- サステナビリティ
みんなで育てるサステナブルの種vol.1〜那須店“森の日”に考える今できること〜
皆さまこんにちは、那須店の桑原です。都内でも那須でも、相変わらず寒い日々が続いています。那須店のある『GOOD NEWS NEIGHBORS』では、夏には青々としていた木々も、今では雪で覆い尽くされ、雪だるまが出現することもしばしば、、、。寒さは厳しいですが、雪景色の中で暖かいコーヒーを楽しめるのは冬の醍醐味です。
さて、そんな寒さの中ではありますが、今月もまたGOOD NEWSの『森の日』がやってきました!
今回は、ベトナムからピザレストラン『Pizza 4P’s』と中継を繋ぎ、サステナビリティに関するワークショップを行いました。那須チームだけでなく東京のONIBUSメンバーや、他のGOOD NEWS関係者もリモートで総勢50名以上が参加し、「今はこんなふうに海外中継でワークショップも開催されるんだな〜」なんて平凡なことを思いながら始まったオンラインワークショップですが、内容たっぷりの120分に、「私もこれを取り入れてみたい!」と思うような多くの発見がありました。このPizza 4p’sによるサステナブルワークショップは全3回に渡って開催が予定されています。レポート第一弾では、まず普段私たちが行っている活動を改めて詳しくご紹介しつつ、次のワークショップレポートへ繋げていこうと思います。
まずここで、「ん?GOOD NEWSの森の日ってなんだろう??」と不思議に思った皆さまの為に、GOOD NEWS NEIGHBORSで行われている、森の日の活動を少しご紹介させていただきます。
那須・GOOD NEWS「森の日」とは
ONIBUS COFFEE那須店のある、GOOD NEWS NEIGHBORSでは、毎月第2木曜日が休館日になっています。この月に一度の機会に、GOOD NEWSに参加しているショップのスタッフが店舗の垣根を超えて一丸となり、普段の営業時間内ではなかなか行えない施設内の森の整備を行っています。名付けて「森の日」です。
2022年7月のオープン当初から始まったこの森の日は、施設内の森の雑草や笹を刈ることや、落ちている枝を集めるような、ごく身近なことから始まりました。昨年10月の森の日には、施設内で集めた落ち葉を貯める場所「落ち葉ステーション」が完成しました!ちなみに、この落ち葉ステーションの壁は、倒れてしまった竹を再利用して作られているんですよ。
秋には、毎朝これでもかというほどの落ち葉が各店の前に集まっており、スタッフ総出で落ち葉を集めてはステーションに運んでいた時期もありました。冬になり、すっかり木の葉が落ちてしまった今でも、蓄えられた落ち葉を様々なものに利用することが出来ています。たとえば、コンポストのスターター(投入する生ゴミを腐敗させないために、落ち葉と米糠で作るベッドのようなもの)の仕込みや、森の土や水の循環の手助けをしたり、植物が育ちやすくなるための『ボサ置き』と呼ばれる土壌改善など、いずれも森の日を活用して行なっています。「備えあれば憂いなし」とは、この落ち葉のことでしょう。都市部では焼却処分されてしまうことがほとんどですが、森や土にとっては循環を生み出すとても大切な資源なんです。
アプリで貯まるサステナブルポイント
森の日に使用する資材や道具、ワークショップの開催には、『サステナブルポイント(spt)』で貯めた費用が割り当てられています。このサステナブルポイントとは、皆さんがGOOD NEWS施設でお買い物をした際、GOOD NEWS公式アプリ内にある会員証を提示することで貯まっていくポイントです。お会計額の1%がポイントとして反映され、森の管理や施設内でのリユースカップ“UNDER THE TREES”の運営に当てられています。
つまり、ポイントが貯まればたまるほど、森が成長していく仕組みとなっています!私たちの取り組みをよりよく知ってもらうために施設内に設置された、“コンポスト”・“落ち葉ステーション”・“ボサ置き”の看板も、こちらのサステナブルポイントを活用し導入されました。那須店にいらした際には、この看板がどこにあるのか是非探してみてくださいね。
さらに、GOOD NEWの公式アプリでは、毎月どのくらいのポイントが貯められたか、そのポイントが何に利用されているのか、というサステナブルレポートを公開しています。1月は会員売上が154,260spt、リユースカップデポジットからのポイントが2,000spt、合計で156,260sptでした(GOODNEWS公式アプリ:サステナブルポイント活用レポート2023年1月号より)。
コンポスト、落ち葉ステーションに加えて、先ほどは紹介しきれなかった、ハーブ・果樹を植えるための土壌改良や、ボサ置きについてもこちらのレポートから確認していただけます。
第一回 4P'sサステナビリティワークショップで得られたもの
さて、今月2月の森の日は、一時冬の森から離れてみんなで勉強会。ベトナムから『Pizza 4P’s』さんと中継を介して繋がり「サステナビリティはなぜ大事なのか」というようなテーマでお話をしてもらう、講義形式のワークショップが行われました。このワークショップも、先にご紹介したサステナブルポイントを利用して行われています。Pizza 4P’sは、その名の通りピザをメインとしたレストランで、ベトナムから展開が始まり、現在はカンボジアにも店舗を構えています。実は、私たちとも関わりがあり、そしていつも影響を与えてくれる存在で、2019年には、ABOUT LIFE COFFEE BREWERS HCMがPizza 4P’sの運営の元にオープンしています。
彼らの掲げるビジョンは“Make the World Smile For Peace(平和のために、世界を笑顔にする)”で、美味しいピザの体験とサステナビリティを体現するため、多岐に渡るプロジェクトを進めています。今回のワークショップでは、主にPizza 4P’sがサステナビリティを重要視していくようになった経緯、サステナビリティに基づいて行っている活動を、どのように多くの人にアピールしていくのか、またその難しさということについて重点的かつ具体的にお話を聞くことができました。アートを用いてコミュニケーションを実現させたり、コロナ禍という未曾有のピンチをもサステナブルアイデアで乗り越えたり、サプライチェーンの透明性をできる限り高めたり、2000人以上のスタッフを雇用しその満足度を高めながら、ビジョンに基づきビジネスと社会課題の解決を両立しているPizza 4P’sは本当にすごいです。
普段行うゴミの分別や、マイボトル・再利用できる容器の利用など、意識さえすれば一人で行えることはたくさんあります。ですが、そこからより多くの人の共感を呼び起こし、目指す方向性を合わせて大きなインパクトを作り出して行くことは、「また一段階上の話だな」とお話を聞きながら改めて思いました。
ONIBUS COFFEE においても“サステナビリティ”は、チームで取り組むべき課題と捉え、力を入れています。今までにも多くの事を取り入れてきている一方で、「チーム全員が全ての取り組みを把握できているか?」と言われれば、残念ながら必ずしもそうではありません。今回のワークショップは、「まずはチーム内で何が行えるのか?」と考えるきっかけを与えてくれました。
ONIBUS那須のサステナブルな取り組み
実は、今回のワークショップが行われる前の今年1月に、ONIBUSチームでもサステナビリティに関するワークショップがありました。ONIBUSが取り組んでいるサスティナブルアクションをみんなでリストアップする内容です。その際に出てきた取り組みは、“テイクアウトカップやフタを環境負荷低減素材に切り替え”、“生分解性素材のストローやコーヒー豆の袋(特にコーヒー豆の袋は特注です!)”、“ワインボトルを再利用した店内用グラス”、“解体された建材を利用した床”、“コーヒーカスを石鹸や床材に使用するアップサイクル”、“マイボトル利用促進”、“生産地訪問し生産者と顔が見える関係性構築”、“コンポスト”、“再エネ利用”など、この他にも多くのことが挙げられました。
毎日触れるものなので当たり前になってしまっていた部分もあるけどONIBUS COFFEEが取り組んでいるサステナブルアクションは、手法も目的も多岐に渡っている事を再認識する事が出来ました。これらに取り組む意義を、まずはスタッフ全員が理解すること、それを周りの人に伝えて行くこと、そしてその継続を持ってこのサステナビリティの輪が広がって行けば良いなと考えています。
チーム内外で同時期に行われたワークショップをきっかけに、自分ができることとして「那須店で毎日やっているコンポストへの理解を、東京スタッフにも深めてもらおう!」と考えました。先日、ちょうどいいタイミングで、東京からスタッフの田崎さんが那須店に来てくれたので、落ち葉拾いからはじめコンポストのスターターを一緒に仕込んでみました(こうして那須店にスタッフが来るたび、じわじわ巻き込んで行く計画です!)。
GOOD NEWSでは、こうして作ったコンポストに、コーヒーカスや野菜残渣などを投入し堆肥化していくことで、排出する生ゴミの削減を行なっています。ONIBUS COFFEE那須店で出たコーヒーカスはドリップもエスプレッソも全てとっておき、水を切ってからコンポストに投入する作業を毎日行っています。徹底した分別を行っているので、コーヒーカスはほぼ100%堆肥化ができています。このコンポストは、3週間〜1ヶ月で中身を取り出し、森の熟成場所へと移動し、完全な分解を待ちます。コーヒーカスや野菜クズから、こんなシンプルな手順で堆肥が出来るなんて!と驚きます。こうしてみると有機物は土に還りやすい(分解されやすい)ことを実感する一方、プラスチックのようにいつまでも分解されないものの存在は、やはり違和感を覚えるものです。
春には、施設内にハーブや果樹も植えられ、そこにコンポストが堆肥として戻ってくる予定で、ますます施設内での循環が体験できる店舗になっていきそうです。東京の店舗ではまだ実現が難しいことでも、まずは環境が整った那須から実践しています。
さいごに
那須店オープンから半年が経ちました。日々営業をしながらも土壌を改良し、森を確認し、コンポストのチェックにいくことがすっかり習慣となりました。あれよあれよと言う間に、施設内に案内看板も立って、私たちの取り組みを少しずつでも皆さんに伝えることもできるようになってきました。日々のアクションは小さなものですが、オープン当初と半年経った今を比較すると、その変化を大きく感じます。
一口に“サステナビリティ”と言っても、そこには環境に関することだけでなく、協働することや、多様性・平等性に関わることなど多くの意味が存在します。次回以降のワークショップでは、『自分たちが重要視するサステナビリティとは何か』を明確化し、そこからさらに具体的なアクションが取れるようになれば良いなと思います。
那須店に来ていただくことで、自分が買ったコーヒーやお菓子が、森を育てるアクションに繋がっていることや、お店で働くスタッフのみならず、施設に来てくれたみんなで森を作っていくという一体感が少しでも感じていただければ嬉しいです。もうしばらくして春の陽気になったら、外の席や川のベンチでゆったり過ごすのも良いですね。ONIBUS COFFEE那須店でお待ちしています!
text by Chiaki Kuwahara (Nasu)