で混ぜる」という工程があります。味噌がその場に漂う見えない菌の力でじっくり発酵していくように、人も時間や空間を共にすることで繋がりを醸していくのです。

そう!味噌作りは食に携わるONIBUSのチームビルディングにぴったりなんです!

(その他にもバリューはいろいろありますが、それはまた別の機会に。)

味噌を作ってみよう!

味噌を作ってみよう

せっかく作るなら美味しい味噌にしたい!ということでここからは作り方のお話。

一晩水に浸けた大豆を大鍋で茹でること約4時間。親指と小指で挟んで無理なく潰れるくらいの柔らかさが目安です。茹で大豆をすり潰していくのですが、潰れれば何でもOK!今回はお店にある麺棒やフォーク、ココットの底などを使って、協力しながら約5kgの大豆を潰していきました。麺棒で形がなくなるまでしっかり潰す人もいれば、手を使ってあえて形を残す人がいたり、潰し具合にも個性が出るのがみんなで作る面白さです。

大きなボウルに米麹と塩を混ぜておき、そこにすり潰した大豆を入れ、ボウルの中でまとまるまで手を使ってしっかりとムラなく混ぜていきます。大豆の茹で汁で水分を調整すると、麹の香りと大豆の色味ですでに味噌っぽい雰囲気になっていきます。

仕込んだ味噌は密閉バッグに入れて、参加スタッフで分け合いました。

意外に多い「味噌作り」と「コーヒー」の共通点

意外に多い「味噌作り」と「コーヒー」の共通点

味噌作りに使う米麹とは、麹菌を蒸し米にうつしたもののこと。麹菌は大豆のでんぷんやタンパク質を分解し、糖やアミノ酸など味噌の「うまみ」「甘味」を作る働きをします。糖やアミノ酸ができると今度は、別の微生物がやってきて「香り」を発達させます。このアミノ酸と糖の化学変化は「メイラード反応」といい、色も濃くなっていきます。

実はこの現象、コーヒーの焙煎でも起きているものです。焙煎中、薄緑のコーヒー生豆が焙煎によって茶色くなっていくフェーズを”メイラードフェーズ”と呼んでいます。この反応中に特にコーヒー特有の甘味や香気成分が出てきます。

味噌の場合は時間をかけて、コーヒーの場合は熱によって促進されるという反応スピードの違いこそありますが、この化学変化が、香りや味を豊かにしてくれるのは同じですね。

また味噌は嫌気性発酵で育ちます。嫌気性とは酸素に触れさせないことで、英語では「anaerobic(アナエロビック)」と言います。コーヒーに詳しい人なら、コーヒーの精製方法と同じだとピンとくるのではないでしょうか。アナエロビックナチュラルプロセスのコーヒーがほのかに味噌っぽいニュアンスのものがあるのも納得です。

食材だけでなく、空気や時間や熱と上手に付き合ってきた先人の智慧には関心することばかりです。

発酵するチームへ!

発酵するチームへ

みんなで仕込んだ味噌が発酵と熟成を経て食べ頃になるのは早くても半年後とのこと。

これを聞いて「美味しいものには時間がかかるな〜」と言っていたスタッフがいました。便利になりすぎた今の世の中で、あえて時間をかけて一つのものを慈しむことが価値になっていくかもしれませんね。手間暇かけて育てるスペシャルティコーヒーに通ずる価値観だと思いました。

人は、菌によるポジティブな変化を「発酵」と呼び、ネガティブな変化は「腐敗」と表現します。今回の味噌ワークショップは食の楽しさとありがたみを実感する時間になりました。この時間がチームを発酵させるきっかけになると期待しています!

text by Mai Yamada

photo by Marina Noguchi & Mai Yamada

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