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デーセルコース〜『日常』から少し飛び出した『非日常』の体験を〜
3月に入り暖かくなり気候も風景も春めいてきましたね。
ONIBUS COFFEEではスペシャルティコーヒーと素材にこだわった焼き菓子や生菓子、自由が丘店ではアシェットデセールやブランチなど、『食』を通して季節を感じていただけるのはもちろん、『食材の透明性』(生産者や素材)を皆様へお伝えするようなメニューを考案しています。
そのひとつとして、自由が丘店の週末限定アシェットデセールを提供するヘッドペイストリーシェフ/スイーツディレクターでもある山中浩平による【デセールコース】を2月に開催致しました!
今回は、少しずつ認知されてきているデセールコースについてと第一回目の詳細を少しご紹介させていただき、次回の開催についてご案内させていただきます。ご興味ある方は是非最後までご覧くださいね!
レストラン時代でのデセール
栃木県 江連農園の苺のデセール
高級レストランでは様々な食材を使用した一皿一皿にテーマやストーリーがあり、コースで品数の多いお店では10品以上の料理が提供されるレストランもあります。僕自身もレストラン出身のパティシエ。過去に勤めていた西麻布『AZUR et MASA UEKI』では11品のコースを提供していました。
そのコースの一例がこちら。
【Tasting Corse】
・アミューズ
・前菜①
・前菜②
・前菜③
・温料理①
・温料理②
・魚料理
・お口合わせ(お口直し)
・肉料理
・プレデセール
・メインデセール
・ミニャルディーズ(小菓子)6種類
不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが”デセール”が3品もあります。笑
そのうち、最後のお茶菓子に至っては6種類用意していました。この3品にはそれぞれ役割があり、コース料理の最後を締めくくる重要なキーパーソンたちです。せっかくなので、その3品についてご説明させて頂きます。
【プレデセール】
僕の中でコースの中でも1番重要視をしつつ遊びを入れていた品でもあります。なぜなら、ここまでコースの11品中、9品を食べてきたゲストの状況や満足度を観察し、以下のことを念頭に置かなければならないからです。
直前の肉料理の食材が牛なのか、鹿なのか、はたまた仔羊なのか?ボリューム感は?ソースの種類は?香りには何を使っているのか?ハーブ?燻製?ガルニチュール(付け合わせ)は?季節は…?
そのようなことに思考を巡らせ、”これまで”と”これから”を繋ぐ一品となるのです。さっぱりとしたフレッシュな食材を使い断ち切ることもあれば、仔羊などクセのある食材の場合はワザとクセのある香りをプレデセールに使用して次へ進む場合もありました。
【メインデセール】
デセール中のメイン料理であるこの位置には必ず2つの要素を取り入れていました。
まず、食べて圧倒的な『美味しい』を感じてもらうこと。魚料理や肉料理など素材としての「美味しい」が確実にあるものに対して、デセール(甘いもの)で「美味しい」を感じてもらえる要素の「卵黄」や「バター」「アーモンド」などアミノ酸を含んだものをパーツに使用し、その中で甘さや食感の軽さを出しコースの最後でも食べてもらえるような一品に。そしてもう一つは『驚き』です。ゲストが11品食べて進んできた最後のサプライズ。それが奇を衒うわけではなく、しっかり意味を担うことで
『美味しさ』×『驚き』=『感動・喜び』
に繋がっていたのではと思っています。
【ミニャルディーズ(小菓子)】
最後のお茶菓子は常時6種類ご用意していました。ただ、すべて食べてもらうのではなくゲストに合わせて好きなものを好きなだけ楽しんでもらう、お腹いっぱいで食べれなかったらお持ち帰りで承る、といった塩梅で、コースの締めくくりにはそんな気軽さをお届けしていました。
デセールコースとは
先程までの内容はあくまでレストランにおけるデセールでしたが、今回の最大のテーマである【デセールコース】はレストランで提供されるような皿盛りデセールのみでコースを構成する、新感覚の取り組みです。素材によって異なる『一皿』を創り出し、その『一皿』が連なるコースには様々な表現が生まれます。
ONIBUS COFFEE×デセールコース
ONIBUS COFFEEで実施しているデセールコースでは、8品のデセールに7杯のペアリングドリンク(ワイン・日本酒・コーヒーなど)を合わせて提供しています。
僕自身お酒が好きなこともあり、甘味だけでなく「塩味」「酸味」「苦味」も加えコースの中に抑揚をつけることでお酒にも合うデセールを考え、代表の坂尾やメンバーと共に試食を重ね様々なアイディアを出し合い、その日限りのデセールコースを創りあげています。初めの試作段階では4〜5品での構成を考えていたのですが、自身の表現の方法として一皿に多くの要素を詰めるのではなく、一つの素材にフォーカスして素材が活きるようなデセールを考えて提供する方がゲストへも伝わりやすくなるのではと感じていました。
それでは今回は特別に2月開催しましたデセールコースの内容を少しだけご紹介させていただきます!
『Amuse』
・静岡 稲葉農園の蜜柑と発酵白菜のカンノーリ
・能登 あんがとう農園の赤菊芋と発酵舞茸のタルト
・北海道 佐々木ファームの赤ビーツと木苺も西京味噌のシュークリーム
最初にお出しするアミューズ 3品。『アミューズ 』とはフレンチの前菜の前に提供される品のことです。「アミューズ ・ブーシュ」という言葉があるのですが、これは「ひとくちのお楽しみ」という意味で、手で摘んで乾杯酒のシャンパンやスパークリングを飲みながら、これから始まるコースに期待を膨らます意味合いをもちます。
先程もお話しましたが、僕の考える『デセールコース』とは甘いものだけではなくそれ以外の要素を加えて食べ飽きず、新しい体験をしてもらえることです。そのコースの冒頭で提供するアミューズは、見た目はお菓子のようでも食べてみると料理的な味わいも多い一皿です。最初のインパクトでゲストに「想像していたものとは違う!」と感じてもらうことを意識しています。
『Crêpe』
・栃木県 古谷農産のクレープ・レモンシュゼット 山羊のチーズのアイスを添えて
クレープにはONIBUS COFFEEの焼き菓子でも馴染みのある栃木県は古谷農産の有機小麦を使用し、モチモチとした食感を。レモンは、こちらも毎年初夏にかけて提供するレモンスカッシュでお世話になっている広島県下島産、国広自然栽培農園のレモンの果汁をソースにし、皮はオリーブオイルと合わせてフレーバーオイルにして香りも見た目にも色合いを付けます。
そして、レモンのクレープに合わせたワインはPIERRE ROUSSE/brindezingue NV21/16(ピエール ルッス/ブランドザンク)です。
「ピエール ルッス」は、フランスのラングドック地方のカルカッソンヌの南に位置する村の生産者で、フランスのヴァン ナチュールの造り手の中でも、ひときわ個性的なワインを造る人物です。
レモンクレープの甘酸っぱさ・爽やかさと山羊のチーズのアイスのほのかなクセや香りが、ブランドザンクの熟したフルーツの甘さやキュッとした酸の味わい、そして様々なアロマと幾層にも重なっていきます。
デセールコースを通して伝えたい、体感してほしいこと
東京東久留米 奈良山園のデセール
ONIBUS COFFEEは『コーヒーで、街と暮らしを豊かにする』というビジョンのもと日常に溶け込み感動する一杯とサービスをお届けしています。そして日常とは異なる『デセールコース』では、普段とは少し違う【非日常】をゲストに体験していただき、そしてコースの中の一品一品のトレサビリティ(食材の透明性)を明確にし、生産者やその作り手の思いを伝え続けることでサスティナブル(持続可能)な社会に少しでも繋がると考えています。
そんなデセールコースの次回開催日は3/24(金)です。詳細は是非ONIBUS COFFEE自由が丘店のInstagramアカウントをご覧くださいね。
皆様からのお問い合せお待ちしております!
Text by Kohei Yamanaka