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スペシャルティコーヒーの未来を守るThe Pledge 〜署名までの想いと道のりを解説!〜

スペシャルティコーヒーの未来を守るThe Pledge 〜署名までの道のりを解説!〜

スペシャルティコーヒー業界のスタンダードになるかもしれない”The Pledge"。2023年12月現在、世界各国からコーヒーショップ90社が署名しています。持続可能なスペシャルティコーヒーの世界を目指すこのムーブメント、気になっている日本のコーヒーラバーもいるのではないでしょうか。

そして!この度ONIBUS  COFFEEは日本のコーヒーショップとして初めて署名することができました!

今回の記事では、ONIBUS COFFEEが署名までに辿った道のりを解説します。現在日本語の情報がほとんどないThe Pledgeについて、この記事が同じ志を持つ国内ロースターの参考になれば嬉しいです。

そもそもThe Pledgeとは?

そもそもThe Pledgeとは?

「Pledge」とは「誓い、誓約」を意味する言葉です。

The Pledgeは、スペシャルティコーヒー業界に身を置いている人たちなら誰もが知るところのデンマーク『COFFEE COLLECTIVE』、ノルウェー『Tim Wendelboe』など、昔も今もこの業界を牽引する人々が中心となり立ち上げたムーブメントです。

その目的はひとつ。「スペシャルティコーヒーの持続可能な未来」

そのためには、最源流であるコーヒー生産者が、経済的に安定していることが第一としています。そこで、消費国のコーヒーショップやバイヤーたちが、生産者と公平公正な取引していることを世界共通の規範に則り誓約し、生産者の経済的安定に貢献することがThe Pledgeのアイデアです。スペシャルティコーヒーの持続可能な未来を実現させようと、2019年にはじまりました。

ONIBUS COFFEEは可能な限り農園を訪れ、品質だけでなく栽培環境も基準にコーヒー生豆を買い付けてきました。その中で培ってきたのは、「生産者と消費者をフェアに繋ぐという」願いです。そしてONIBUS COFFEEは、The Pledgeの存在を知った瞬間からその想いに共感・共鳴し、絶対に署名してムーブメントの一員になりたい!とリサーチを始めました。

結果、正式に署名するまでには4年弱の月日が経ってしまいましたが、晴れてメンバーとなることができました!

まずは申請までの準備

まずは申請までの準備

The Pledgeに署名するには、大きく分けて4つの条件をクリアしていく必要があります。

  1. 1年で購入した生豆の総量を把握していること
  2. ロットごとのコーヒー生豆のFOBプライス*とカッピングスコアを公開すること(FOBプライス*=現地船積価格のこと)
  3. ①に対する②のロットが占める割合を公開すること
  4. 以上の情報をウェブサイトで誰もがアクセスできるようにすること

では、一つずつ解説していきます。

1. 1年で購入した生豆の総量を把握していること

1年については任意で設定することができます。ONIBUSの場合、2022年1月〜12月と設定し、購入した生豆のロットと購入量をリストアップすることから始めました。

2. ロットごとのコーヒー生豆のFOBプライスとカッピングスコアを公開すること

①で明らかにした購入している全てのロットのうち、一つでも公開できるものがあれば条件を満たします。すべてのロットのFOBとカッピングスコアを公開する必要はありません。そう思うと少しハードルが下がりますね。

ONIBUSは、例年ルワンダとホンジュラスで、限りなくダイレクトに近い形で生豆を購入しています。そのためFOBも公開することができました。

3. ①に対する②のロットが占める割合を公開すること

②情報公開したロットの量÷①生豆の総量

で計算し、パーセンテージを出します。

この数値が高いほど、より透明性の高い取引をしているということができます。ONIBUSでは今回21.61%という数字でした。

4. 以上の情報をウェブサイトで誰もがアクセスできるようにすること

①〜③をまとめたものは、Transparency Report(透明性報告)として公開しました。他の参加ロースターの凝ったレポートと比べるとかなりシンプルですが、大丈夫でした。ただし、条件を満たしているかの確認は英語で行われるので、英訳は忘れずに!

理想はTransparency Report専用のページを作りたいところでしたが、ここで必要なのはウェブ上に公開している事実と、リンクを取得すること。ONIBUSではブログスペースを使って公開することにしました。

準備はここまでです。

申請〜正式署名まで

申請から署名まで

準備が整ったら後は申請。The Pledgeのサイトから”Sign the Pledge"のフォームにしたがって、お店の情報や④のリンクを入力して送るだけです!

その後は運営とのメールのやりとりが数往復。内容にOKが出たらロゴデータを提出し、運営から正式署名(参加)のアナウンスを待ちます!

しかし、この運営のやりとりに案外時間がかかりました。

最初にコンタクトを取ってから数ヶ月(Transparency Reportの内容が条件を満たしているか、アップする前に確認してもらってました)、さらにTransparency Reportをウェブサイトに上げてから数ヶ月。内容にOKがでてロゴデータを提供してから数ヶ月、、、半ば諦めかけていたところに、ようやく正式署名のアナウンスがありました。The PledgeのウェブサイトでONIBUSのロゴを見た瞬間は、報われた感がすごかったです。

ムーブメントを絶やさずに

ムーブメントを絶やさずに

この取り組みが発足したのは2019年の6月。その後、またたくまにヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアを中心に各国のロースターが次々と署名しました。その直後に訪れたコロナ禍で、世界的に現地を訪れての買付が困難になった時期もありました。ようやく、規制が緩和されると同時に、それまでの停滞の反動で人々の動きも活発になりました。

発足から4年以上が経った今、The Pledgeへの新規署名数は減っています。ここからは推測ですが、この取り組みへの各ロースターのコミットメントが少し薄れてきたことや、The Pledge運営のリアクションがスローになったことが減少の要因だと思います。実際、メールをやり取りしていた運営の方も「The Pledgeはサポートとして携わっているが、本職が忙しい」というようなことを言っていました。仕方ないけどもどかしい、、、。

とは言え、この取り組みが「スペシャルティコーヒーの持続性」にとって素晴らしいものであることには変わりはありません!今回ONIBUS COFFEEが日本のロースターとして初めて署名できたことを誇りに思う一方で、日本のスペシャルティコーヒー業界のサスティナビリティに関する意識が欧米諸国に比べて後進的であることも実感しました。社会問題に関心を持ち、アクションを起こすことができれば、コーヒービジネスは、ただ美味しさを享受する以外の意義がだくさんあるはずです。

なので、この記事を読んでいる日本のスペシャルティコーヒーロースターのみなさん!「この条件ならウチもできそう!」「素晴らしい取り組みの一員になりたい!」「日本のスペシャルティコーヒー業界を次のステップに上げたい!」と思ったら、ぜひThe Plegeに挑戦してみてください!

text by Mai Yamada - ONIBUS COFFEE Chief Sustainability Officer