私たちが選ぶコーヒーが未来をつくる〜2026年ルワンダ訪問レポート・前編〜
5月下旬のルワンダは乾季に入り、眩しい青空が広がります。その下にどこまでも続く丘陵地。千の丘の国とも例えられるこの風景は、東アフリカ大地溝帯による地殻変動と火山活動の産物であり、ルワンダのコーヒーの味わいをユニークなものにする要因の一つです。
そんな美しいルワンダに今年もまた行くことができました。現地レポートをお届けします。
発展目覚ましい首都キガリ

ルワンダの中心に位置する首都キガリの街。美しく手入れされ、治安も良く、滞在中は早朝一人で散歩に出かけるのがルーティンになりました。すれ違う人や、都市の美化のためいたるところに配置された清掃係の方に「ムラホ(こんにちは)」と声をかけると皆笑顔で返してくれます。
丘陵地にあるキガリでは、直線距離で数百メートルの場所も、地形に沿って作られた道を行くと数キロになることも。そんな街中では歩く人や公共バスを使う人も多いですが、バイクタクシーが市民の交通手段を支えています。

私は今回で4回目のルワンダ訪問でした。行く度に高いビルを新しく建設していたり、近代的でインターナショナルな飲食店が増えたりしています。最近は、数年以内にできるという新国際空港を中心に、交通網の整備も進んでいるとのこと。目覚ましい開発が現在進行形で行われています。
今年のロットをテイスティング

観光気分も味わいつつ、訪問の主な目的であるコーヒー豆の買付のお話です。ルワンダのコーヒーの収穫は3〜5月が最盛期。収穫されてからテイスティングができるようになるまでには、精製や乾燥といった加工が必要で、これには通常3〜6週間程度かかります。そのため、私たちがルワンダに行くのはサンプルの出揃った5月下旬から6月中旬頃と決まっています。
今年は、以前から取引のあるDukunde Kawa Musasa農協、Juru Coffee、Tropic Coffeeの3グループから合計約80ロットのサンプルをカッピング(コーヒーのテイスティングのこと)しました。この中から、品質や量などを考慮して買い付けるロットを選定していきます。ちなみに、ルワンダのコーヒー生豆はONIBUSで使う分だけでなく、国内の他のロースターに販売する分も選んでいます。

毎年、その年のロットのカッピングをするまでは、「今年の出来はどうかな?「テンションの上がるようなコーヒーはあるかな?」と少し不安になります。今年は訪問時期が例年より少し早いこともあり、サンプルはややフレッシュすぎるような印象がありましたが、概ねスコア85点以上のものが並び、今年も良いコーヒーに出会えて一安心しました。
取引している3グループは、いずれもルワンダの国際品評会『ベストオブルワンダ』の入賞実績のある実力派。常に品質向上への意欲も持ち合わせています。そんな姿を見ることで、信頼して取引できるのも産地に赴く理由の一つです。
Dukunde Kawa Musasa農協

カッピングの翌日は生産地へ。アスファルト道を1時間、赤土のデコボコ道をもう1時間北に走った先にDukunde Kawa Musasa農協があります。今年で設立25周年の、ルワンダスペシャルティコーヒー黎明期から続く素晴らしい生産者組合です。ルリ・ミビリマ・ンカラの3つのコーヒーウォッシングステーション(CWS=コーヒー豆の共同加工場)を所有し、ONIBUSではすっかりお馴染みになりました。
到着するやいなや、伝統的な歌と踊りでお出迎え。独特の太鼓のリズムと歌声が、標高2,000mを超える壮大な景色に響く様は毎回心が震えます。私も見よう見まねで一緒に踊り、1年ぶりの再会を喜びました。
ソイルプロジェクトの発展

ルワンダの滞在スケジュールはなかなかタイトです。それでも毎年Dukunde Kawaへ足を伸ばすのは、ソイルプロジェクトの様子を見に行くためでもあります。ソイルプロジェクトとは、ONIBUSがDukunde Kawaと一緒に取り組む有機堆肥を使ったコーヒー生産のこと。ルワンダのコーヒー生産の「慢性的な肥料不足」「生物多様性の乏しさ」という2つの課題を解決するために2022年に開始しました。今では、120世帯の農家が参加するプログラムになり、ソイルプロジェクトからロット分けしたコーヒーは日本の皆さんにもお届けすることができています。
プロジェクト参加農家の土地で土の様子を見ると、有機堆肥を施した土はそうでない土に比べ、色が濃く、適度な水分を保持していました。これは以前に行った成分検査の数値にも現れています。堆肥のおかげで有機炭素や有機物含量が倍増、土に団粒構造ができることで、水捌けと保水性が高まり、微生物活動が活発になっているのです。乾燥や大雨へのストレス耐性、そして根の健康と収量安定に貢献します。土壌改善により、農家からはコーヒーチェリーの収穫量が倍に増えたという声もあり嬉しい限り。
未来へコミットするDukunde Kawa

4年目となるソイルプロジェクトは、さらなる広がりとしてアグロフォレストリー(森林型農業)を目指しています。昨年は、様々な樹種で約600本をプロジェクトで植樹しました。
まだ若く小さい木々も今後大きく育ち、直射日光をやわらげるシェードツリーとして、カボチャやフルーツは食用として、グレべレアの木は燃料の素材として、落ち葉はコンポストの材料として、リジェネラティブ(再生型)農業に寄与することを期待します。ONIBUSと、同行した京都のWEEKENDERS COFFEE(ルワンダコーヒーチャレンジ2連覇!)も、記念としてグレビレアの木を植樹させていただきました。

Dukunde KawaはミビリマCWSでオーガニック認証をとっていましたが、2028年を目処に、他CWSもオーガニックにするということでした。オーガニック認証を得るには、残留薬品がないことを証明するために、最低でも3年かかります。オーガニックに全面切り替えという覚悟は、すでに訪れている気候変動や、先行きの見えない経済不安にしなやかに対抗し乗り越える力=レジリエンスになるでしょう。彼らとは、これからも互いに良いパートナーでありたいと思います。
後編へ続きます



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