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憧れのセカンドホームで遊ぶ、暮らす〜日本各地、自然と共生するSANU滞在記〜
豊かな自然の中にセカンドホーム(別荘)を持つことは、いつでも人々の憧れです。しかも1ヶ所だけでなく、山や海や湖の近くで、季節や気分に合わせて自由に行き来することができたらどんなに素敵でしょう。”SANU(サヌ)”は、そんな願いを叶えてくれるサブスクリプション型セカンドホームサービスです。月額5.5万円で、日本各地の自然の中に、あなたの”もう一つの家”を持つことができます。2021年にサービスを開始して以来、会員と拠点を増やし、現在は関東を中心に12エリアにSANUの部屋があります。
SANUのファウンダーの本間貴裕さんとONIBUS代表の坂尾は、2011年の東日本大震災のボランティア活動で知り合いました。その後、当時本間さんが行っていたホステル事業でONIBUSのコーヒーを使っていただくことになり交流が深まっていきます。この繋がりからSANUでも、各部屋にONIBUSのコーヒーを置いていただくことになりました。
自然との共生を目指すSANUのコンセプトや目指す世界は、ONIBUSのスタッフにとっても親和性が高く、また学びや刺激になります。そうしてONIBUSは、SANUのメンバーになりました。「好きな時に好きな場所に行って自然の中でリフレッシュしてね!」というありがたいONIBUSの福利厚生、使わない手はありません。
そこで私は、2023年秋にオープンした千葉・一宮APARTMENTと、栃木・那須CABINに行ってきました。SANUの雰囲気や滞在を通して感じたことをレポートします。
SANU CABIN那須1st
東京から車で約3時間の那須は、ONIBUS COFFEE唯一の郊外店舗がある場所でもあります。私自身も2022年の夏にONIBUS COFFEE那須店のオープンに合わせて3ヶ月間滞在し、その後も仕事・プライベート問わず通っている馴染みのある場所です。
ONIBUS COFFEE那須店から更に山の方へ車を走らせること約20分、別荘地の山道を登ったり降ったりしてSANU CABIN那須へ到着です。
敷地内にはSANUの象徴的なデザインの高床式キャビンが5つ、プライバシーを守るくらいの距離感で点在し、小さな集落のような感じになっています。SANUはセカンドホームです。そのためホテルのような受付はなく、チェックインはスマホで部屋のドアの暗証番号を確認するだけです。初めて来る場所なのに、すでに通い慣れた場所のような勝手の良さを感じます。
合掌造りのような建物の内部に入ると、木の香りと、高い天井、大きな窓から入る光が心地よく出迎えてくれました。室内には、キッチン・バスルーム・デスク・ベッドが備わっています。寒い時期にありがたいペレットストーブも。特にびっくりするのがキッチン周りの充実ぶり。清潔で広いアイランドキッチンには調理器具一式に、気の利いた調味料、食器も様々にあり、料理好きにはとても嬉しい設備です。普通の旅なら、食事は地元のお店に行くのも楽しいけれど、SANUでは近所で食材を調達して、イチから本格的に作ってみるのも楽しそうです。
私が泊まった日は、3月中旬にしてはまだ寒く、夜には強い風が吹き、雪も降りました。木々がうっすらと雪化粧をした朝の風景と、新鮮な冷たい空気は、普段の東京の生活では味わえない静謐な雰囲気がありました。いつもの那須滞在よりも、身近に自然を感じることができとても充実した1日になりました。
SANU APARTMENT一宮 1st
東京都内からはアクアラインを経由して約1時間半ほどで着く千葉県一宮に、SANU初の海辺拠点があります。サーフィンスポットとしても人気の外房の海。私が訪れたのはまだ2月の冷たい雨の日でしたが(どうやら雨女のようです)、サーファーたちは天気も気温もお構いなし。海では時間を忘れるようにサーフィンをする人の姿が多く見られました。
一宮の海岸から程近くにある一宮Appertmentは、他の拠点とは設計のコンセプトが異なっています。木造2階建の長屋のような建物が2棟、野性味のある植栽を中心にシンメトリーで並んでいるのは、洗練されていながらもゲストをフレンドリーに受け入れてくれるデザインです。
この日は、徒歩で行ける場所にある地元のレストランで夕飯を食べ、夜はプロジェクターで好きな映画を投影したり、音楽を聴きながらゆっくりと過ごしました。翌朝、起きたらまずはペレットストーブに火を点けて、炎をぼんやり眺めながら部屋が温まっていくのを待ちます。とても穏やかで贅沢な時間です。前日に買ったカンパーニュをトーストしている間に、近所の商店で調達した地産の野菜をさっと洗って、キッチンに備え付けてある調味料で味付け。それだけで信じられないくらい充実した朝ごはんに。SANUの魔法です。
一宮Appertmentには、アメリカ発で現在は日本にも展開しているコーヒーロースタリーOverivew Coffeeと、東京・練馬区の人気店コンビニエンスストア高橋、コワーキングスペースのSoilが併設されています。これらの施設は宿泊者でなくても利用できるので、地元の方やサーフ帰りらしき人の姿もたくさん見かけました。自然が人を受け入れてくれるとても良いロケーションです。
朝は一杯のコーヒーから
SANUに滞在したらぜひ体験してほしいのが、コーヒーを飲むこと。部屋にはONIBUSのエチオピアのコーヒー豆と抽出器具が全て揃っています(一宮ではONIBUSではなくお隣のOverviewのコーヒーが用意されています)。
静まりかえった部屋で淹れるコーヒーは、ハンドグラインドを回すガリガリという感触すらも特別な体験のような気がしてきます。ゆっくりお湯を注いでいくと、コーヒーの粉がお湯に触れ、ガスを発生させるシュワシュワという小さな音が聞こえました。今まで数えきれないくらいのハンドドリップを作ってきましたが、この”コーヒーの声”を聞いたのはこれが初めて。感覚が研ぎ澄まされていく感じがして、抽出よりも瞑想に近いような気持ちになりました。
暮らしの憧れを実現できる場所
ストーブは、「ペレット」という、おがくずでできた燃料を使い、外では焚き火もできるようになっています。本物の炎が揺らいでいる様子は、暖かさと共になんとも言えない安心感を与えてくれます。その他にも充実したアイランドキッチンや、気持ちの良いリネンの寝具、プロジェクターで投影する映画、バルコニーから眺める自然の風景など、SANUでは暮らしの憧れをすべて実践できます。そんな気持ちを豊かにしてくれる場所で、ONIBUSのコーヒーが、SANUのゲストをもてなすアイテムとして置いてあるのがとても嬉しかったです。確かに、個包装のインスタントコーヒーよりも、豆を挽くところから淹れるコーヒーの方がSANUで過ごす時間との親和性があります。便利なものが増えた今、多少手間はかかっても上質で本質的なものに触れた時、人はときめきを感じるのでしょう。
SANUを体験して
SANUは「Live with nature./自然と共に生きる。」をミッションとして掲げています。ロケーションの良い場所にある宿泊施設は日本全国にたくさんありますが、SANUが一味違うのは、そこを流れる風や、木の香り、炎の揺らぎ、窓からの景色など五感で本物の自然を感じられることです。またSANUのキャビンに使われている建材は、主に国産の杉です。積極的に日本の木を使うことで、資源の循環と日本の森の若返りを図っているのだそう。キャビンが高床式になっているのも、その土地の息遣いや生態系をなるべくそのままにしておくためという理由があります。そしてSANUは建物だけでなく、ソフト面でも使い捨てのものがありません。キッチンの調味料や石鹸などは、すべてシェアです。だからこそ、自分のためだけでなく次の人のためにも大切に使おうと思います。価値や資源は、みんなで分け合えば枯渇せず、続けばさらに分け合うことができます。本物の手触りを大切にすること、環境に配慮すること、持続可能な価値を作っていくというONIBUS COFFEEにも通じるテーマを感じることができました。
SANUでは、各地の自然の中でのアクティビティも、仕事も存分にできます。暮らすようにすごすことができるのも大きな魅力。本物の自然に触れ身も心もリフレッシュするとともに、自然は都市の反対側にある”非日常”ではなく、いつだって私たちの暮らしと地続きであることを実感するSANU滞在でした。
text and photo by Mai Yamada